[CSD]2007年8月5日号ヘッドライン

[CSD]2007年8月5日《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
★2万人の熱気に包まれたラブ・ソナタ東京——韓流スター登場に歓声上がる
◎アフガン・韓国人拉致事件:副牧師1人を殺害——緊急要請「人質の解放祈って」

 = 2 面 ニュース =
◎ラブ・ソナタ東京:日韓トップリーダーフォーラム2007開催——和解・赦しでアジアに希望を
★歴史教科書歪曲を批判——日本基督教団が撤回要望書送る
★戦責告白40周年を覚え決議案可決——日本基督教団神奈川教区
★<教界ニュース>北朝鮮のソン・ジョンナム氏処刑反対運動、米国で広がる
★<落ち穂>個人で新約聖書注解シリーズ刊行のビジョン

 = 3 面 教界ニュース =
★沖縄・辺野古:問われる組織としての防衛施設局のやり方——水中抗議活動にエアーバブルを締める事件
★東京でエルサレム・サミット——教会に期待するイスラエル議員らが来日
★高齢者と身体・知的障害者が仕え合う——身障者施設常総ふれあいの杜開設
★<オピニオン>失敗が語り合える教会になろう 記・神津 喜代子

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★休めない経営者は失格——堤 重和さん[中]([株]夢屋代表取締役社長)
★<佐藤綾子のイキイキクリスチャン自己表現法>[最終回]うつに付ける薬

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★オランダから見た安部首相の「従軍慰安婦」強制否定発言 記・村岡 崇光
★<精神障害と教会>[8]「肯定感」が安心信号に 記・向谷地 生良

 = 6 面 全面広告=
☆信徒伝道者の養成めざす 日本福音学校
2007年秋季学生募集 新宿校・千葉校
問い合わせ:東京信愛教会 Tel.03-3359-9539、Fax.03-3359-5791

 = 7 面 カウンセリング特集=
★聖書的価値観が求められる時代——キリスト教カウンセリングセンター
★生徒のセーフティネットとして学校全体「チーム」でケア——玉川聖学院

 = 8 面 特集=
★『十五年戦争期の天皇制とキリスト教』——各教派の一次資料に見る信仰変節の核心 評・山口 陽一

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『ステッキな人生』川崎 正明著(日本キリスト教団出版局、2,100円税込)
★BOOK:『あなたはどこに愛を探していますか?』シャノン・アスリッジ著(いのちのことば社、1,890円税込)
★読者プレゼント:抽選で5名に『牧師が読み解く般若心経の謎』大和昌平著(実業之日本社、1,575円税込)
★REVIEW:『ボンヘッファーとその時代 神学的・政治的考察』宮田光雄著(新教出版社、3,990円税込)評・東條 隆進

 = 10 面 関西だより =
★キリストの癒し祈るアロマセラピー——東京に進出する「ピアンジェレ」川本麻充さん
★40周年迎える教会の吹奏楽団——アンサンブル・シオンが9月に記念定期公演
★子どもたちの夢支えて18年——榮 義之牧師のケニア宣教レポート

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎被爆地広島で永遠の思い——手づくり小冊子で証しする元特攻隊員・石黒悦夫さん
★50周年を機に地域の幼児と母親の集いを開設——武蔵野YWCA「バンビーニの会」

 = 12 面 ひと=
★「般若心経」から説くキリスト教——大和昌平さん(福音交友会京都聖書教会牧師)

◎アフガン・韓国人拉致事件:副牧師1人を殺害−−緊急要請「人質の解放祈って」=0708050102

 アフガニスタン東部ガズニ州でイスラム原理主義勢力タリバンが、医療宣教ボランティアチームの韓国人23人を拉致した事件で、韓国外交通商省報道官が7月26日、記者会見し、アフガニスタンでタリバンに拉致された韓国人23人のうち、男性1人が25日に殺害されたと正式に発表した。犠牲者は泉水教会の信徒一行を引率していたペ・ヒョンギュ副牧師と確認された。残る22人の安否は26日現在、依然として不明。
 拉致された韓国人は、同教会の牧師や信徒20人と、案内をしていたキリスト教系民間団体「アジア協力機構(IACD)」の関係者3人。うち女性が18人で、20代後半から30代前半の青年が大半だという。
 武装勢力は19日午後、現地の医療センターと保育園での奉仕を目的に首都カブールに向かう韓国人23人を乗せたバスをカズニ州カラバーグで止め、乗客を拉致。「投獄されている同数のタリバン戦闘員を釈放しなければ、全員を殺す」と警告していた。韓国政府は外務省担当者を現地に派遣し、地元の元老やアフガニスタンの政府関係者、州の治安担当者と交渉に当たっているが、解決は長引きそうだという。
 韓国政府は今年2月、アフガニスタン全域を旅行制限地域に定め、アフガニスタン・パキスタン国境付近は陸路移動も禁止している。韓国内では、教会が旅行制限地域の国に無理に奉仕団を送ったのではないか、との厳しい批判の声も出た。
 泉水教会は98年設立、信徒は約3千200人。海外での医療・教育分野の支援活動に熱心で、数年前からアフガニスタンに訪問団を派遣し、奉仕活動を続けてきた。だが今回の事件を受け、「アフガンでのあらゆるボランティアを中断する」ことを明らかにした。
 日本キャンパス・クルセード・フォー・クライストの趙泳相スタッフは「拉致された22人が無事解放されるよう祈ってほしい」と要請した。

◎ラブ・ソナタ東京:日韓トップリーダーフォーラム2007開催−−和解・赦しでアジアに希望を=0708

 「ラブ・ソナタ」東京は本大会のほか、セミナー、中高生や青年のための集会なども開かれた。その中で日韓の政財、教育、医学、法曹、文化など各界のクリスチャン・トップリーダー900人余りが一堂に集い交流をもつ「日韓トップリーダーシップ・フォーラム2007」(同日本実行委員会主催=土肥隆一実行委員長)が7月23日、東京・港区芝公園のザ・プリンスパークタワー東京で開催された。同フォーラムには台湾のトップリーダー24人も招待され、今後のアジアの平和、発展を願い、交流と情報交換を行った。  同フォーラムの趣旨は、「信仰をもっている人たちが聖書的原理に従って社会変化を主導し実践する共同体『クリスチャンCEOフォーラム』を立ち上げ、政府や官主導の催しでなく民間の交流を通し、日韓の歴史的な痛みの記憶を乗り越え、東アジアを見据えながら日韓の協力関係を模索し、社会と国を変えていくこと」という。
 当日は日・韓・台の代表のあいさつ、台湾のクリスチャンミュージシャン「Vanessa」の特別賛美、日本と韓国を代表するオペラ歌手・市原多郎氏とキム・ヨンミ氏のデュエット、韓国歴史ドラマ「朱蒙」に出演しているハン・ヘジン、オ・ヨンス、キム・スンスの各氏が紹介されるなど歌、演奏などによる文化交流も行われた。
 ラブ・ソナタを推進してきた韓国ソウル・オンヌリ教会のハ・ヨンジョ氏(同教会主任牧師)は「このフォーラムは、私の中にはなかったビジョン」とあいさつ。「なぜ『冬のソナタ』が日本人の心をとらえたか、私にはわかりません。韓流は特別なもの。神様は韓流を用い、政治の力で開けられなかった日韓の扉を開いてくれました。日本、韓国、台湾のリーダーたちはお互いに愛し合い、赦し合い、和解することによりアジアに希望を与えていかなければいけない」と語った。
 続いて、「今日、ハ牧師から洗礼を受けた」というイ・オリョン氏(梨花女子大学名誉教授)が講演。「70年間、知性、理性だけで原稿を書いてきたが、それだけでないものがあることを知った。今はモバイル時代で、みなネットでつながっている。私たちはまず、神様とアクセスすることが大切なこと。21世紀はそれとともに、人や文化を対立させるもの、自分とは異質なものとアクセスし、融合する心をもたなければならない」と語った。
 最後に「今後も緊密な相互交流を通して、両国の共通の関心事について真剣に話し合い、建設的な方向を提示し、ビジョンを分かち合う。さらに次世代のためにビジョンを提示していく。日韓のリーダーたちは、アジア全体が和解し協力していくため、『アジア連合(Asia Union)』の設立を模索しつつ、より幅広い共同体として発展していくことを期待する」旨の趣旨文を、会衆一同で読み上げた。

◎被爆地広島で“永遠の思い”−−手づくり小冊子で証しする元特攻隊員・石黒悦夫さん=070805110

 ヒロシマ・ナガサキに今年も暑い日が巡ってくる。1945年8月6日、江田島で特攻隊の訓練を受けていた石黒悦夫さん(現在79歳、三重県鈴鹿市在住、美濃ミッション富田浜聖書教会員)は、命令で広島市内の爆心地近くへ救援に向かった。焼け野原での10日間の体験は、その後クリスチャンになった石黒さんの信仰の原点だ。目に焼き付いた光景を、思い浮かぶ聖書のみことばとともにつづった手作りの小冊子を、2年前から親戚や知人に配っている。  石黒さんが洗礼を受けたのは、敗戦の4年後。大工仕事で行った教会で新約聖書をもらった。その聖書を読むうちに、人間には、一度死ぬことと死後に裁きを受けることが定められており、キリストも多くの人の罪を負うために一度、ご自身をささげられたというヘブル書9章のみことばに出合った。それはあの広島でたくさんの遺体を目にした時、ふと「この人たちはどこへ行ったのか」と疑問がわいたことへの答えだったという。
 キリストを信じてからいつも心には、広島での光景がみことばとともに去来した。それを折に触れて教会で証した。場面ごとの10の証を1冊にまとめたのは、ちょうど戦後60年を迎えた2005年、娘をがんで天に送り、祈り支えてくれた人々への感謝のあいさつ状に添えようと思い立ったことから。被爆地の生々しい現実が、「主を信じて救いを受けて」という切実な思いを込めて描かれている。
 爆心から0・6キロ地点まで行くと、見習士官が顔の右頬にハンカチを当てて立っていた。原爆が落ちた時に1本の木のそばを通りかかり、その木の陰で光が当たった右頬と背中だけ焼けて穴があいていた。痛がる見習士官を戸板に乗せ、救護所に運んだ。
 石黒さんは「木の上に懸りて、みづから我らの罪を己が身に負い給えり。これ我らが罪に就きて死に、義に就きて生きん為なり。汝らは彼の傷によりて癒されたり」とペテロ前書2・24を引き、懇願する。〈その木は、原爆の光線を受けるや、焼けて幹と太い枝だけが残ったのです。あたかも、主が十字架で、私のすべての罪をゆるす為に、身代わりに死んでくださったのと同じです。あなたも、主イエス・キリスト様を信じ受け入れて救われてください〉
 けが人は救護所へ運び、黒こげの遺体は1か所に積み上げ、木片を集めて焼いた。1回に300体くらい、それを連日続け、千300体は焼却した。頭蓋骨から腰骨までで手も足もない黒こげの遺体を見た時、思わず「この人たちはどこに行ったのか」と口に出た。班員の誰もが「そんなことは年長の班長の方が知っているやろ。わしらはてんでわからんわ」と言うばかりで、ひとり自問自答するほかなかった。
 火事現場では延焼を防ぎ、遺体を焼く材木を確保しようと、残った家にロープを掛けて引き倒す作業をした。その時、作業を見ていた日赤病院の2人のクリスチャンの女医が、心を合わせて「この人たちに永遠を思う思いを入れてください」と祈っていたことを、34年後に出席した集会で証を聞いて知った。
 〈女医さんたちは、私たちが特攻隊であることも聞いていたのです。それで何とか永遠のことを考えるように祈りを捧げられ、敗戦後、クリスチャンの友人にも話されていたのです。…あの時、死後にどんなことがあるのかわからず、心が乱れたことを思い出します〉
 女医たちの祈りを知ってから、石黒さんも証をする時には「聞いてくださる方に永遠を思う思いを入れてください」と祈る。証集の最後をこう締めくくっている。〈広島の生き地獄を通して、この者に創造主なる神様が、主イエス・キリスト様を信じて救われるように導いてくださったことを感謝しています。…願わくは、読んでくださる方々が、救い主を見いだし、信じて救われてくださることを望んでおります〉