[CSD]2005年11月 6日号ヘッドライン

[CSD]2005年11月 6日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★新潟・中越大震災から1年:みんなの心に花を——仮設住宅にプランター設置

 = 2 面 ニュース=
◎フィリピン人権問題:対テロ戦争の影で侵害——教会関係者招きNCCが懇談会
★なぜ改憲論者か——国会祈祷会初参加の石破議員語る
★宣教の前進目指す——日本キリスト宣教団が創立55周年
★<落ち穂>平和を生きる力はどこに…

 = 3 面 ニュース・ルポ=
★隔離壁は敵がい心あおる——NCC国際関係委員会でパレスチナ懇談会
★ルポ・クリスチャンブックストア物語[2]:大阪府堺市「ジョイフル」?
★ルーテル教会:カトリックとの共同委員会で「教会の使徒性」を研究
★靖国参拝で抗議の声明相次ぐ
☆教会のために祈ろう:北海道

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★神様に、これからの人生を委ねて生きる——溝口 修さん[下](日本オプトディステクノロジー[株]代表取締役)
★<善久の発想法>[6]ラディカルの発想すると面白い 記・斎藤 善久

 = 5 面 牧会=
★<「心のケア」と教会>[4.最終回]赦すこと赦されること 斉藤 善樹
★<オピニオン>首相の靖国参拝は平和の祈念になるか 記・根田 祥一
★<恵みのどんでん返し>息子の病気で知った支え 記・丸山 悟司

 = 6・7 面 関西だより=
★死と貧困の国・ブルンジに祈りを——悔い改めと和解がリバイバルをもたらした
★フィジーでのリバイバルを経験——大阪CBMCで証し
★来春 大阪で「祈りの祭典」開催へ——NRAなどが主催
★精神障がい者のための「からしだね館」起工式——(福)ミッションからしだねが運営
★ゴスペルコンサートで「教会は楽しい所」とアピール——高松クリスチャンセンター
★平和コンサートで淵田美津雄の生涯をたどる企画(11月19日)

 = 8・9 面 全面広告=
☆JTJ宣教神学校——だれでも・いつでも・どこででも・開かれた神学校
神学部(2年コース・1年コース)、生涯学習部
Tel.03-3842-3412
http://jtj.gospeljapan.com/
 = 10 面 世界=
★<宣教まっただ中>アメリカ発[2]北米在留50万人に福音を 記・高田 正博
★ネパール宣教の歩みと展望[4]キリスト教と他宗教 記・ラメシュ・カトリー
☆宣教のために祈ろう:青森県・世界

 = 11 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「ユーオーディアワーシップ」ユーオーディア(ミクタムレコード、3000円)
★EVENT:第6回国歌朝餐祈祷会(11月18日、Tel.03-3293-0622)
★EVENT:「いのち」シンポジウム(11月23日、Tel.03-3207-6198)

 = 12 面 神学・社会=
★<講演>米国キリスト教原理主義に見る、日本の福音派の課題[5]福音派が政治化した理由 関野 祐二
★英国:聖書がすべて正しいと期待しないように——英カトリック司教会議の手引書
★<書評>『キリスト者の時代精神、その虚と実』渡辺信夫ほか共著(いのちのことば社、1050円)評・藤原 淳賀

 = 13 面 教会学校=
★<教会学校教師のひろば>名称を変え、ニックネームで呼び合い「家族」のイメージに——日基教団・埼玉新生教会:プレイズ・ファミリー
★<CS分級>「繰り返し」を使ってメッセージを伝える 記・矢吹 博

 = 14 面 教会=
◎<ちゃちゃチャーチ>音楽を通して若者にアプローチ——NHI・新宿シャローム教会
★<奉仕する恵み>見えないところで教会のために 渡辺 孝平さん(単立・亀有キリスト福音教会)

 = 15 面 家庭・あかし=
◎お母さん「靖国」を考える——同盟基督・神奈川宣教区婦人大会で学習会
★「ギブ・アンド・ギブに徹したい」——資生堂会長・池田守男氏がVIPクラブ目黒で講演
★<お母さんのための絵本のたび>[8]子どもの満たされない心 記・澤谷 由美子



 = 16 面 ひと=
★塩谷 達也さん(ゴスペルシンガー)——その人なりの「ゴスペル」を楽しんで

フィリピン人権問題:対テロ戦争の影で侵害−−教会関係者招きNCCが懇談会=0511060201

 今年に入り、すでに50人近い人権活動家らが殺害されているフィリピン。今年8月には同国パラワン州で、大企業による鉱山開発計画と海底の石油パイプライン建設に反対していたフィリピン・キリスト合同教会(UCCP)のラウル・ドミンゴ牧師らが何ものかに襲撃・殺害された。「対テロ戦争」の影で進むフィリピンの人権侵害の実態を知ろうと、10月8日、日本キリスト教協議会(NCCJ)が都内で日比NCC公開懇談会「対テロ戦争の影とアジアの教会」を開いた。フィリピン側からフィリピン教会協議会(NCCP)のシャロン・ルイズデュレムデス総幹事と、UCCPのエルマー・ボロコン主教が講演した。  【藤川 義】  「現在はマルコス軍事独裁政権時代よりひどい状況にある」。ボロコン氏はフィリピンの人権問題についてこう切り出した。「国軍のみならず、警察によっても人権侵害が行われている。民衆組織、労働組合、先住民の指導者や人権活動家、弁護士、牧師、マスコミ関係者らがターゲットになっている」と語る。
 キリスト教会では、UCCPとフィリピン独立教会がもっとも被害を受けているという。UCCPでは過去3年間で9件、17人が被害を受け、うち8人が殺害されている。ドミンゴ牧師もその1人だ。ドミンゴ牧師は工業開発によって犠牲となる小作農民たちを支援し、開発への反対活動のリーダーをしていた。UCCPでは、すべての教会や教団本部、神学校を、開発や軍によって住む場所を追われた人々のために開放。ミンダナオ島ダバオの教会には、約200人の先住民が避難しているという。
 そのような中、「預言者的働きとしての民衆運動、政治的発言を強めることで、政府から目をつけられるようになった」とボロコン氏は言う。政府は「国家の敵」と題したDVDなどを制作し、それらを学校や地域で見せて国民に啓発したりもした。「敵」としてリストアップされた中には、UCCP、NCCPのほか、合同メソジスト教会、カトリック主教会議、宗教者代表会議なども含まれていた。
 「政府は軍を使って政府に不満をもつ動きを抑えようとしている。軍も警察も民衆のためにあるはずが、外国の資本家と結びついた一部のエリートのものとなっている。実際、アメリカの対テロ戦争は、フィリピンの民衆に対して行われている。開発された天然資源の多くは日本にも輸出される。日本にとっても無関係ではない」とボロコン氏は語った。  ルイズデュレムデス氏は、「帝国の影とアジアの教会」と題して講演。「アメリカは同盟国と共に、利益追求のために、地球規模の経済を組織してきた。経済のグローバル化は、飢餓、長期失業、労働者の絶えざる移民化、買売春、食糧供給の不安定性、政治的弾圧、政治的市民的権利の否定をもたらすばかりだ」と批判した。
 また、「グローバリゼーションは、人間性を奪う世界システムを構築しようとしている」と指摘。「フィリピンのような貧しい国々は、貿易の自由化を強制され、圧力をかけられ、略奪されている。アジアの農民、漁民たちは土地を追われ、労働者たちは苦しめられ、搾取されている」と語った。
 その上でルイズデュレムデス氏は、神が民衆に祝福を与えられた「神の約束」について聖書から語った。「神の約束に反して帝国は、すべての人々に与えられるはずの祝福、生活の繁栄を否定し続けている。アジアの教会は、帝国に対して『否』というしかなくなっている。グローバリゼーションは避けられないものではない。市場を拝むことは、まさに偶像礼拝だ。市場は人間がつくり出したものだから、人間が変えられるはずだ」と厳しい口調で述べた。
アジアの和解のために
 2氏の講演を受けて、NCCJの山本俊正総幹事は、「グローバル化する日本経済について、日本の教会はどう考えるか。国旗・国歌法や有事法制の制定、憲法の改悪はグローバル化と深いかかわりがある。私たちは、アジアにおける民衆の安全保障が実現するために、平和と和解のために歩まなければならない」と語った。

<ちゃちゃチャーチ>音楽を通して若者にアプローチ−−NHI・新宿シャローム教会=0511061401

 東京・西新宿にあるNHI・新宿シャローム教会(稲福エルマ牧師)は、若者たちが多く集まり、賛美の歌声がいつも絶えない。「若い人たちに、どんどん任せています」と稲福牧師が語るように、若い世代が積極的に活動を担っているのが、同教会の特徴だ。 賛美を通して
 礼拝は、賛美とメッセージを中心にしたプログラムで、奏楽はピアノだけでなく、ドラムやギターなどの楽器を用い、会衆は曲に合わせ手を挙げたり、手拍子を打ったりして、自由に神様を賛美している。4回の各礼拝にそれぞれワーシップチーム(賛美をリードするバンド)がいて演奏をしている。また中高生をメンバーにしたゴスペルバンドが2つあり、教会外でも活発に活動している。一般の企業が主催した音楽コンテストに参加、その発表の場で賛美を演奏したグループもあった。「こうしたかたちで福音のメッセージが語られたとしたら、とてもすばらしいことだと思います」。そう語るのは、ユース牧師の富田慎悟さん。もともと音楽が好きでギターを弾いていた。「ギターを賛美のために用いてほしい」そう教会で言われたことがきっかけになり、同教会に行くようになった。「それぞれが、神様から与えられている賜物をもって伝道するというのは、教会にとって大切なことですね」
  
若者の救いのため
 同教会は、毎月のゴスペルライブなど独自の若者向けプログラムのほか、教派・教会を超えた青年のためのミニストリーであるユース・アライブの活動にも積極的に協力している。今夏、同ミニストリー主催で行ったオーストラリアのワーシップチーム、ユナイテッドのコンサートでは、賛美への感動を通して、何人もの10代の若者が救いに導かれた。
 同教会では、かつて中高生の男の子が3人しかいない時期もあった。富田さんと男の子たちは、多くの中高生が救われるように、また自分が救われてほしいと願っている友人の名前を出して、毎週集まって祈り始めた。「現在では、その名前の子ばかりではなく、もっと多くの中高生が教会に来ています」と富田さん。この経験を通して「若者の救いとクリスチャンとしての成長のため、次世代の教会のリーダー育成のために祈っていこうと思いました」と富田さんはふりかえる。
 稲福牧師は祈りの大切さとともに、「身構えて難しく考えがちですが、伝道はそんなに難しいことではない。まずは相手を迎える心をもって、楽しいイベントなどを通してよい関係を築き友人となり、そこから福音を伝えていければよいのではないでしょうか」と言う。
 
歌舞伎町に近い教会
 同教会のもう1つのビジョンは、この西新宿にあって、教会がその存在をはっきりと示していくということだという。
 同教会から道をはさんで向こう側は、世界有数の歓楽街、歌舞伎町だ。若者はもちろんのこと、いつもたくさんの人であふれている。現在の歌舞伎町のあたりは、戦後間もないころ、焼け野原でほとんど何もない状態だった。「戦後60年間で、心のむなしさを埋めようとした人たちが、あのような町をつくりあげたのではないかと思うのです。今度は、これからの数十年で本当の愛を求める人たちが、この町を変えていくことができればと願っています」と富田さんは語る。
 NHI・新宿シャローム教会=東京都新宿区西新宿7ノ9ノ2。TEL:03・3371・7558、FAX:03・3371・7559。Eメール=info@shinjuku-shalom.org
【正村献三】

お母さん「靖国」を考える−−同盟基督・神奈川宣教区婦人大会で学習会=0511061501

 小泉首相の靖国神社参拝、教育現場での日の丸・君が代の「強制」が進む中で、女性として、妻として、母として時代を見抜き、共に考えようと、日本同盟基督教団神奈川宣教区の連合婦人大会が10月20日、横浜市中区の同教団横浜上野町教会で開催された。テーマは「今、日本で何が起こっているか—子どもたちを戦争に行かせないために」。講師は同教団大井教会の住吉英治牧師で、神奈川宣教区内の17教会から約80人が参加した。  「お腹を痛めて産んだ子どもを、戦争に行かせてはいけない。いっしょに考えましょう」と住吉牧師は参加者に呼びかけた。住吉牧師は
1.日の丸・君が代
2.憲法改正
3.靖国神社
4.有事法制下の日本
の各問題点を説明。「日の丸・君が代は国家への忠誠を誓わせる現代版『踏み絵』。これをもって『国民』『非国民』を選り分ける。憲法改正は法律的に『戦争できる国』にする。そして国民を動員していく。そこには徴兵制度も見え隠れしている。靖国神社は国のために殉じた死者の霊を神として祀る施設。これまでも、これからもそうだ。『靖国神社は宗教にあらず』という名の下に国営化し、すべての国民が『英霊』を讃え、参拝するようにしようとしている。そして日本は戦争への準備を着々と整え、いつ戦争が起きてもよい状態になっている」と述べた。
 配付資料に戦前の教会の週報のコピーがあり、礼拝の中で「宮城遙拝」「皇軍勇士感謝黙祷」「君が代(斉唱)」が行われていた様子に、参加者からは驚きの声が上がっていた。
 質疑応答では、神奈川の参議院補欠選挙前ということもあり、「誰に投票しようか迷っています」との質問や、「まだまだ先の話だと思っていましたが、すぐ足元のことなのだと感じた」といった声が聞かれた。住吉牧師は「聖書は何といっているかをまず聞き、学んでいくこと。私が話したことはすべて信仰にかかわることだ。逆に言えばこの世に信仰と関係ないことはない」と語った。
 参加者で、18歳と25歳の息子をもつ川嶋正子さんは、「日本の動きに危機感を覚えていた。男の子2人、徴兵制度について考えてしまう。資料をもう一度よく読み、身近なところから活動したい」と語った。また、山口愛さんは「知っていく大切さを知った。国を愛するため、政治家や隣人のために祈る必要があることを思わされた」と感想を話した。同大会で同様のテーマが設定されたのは初めてのこと。準備した1人、上野町教会員の小泉登志江さんは、「時代にマッチしたタイムリーな企画だった」と述べた。    【藤川 義】