[CSD]2008年3月23日号《ヘッドライン》

[CSD]2008年3月23日号《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
★イースターメッセージ:死のとげはぬかれた 記・小林 啓一

 = 2 面 ニュース =
★各地でケズィック・コンベンション
◎イージス艦あたご海難事故に抗議——NCC平和・核問題委員会
★イージス艦あたご海難事故に抗議——東京地方バプテスト教会連合社会委
★イスラエル:アルカイダがYMCA襲撃画策か
★<逝去>松原 向氏(一麦の群主幹、名古屋一麦教会牧師)
★<落ち穂>イースターを伝道の好機に

 = 3 面 教界ニュース =
★新連載<教会の実情を知る:教会ルポ>[2]教会の解散——牧師のリーダーシップと信徒の信仰生活充実との因果関係

★<教会の実情を知る:集計データから>[6]教勢の変化と男女別礼拝者の推移——3割の教会が学生・20代「いない」
★<オピニオン>ネジの使命 記・神津 喜代子

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★「道外れないよう信仰が」——谷岡 昇一さん[下](投資コンサルタント)
★<更正の手がかり>[14]現金商売の落とし穴 記・梅津 善一(公認会計士)

 = 5 面 全面広告=
☆教会・諸団体・各機関

 = 6・7 面 イースタースペシャル=
★イースターのおもてなし——いのち感じる食材を味わう
★灰の塗布式で迎えるレント——福音ルーテル・東京ルーテル教会
★祈祷会で覚えるレント——ウェスレアン・淀橋教会
★イースターエッグのラッピング——花たまご

 = 8・9 面 首都圏宣教座談会=
★社会の影響受ける教会——首都圏から考える日本宣教の現状と課題

 = 10・11 面 広告特集・桜美林大学 =
★新チャペル「荊冠堂」献堂式・オルガン奉献式 3月29日
荊冠(けいかん)=苦難を通して栄光に入る

 = 12 面 全面広告=
☆教会・諸団体・各機関

 = 13 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『武力によらない平和を実現するために』(日本キリスト教協議会平和憲法推進プロジェクト委員会、200円税込)
★BOOK:『キリストに賭けた人生』花盛勲一著(龍書房、682円税込)
★REVIEW:『牧会者ルター』石田順朗著(日本キリスト教団出版局、2,940円税込)評・橋本昭夫

 = 14・15 面 読書特集=
◎宗教でも戦争物でもない、人生の書——『淵田美津雄自叙伝』編集者に聞く
★<書評>『ありのままを生きる』東後勝明著(フォレストブックス、1,050円税込)
★<書評>『貧乏少年、大統領になる』李 明博著(小牧者出版、840円税込)
★<書評>『こぶたくんのめいそう』ケリー・リー・マクリーン作、日野原重訳(産経新聞出版、1,500円税込)
★<書評>『お父さん、愛しています』キム・ソンムク著(Durano Japan、1,995円税込) 評・堀ノ内 菊三郎

 = 16 面 全面広告=
☆教会・諸団体・各機関

 = 17 面 牧会/神学/社会=
◎復活節に問う戦争責任——現代的意義めぐりシンポ 日基教団神奈川教区が集会報告集
★<精神障害と教会>[23]バリア・フリー——「弱さ」が作る「繋がり感」 記・向谷地 生良

 = 18 面 関西だより=
★ゴスペルは神との対話——ゴスペルシンガー・文屋範奈さん
★「深い河を渡る日」を考える——市と葬儀の学びで模擬と納棺体験
★2008ラブ・ソナタセミナー大阪・説明会
★牧師の書いた「人生論」と「幸福論」

 = 19 面 =
★「地方の教会の力になりたい」——有志信徒らが地方の教会支援 ホーリネス・坂戸キリスト教会
★「神の栄光表す賛美を」——ユーオーディア20周年記念コンサート

 = 20 面 =
★困難な時代キリスト者として何を——山本俊正さん(日本キリスト教協議会総幹事)

◎イージス艦あたご海難事故に抗議−−NCC平和・核問題委員会=0803230202

 日本キリスト教協議会(NCC)平和・核問題委員会(平良愛香委員長)は2月28日、「海上自衛官『あたご』の引き起こした海難事故に関する抗議と武力によらない平和づくりへの提言」を福田康夫首相、石破茂防衛相、高村正彦外務相に宛てて送付した。
 同委員会は、今回の事故と、それに対する自衛隊・防衛省の対応は、国家権力と軍需産業の利権構造のためにのみ仕えるという軍隊の本質を明らかにした、と批判。
 「今回のような軍隊が引き起こす事故・市民に対する暴力への根本的解決は唯一、在日米軍や自衛隊の存在など、違憲状態の放置を悔い改め、沖縄や横須賀をはじめ国内の軍事施設をすべて廃棄し、自国の武装解除を果たしながら、世界に向けて武装解除を呼びかけること」と指摘し、「武力によらない、キリストの平和をつくりだすために、以下のことを提言し、要求します」として、・海難事故被害者への誠実な謝罪と賠償、・事故の原因を徹底的に究明し、内閣・防衛省・自衛隊内部での責任の所在を明確にすること、・憲法違反の日米安全保障条約の廃棄と在日米軍の撤退、・憲法違反の自衛隊の武装解除と「平和協力隊」への改組、・憲法違反の防衛省の「平和省」への改組、を求めた。

 東京地方バプテスト教会連合社会委員会(城倉啓委員長)は 2月27日、同19日に発生した海上自衛隊イージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」による衝突事故に関する抗議声明を、福田康夫首相、石破茂防衛相、高村正彦外務相に宛てて送付した。
 同委員会は、「軍事同盟による安全保障によっては、真の平和をつくり出すことはできないという確信が、今回の海難事故でさらに固まった」として、「米軍と自衛隊の一体化」を挙げ「今回の事故の一因」として強く批判した。
 「日本国政府は憲法を遵守し、すべての武力を放棄し、軍事同盟を廃棄し、あらゆる国との友好条約を結び、国際社会において『戦争の違法化』および『非暴力による平和』を対話努力によって目指すべき」として、・日米安全保障条約の廃棄と在日米軍の撤退。・自衛隊の武装解除。・海難事故被害者への誠実な謝罪と賠償、を求めた。

◎宗教でも戦争物でもない、人生の書−−『淵田美津雄自叙伝』編集者に聞く=0803231401

 太平洋戦争の火ぶたを切った真珠湾攻撃の総指揮官で、戦後はキリスト教に回心し伝道者として活躍した淵田美津雄氏の自叙伝『真珠湾攻撃総隊長の回想 淵田美津雄自叙伝』(編/解説・中田整一、講談社)が話題を呼んでいる。昨年12月の出版だが3月5日現在5刷りを重ね、売上げ数は4万冊を超えた。編集、解説を担当したジャーナリストの中田整一氏に話を聞いた。

 「宗教の本でもない、戦争ものでもない、人はいかに生きるかを問うた人生の書」。編者中田整一氏は、本書をそう表現する。「こんな数奇な人生があるのか」と淵田美津雄の人生に驚きも。「淵田は真珠湾攻撃、ミッドウェー海戦、広島への原爆投下の時と、3度奇跡的に死を免れている。また、終戦時はミズーリ号の降伏調印式に立ち会うなど、日本人数多しと言えども、戦争を初めから終わりまで見届けた人は彼一人。当事者でなければ知り得ない秘話も満載されており、歴史書としても非常に価値が高い」
 中田氏は「この自叙伝は戦後の日本、人類に向けた遺言」とも言う。「淵田は序文で『本書を書き終えるまで生かしておいてください』と記す。タイトルは『夏は近い』で、世界の破滅の兆しを預言するキリストの言葉から引用したもの。もし、もう一度戦争をするようなことがあれば、人類は破滅する、という思いがあったのではないか」
 「回心の部分も非常に感動的」と中田氏。「淵田は両親、仲間を殺した日本人を憎むのでなく、献身的に愛する2人のアメリカ人との出会いを通して『神の赦し』を知り、回心した。回心後は『バイブルによって憎しみの連鎖を断ち切る』ことが彼のポリシーとなった」
 中田氏が自叙伝の存在を知ったのは、NHKでドキュメンタリー番組を製作していた25年前。「真珠湾攻撃を調べている時、淵田が晩年自叙伝を書いていたことを知った」。だがその原稿は日本になく、長男・善彌氏のいるアメリカに渡っていたため、その時は日の目を見なかった。
 その後、戦後60年にあたる05年、NHKの後輩から「何か企画はないか」と相談を受けた時、淵田の自叙伝のことを話したという。調べてみると、原稿が存在していることが判明。善彌氏も出版を希望しており、昭和史が専門の中田氏が歴史的背景を補足する形で日の目を見ることになった。
 自叙伝は、淵田の死により未完に終わっている。だが真珠湾、キリスト教への回心、アメリカでの布教活動など、淵田の人生のハイライトのほとんどが綴られていると中田氏は語る。
 淵田についての中田氏の講演会が5月10日午後1時から、東京・京王線京王八王子駅隣のNHK八王子文化センターで行われる。Tel2042・648・0551。 

◎復活節に問う戦争責任−−現代的意義めぐりシンポ 日基教団神奈川教区が集会報告集=080323170

 41年前の1967年3月26日復活主日(イースター)、日本基督教団は当時の鈴木正久総会議長名で「第二次大戦下における日本基督教団の責任についての告白」(戦責告白)を発表した。戦時下に日本の教会が国策としての戦争を是認し協力したことのあやまちを自覚し、罪を懺悔しゆるしを願った最初の公式声明だった。同教団が現代の「公同的使徒書翰の第一信」として教団統理者富田満の名で「日本基督教団から大東亜共栄圏に在る基督教徒に送る書翰」を出し、大東亜共栄圏の建設と戦争遂行を正当化し鼓舞したのは1944年の、やはり復活節の日だった。

 戦責告白から40年の昨年、日本基督教団ではそれを記念する目立った動きがなかった。そうした中で11月17日、同教団神奈川教区では教区常置委員会主催による「戦責告白」40周年を覚える神奈川教区集会を「地の塩、世の光としての教会」を主題に横浜市の清水ヶ丘教会で開催。その報告集が今年2月23日の第119回教区総会に出された。
 神奈川教区は昨年6月の教区総会で、▽憲法9条改定反対▽「日の丸」「君が代」強制反対▽日本第二の軍事基地県にある教会として一切の軍事基地と諸施設に反対し沖縄の諸教会と連帯する▽在日大韓基督教会、日本ホーリネス教団との交わりを一層深める▽戦責告白と今日の教会の課題について学びあう▽戦責告白40年を記念する集会を教区として持ち、日本基督教団として持つことを教団に働きかけることなどを決議した。教区集会は同決議に基づいて開催されたが、教団常議委員会は動かなかった。
 教区集会では開会礼拝で議案提案者の関田寛雄氏(教区巡回教師)が、「この岩の上にわが教会を~赦されて立つ教会」と題し説教。キリストの志を妨げた罪深いペテロが罪赦されて教会の基礎とされたことに注目し、「イエス・キリストの主権を筋を通して告白できなかった罪、権力の前に偽りの言葉を宣べ続けてきたペテロのごとき存在、それこそが日本基督教団ではなかったのか。せめて1967年の戦争責任告白をしっかり受け止めて、あの告白によってこそ、戦後の教団は再統合すべきであった。戦責告白においてこそ教団は一致を、希望をもって目指すべきであった。罪赦されてこそ立つ教会であるならば、この罪の悔い改めを抜きにして、キリスト教ブームに乗っかって伝道してきたことはなんとおぞましい行為だったか」として、戦争責任告白こそが一致の原点であることを確認した。
 「日本基督教団の戦争協力と戦責告白の現代的意義」をテーマにしたシンポジウムでは、櫻井重宣氏(茅ヶ崎教会牧師)が「国家の歩みと軌を一つにしていた教会の歩みは1945年8月15日で終わっていない」と発題。戦後も教会で「紀元節」「天長節」礼拝・祈祷会を行ったり、元旦礼拝に「君が代」が歌われた例を挙げ、天皇制の枠の中での教会の流れは戦後も途切れず続いていることを指摘。「日本基督教団という教会に連なる私たちは『わたしどもの祖国が罪を犯したとき、わたしどもの教会もまたその罪におちいりました』という告白を共にするよう招かれている。そのためにも、日本の教会の今日までの歴史を直視することは次の一歩を踏み出すためにどうしても大事なこと」として、教会が天皇制の枠から明確に断ち切られるために戦責告白が必要と意義づけた。
 戦責告白の起草にかかわった岩井健作氏(教団教師)は「戦争責任告白の身体性をめぐって」発題。戦争責任を言葉化し懺悔したことによって教団の責任がはっきりし、アジアの諸教会とつながる方向性をはっきりさせた「功」とともに、言葉化することにより理念として先行し、現実や実態をその理念で解釈して観念化させてしまう危険が伴う「罪」もあると指摘。身体性から戦責告白を見直し、憲法9条の実現、「日の丸・君が代」強制や軍事基地に反対すること、沖縄諸教会や在日大韓教会、ホーリネス教会と連帯することなどが、戦責告白を実質化し身体的なものにしていくことにつながると述べた。
 菊池礼子氏(高座渋谷教会牧師)は「日本基督教団の戦争協力と戦責告白の現在的意義」について発題。戦後の教団が、アジアの戦争特需やアジアへの経済侵略によって成長した日本の経済力を世界に誇示する万博出展を伝道のよい機会ととらえたこと、日本が軍事侵略したアジア諸国に経済侵略してきた誤りや歪みを正していくことにほかならない沖縄キリスト教団との合同のとらえなおしと実質化が執行されていないことなど、戦責告白と矛盾する動きを問題視。「平和を創り出す」使命に教会が立つことの大切さをアピールし、「日本の教会には、弱い立場に置かれている者に寄り添うよりも、いまだ象徴天皇制を頂点とした強い立場への自己同一化をしたがる根深い体質がある。それをどう自覚し乗り越えていくかが課題であり、戦責告白の実質化もここにかかっている」と述べた。
 戦責告白に関連して交流がある在日大韓基督教会の李仁夏氏と日本ホーリネス教団の上中栄氏、教区社会委員の内田保彦氏が応答した。報告集には発題・応答の内容と、教区決議や発題に関連した資料などが収録されている。連絡先はTel045・231・1290、紅葉坂教会・北村慈郎牧師。