[CSD]2005年9月4日《ヘッドライン》

[CSD]2005年9月4日《ヘッドライン》
 = 1面 =
★日中韓3000人の青年が集合——長野県伊那市で「コスタ・ジャパン」

 = 2 面 ニュース=
◎侵攻の爪痕ガラス片を平和の象徴に——アート「瓦礫の天使」を制作
◎「私たちには記憶の責任がある」——戦後60年 英連邦戦没捕虜追悼礼拝
★<教界ニュース>日本YMCA同盟、日本キリスト改革派教会
★米国:P・ロバートソン氏のベネズエラ大統領暗殺発言にWEAが非難の声明
★<落ち穂>中国人伝道者ユアンさんの生涯

 = 3 面 ニュース=
★アナスタシス号発[1]アフリカ社会に夢と希望 記・川嶋 康裕
★イスラム宣教セミナー(下)知ったかぶりはしない——ムスリムへの伝道のために

 = 4 面 牧会=
★<異文化体験とキリスト教信仰>[最終回]無自覚の価値観を自覚——帰国クリスチャン学生レポート 記・清野 勝男子
★<牧会ジャーナル>聖書に学ぶ 記・具志堅 聖
★<オピニオン>聖書翻訳、伝道も相手をリスペクトすること 記・米内 宏明
★<恵みのどんでん返し>子どもの障がい、私を造り直す 記・千 受京

 = 5 面 神学・社会=
★聖書が解き明かす「平和の契約」[5]「だれを礼拝するのか」問う黙示録 記・ウィラード・スワートリー
★バチカン:「離婚信者受け入れよ」と教皇
★<書評>『キリスト教と日本人』古屋安雄著(教文館、2310円)評・山北 宣久

 = 6 面 関西だより=
★国産唯一の教会礼拝用電子オルガンを製作——岡野オルガン工房
★学校建設着々と進展——ケニア・パラダイス孤児院リポート
★<関西クリスチャンショップ巡り>体と魂の処方箋扱います——なかもずシャローム薬局

 = 7 面 =
★「賛美と感謝を神にささげよ」——新生の関西エヴァンジェリカルハーモニー

 = 8・9 面 全面広告=
☆あなたの学校——東京キリスト教学園(http://www.tci.ac.jp
東京基督教大学・東京基督神学校

 = 10 面 今週の動き=
★<今日は何の日>9月4日—10日
★<日めくり元気の素>名著・聖書日課から一言メッセージ

 = 11 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★EVENT:愛・地球博「大地の広場」開催イベント(http://www.fhi.net/jifh/
★EVENT:シンポジウム「朝鮮人戦時労働動員を考える」(Tel.03-5272-3510)
★BOOK:『神様がくれた涙』飯島夏樹著(新潮社、1260円)

 = 12 面 ビジネスパーソン=
★祈りのサポートは最強です——井崎 義治さん[上](千葉県流山市長)
★<ミッションと起業>ウィリアム・メレル・ヴォーリズ([株]近江兄弟社創業者)[下] 記・芹野 与
★<気持ちが伝わる話し方> 記・中野 雄一郎
★<ミッションと起業>[上] 記・

 = 13 面 教会学校=
★<教会学校教師のひろば>自分を愛せない子どもが増加——周囲の大人の働きかけ方が重要:今村洋子氏の講演から
★<CS分級>紙粘土のオーナメント作り 記・永井 真衣子

 = 14 面 教会=
★長野・斑尾高原に白い教会堂が完成——単立・サンクゼール・チャペル
★<奉仕する恵み>笑顔で「よくいらっしゃいました」——倉知健一さん(単立・大和カルバリーチャペル伝道スタッフ)

 = 15 面 家庭・あかし=
★「平和に生きる」——ヨーロッパ・キリスト者の集い、ドイツで開催
★信仰決心者が続々と——ヒルソングバンド「ユナイテッド」の東京コンサートに若者3500人
★あんこや大塚さんに聞く(下)命がけでなく神様がけで伝道

 = 16 面 ひと=
◎澤谷 由美子さん(「おはなしのへや」主宰者)——「おはなしのへや」のエッセイ集を出版


侵攻の爪痕ガラス片を平和の象徴に−−アート「瓦礫の天使」を制作0509040201

2002年4月、イスラエル軍のベツレヘム侵攻により破壊されたガラス片を利用したアート「瓦礫の天使」。昨年のクリスマス、日本福音ルーテル教会では、この「瓦礫の天使」を全国130の教会に配布し、大きな反響を呼んだ。同教会は、戦後60年を迎える今年、原爆記念日に合わせて「瓦礫の天使」を制作するベツレヘム国際センター(ICB)のミトリ・ラヘブ所長(福音ルーテル・クリスマス教会牧師)を迎え、8月2日から8日の間に東京、京都、広島の全国3か所で講演会「爆弾には愛を」を開催した。  8月3日は、東京・新宿区の福音ルーテル・東京教会(山之内正俊牧師)での講演。パレスチナ生まれのアラブ人であり、牧師であるラヘブ氏は「いつイスラム教からキリスト教に改宗したのですか」とよく尋ねられるという。「一般的には『アラブ人はイスラム教徒で、キリスト教は西洋の宗教』というイメージが強いが、パレスチナで最初のキリスト教の宣教師はイエス自身であり、キリスト者がパレスチナにいることはむしろ自然なこと」と語った。
 しかし「長く続く紛争のさなか、パレスチナで生きることはとても困難である」と語るラヘブ氏。自身が体験した、「瓦礫の天使」の誕生にかかわる「最も恐ろしい体験」を話し始めた。
 2002年4月2日、突然侵攻してきたイスラエル軍は瞬く間にベツレヘムを占領。ラヘブ氏の牧会するクリスマス教会も占拠され、軍事行動の拠点とされた。軍による包囲と軟禁は50日間続き、やっと解放されたラヘブ氏らが見たものは、廃虚となった町並みと、粉々に割れ、通り一面に散らばるガラスの破片だった。「粉々に割れたガラスは、粉々にうち砕かれた私たちの夢・希望の象徴でした」。しかし、教会員や、教会に隣接するICBのスタッフらは瓦礫の中からガラスの破片を集め、ステンドグラスの技法を用いて天使、チョウ、ハトなどのアートを作ることを始めた。「破壊と絶望のしるしであるガラス片を用い、平和と希望と復活のしるしを作りました。これこそがキリスト者の役割であると思っています」とラヘブ氏。「憎しみは、破壊に対して立ち向かう手段にはなりません。キリスト者は、敵が隣人に変えられていくように助ける人であるべき」と語った。
 また、現在パレスチナで、町を包囲する8mの高さの壁が建設されていることに触れ、「今回、私は壁ではなく、橋を作るために来ました」というラヘブ氏は、滞在期間中に広島平和記念公園を訪れ、平和記念式典への参加や被爆者との対談なども開催した。
 現在、立野泰博牧師(福音ルーテル広島教会)が「瓦礫の天使」をモチーフにした絵本『ガラスの天使(仮)』の出版を予定している。日本福音ルーテル教会では、平和のキャンペーンとICB支援のために「瓦礫の天使」の注文を受け付けている。一括で取り寄せ日本語説明入りで千500円(国内送料別)。TEL:03・3260・1908(日本福音ルーテル教会宣教室)  【藤野多恵】

「私たちには記憶の責任がある」−−戦後60年 英連邦戦没捕虜追悼礼拝0509040202

戦後60年の今年、英連邦戦没捕虜追悼礼拝(同実行委員会主催)が11回目を迎えた。8月6日、神奈川県横浜市保土ヶ谷区にある英連邦戦死者墓地で行われた追悼礼拝には、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、オランダの各国大使館からの出席を含めて、約150人が参加した。
 同墓地は戦時中、日本に連行、強制労働に従事し、各地の捕虜収容所で死亡した英連邦および旧連合国の兵士ら千800余人が埋葬されている。追悼礼拝は、元日本陸軍通訳で青山学院大学OBの永瀬隆さん、国際基督教大学名誉教授の斎藤和明さん、青山学院大学名誉教授の雨宮剛さんの3人の呼びかけ人が中心となって、戦後50年の95年、第1回目が行われ、「日本で死んでいった捕虜のために日本の戦争責任をおわびし、和解と平和を築く礎にしたいという願いと祈り」を込め毎年開かれている。
 この日、追悼の辞を述べた日基教団・駒場エデン教会の岡田仁牧師は「現在に多かれ少なかれ影響を与えている過去の悲劇は、そこから学び、新たな悲劇を防ごうとするすべての人々によって記憶されることが求められている。侵略戦争や植民地支配の記憶と証言が尊重されることなく、しだいに忘れられようとしている今、大切なことは、現実と向き合い、心のひだに隠された事実を明らかにし、それを他者の証言とつきあわせて歴史にまで追い上げていく努力を続けることではないか」と述べた。礼拝後、出席者たちは夏の強い日差しのなか、各国の墓地を回り、追悼の念を込めて戦没捕虜を記念する碑の前に花をささげた。
 自らの戦争体験を語る人がますます少なくなり、戦争の風化が叫ばれて久しい昨今、雨宮さんは、若い人たちが「まずはこの追悼礼拝に参加し、心ゆさぶられ、それを機会に戦争を自らの問題として考えていく、戦争の記憶を語り継ぐ人になってほしい」と語った。       【正村献三】

澤谷 由美子さん(「おはなしのへや」主宰者)−−「おはなしのへや」のエッセイ集を出版05090416

澤谷由美子さん(日本キリスト改革派教会湖北台教会)が幼稚園入園前の幼児とお母さんのための「おはなしのへや」を始めたのは、14年前。いまは2か所の教会で月に1回、絵本の読み聞かせとそれぞれの絵本からのメッセージを語り合う。そこで取り上げられてきた絵本のエッセンスをまとめた『おはなしのへや|お母さんのための絵本の旅』(いのちのことば社、千470円)が出版された。それは3年前に急逝した夫・実さんが願っていたことの実現でもあった。
   夫が建てたログハウスから始まった「おはなしのへや」  改革派・松戸小金原教会の牧師であった実さんが、教会の敷地に建てた小さなログハウスから「おはなしのへや」は誕生した。
 子ども向けの読み聞かせは児童館などあちらこちらで行われていたが、澤谷さんは最初から「お母さんたちが集まれる場所を」と考えて始めた。「子どもが幼稚園に入るまで、お母さんたちには所属する所がないんですよね」。核家族状態の中で、まだ手のかかる乳幼児と密室にいることにもなりかねない。では、何を…。「絵本なら良いイメージがあるし、信頼を得ているものだから、抵抗なく喜んでもらえるのでは」と、教会の近所に案内を出した。10畳ほどのログハウスでの「おはなしのへや」に母子30数人が集まった。現代は子ども1人の家庭が多いこともあり、育児などの抱えている悩みを語り合えたという。  「おはなしのへや」は大きく分けて2部構成で行っている。第1部は手遊び、リズム遊び、簡単な工作など幼児たちと楽しむプログラムとおやつの時間に絵本の読み聞かせ、第2部は読み聞かせで取り上げた絵本をテーマにお母さんたちと懇談する「絵本講座」で、幼児たちは別室で保育する。
   神様は恵みを見せてくださるお方
 絵本講座での語り合いは、絵本からのメッセージを汲み取り、出会いと結婚や出産、子どもとことば、子育てと自分育てのことなど幅広い。「『おはなしのへや』は誰でも入れる所なんです」。聖書からの直接的な会話はないが、聖書信仰を基にした自分の自立、人生観そして永遠のいのちなどへの示唆が滋味として広がる。
 絵本講座での懇談のきっかけに、毎回取り上げる絵本を題材にエッセイを案内に載せてきた。「夫も『これが本になるといいね』と生前に言ってくれていたので、みこころなら出版させてください」と祈り続け、昨年一般の出版社に応募した。だが、費用の点で悩んでいたとき「信仰の友を通してキリスト教の出版社から出版される道が開かれ」実現した。  「牧師の妻であり、2男1女の母であり、女性で在るからこそ表現できる場所。子育てと自分を育てることの豊かさを分かち合いたい」と始めた「おはなしのへや」。3年前に脳内出血で急逝した実さんも、子育てを通してお母さんの「心の自立」が育まれ、分かち合い学び合うことを応援していた。
 14年間のお母さんたちとの分かち合いから生まれたエッセイ集『おはなしのへや』の出版記念会は、実さんの召天3周年に間に合い、7月中旬に開かれた。ある来会者は「改革派教会の宣教として『おはなしのへや』のような働きが広がるように願っている」と語ってくれた。実さんが生前に願っていた出版がかない、「おはなしのへや」も2か所に増え、11月には改革派教会東部中会の半日修養会で「おはなしのへや」の講演も決まっている。夫婦で語り合い、祈り合ってきた幼児とお母さんの教育にまた1つ新しい道が開かれ、「神様は恵みを見させてくださっている」と、与え導かれる神に感謝する。  「おはなしのへや」では、お母さんたちと自分育ての絵本の旅をしているが、「絵本の作者らの生地やゆかりの地を訪ねる旅行が好き」という。         【遠山清一】