ヘッドライン
[CSD]2008年2月24日号《ヘッドライン》
[CSD]2008年2月24日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎時代に逆行する政府にNO!——2・11東京集会「戦争と教育」
★コンゴ:南西部国境地域で地震
★被災地に響く歌声——森祐理さん中越沖地震再起支援に「希望の翼コンサート」
= 2 面 ニュース=
◎「神は唯一」小学生が証し——美濃ミッション事件を検証 同盟基督・新潟山形宣教区ヤスクニ委員会
★外キ協全国集会:進む外国人管理強化を危惧——「共存社会の実現」宣教の使命に
★「教会も戦争肯定・支持へ」——渡辺聡氏 9・11直後の米国教会を語る JEA関東三地区2・11集会
★<落ち穂>韓流ドラマとクリスチャン俳優たち
= 3 面 =
◎新潟中越沖地震から6か月「希望取り戻してほしい」——森祐理さん招きコンサート
★米国:聖書に基づくファイナンスセミナーに人気
★<教会の実情を知る:集計データから>[3]専任牧師生計と教会財政の変化——主な生計「牧師給のみ」53%
★<オピニオン>2月11日にこだわりを 記・根田 祥一
= 4 面 ビジネスパーソン=
★ビジネスをとおして神の祝福——前原 利夫さん[下](経営コンサルタント、牧師)
★<更正の手がかり>[13]勘定合って銭足らず 記・梅津 善一(公認会計士)
= 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『ヤンキー牧師の必笑恋愛塾』水谷 潔著(いのちのことば社、1,050円税込)
★BOOK:『祈りのリバイバルプロジェクト』ホン・ヨンギ著(トランスフォーメーション・グロース、1,980円税込)
★BOOK:『オルガンは歌う』辻 宏著(日本キリスト教団出版局、2,520円税込)
★REVIEW:『聖書が語るビジネスの法則』前原利夫著(いのちのことば社、2,100円税込) 評・三谷康人
= 6・7 面 2・11教会・教界の動き =
★「戦責告白もとに改めて再出発を」——日基教団・神奈川教区川崎鶴見地区
★「日本・アジアのため憲法9条の堅持を」——バプ連盟・北関東地方連合
★教会と国家の健全な関係の構築を——同盟基督・「教会と国家」委員会
★社会全体がつくる罠から自由になる生き方を——改革派・西部中会
★平和をつくるキリスト者の責任——神戸で信仰の自由を守る会
★本紙記事から「教会が直面する課題」——群馬ヤスクニ講演会で考察
= 8・9 面 新学期特集 =
★随想 聖書の深みを学ぶという生涯教育 記・守部喜雅
★1年間 毎日聖書と英語漬け——留学者のためのSYME軽井沢校
★2月25日から公開授業開催——神戸ルーテル聖書学院
= 10 面 教会学校 =
★聖書の感動を子どもと共有——ホーリネス教団教育局CS教師研修会
★<CS分級アイデア>育てて食べられる——たまごの顔に緑の髪が生えた みどり野キリスト教会JFキッズ
= 11 面 クリスチャンライフ =
★レンズ越しに見たタイの子どもたち——写真家・小林里花さん
★第1回全国ミニスターゴルフ大会
★フィリピン:カトリック教会が携帯で「アニメバイブル」配信
★新連載<僕の子育てライフスタイル>[1]声の聞こえる場所 記・堀井洋二
= 12 面 教会 =
★掲示板に伝道メッセージ掲載——毎週楽しみに立ち読み人も 日本イエス・名古屋教会
◎時代に逆行する政府にNO!−−2・11東京集会「戦争と教育」=0802240101
「建国記念の日」の2月11日、神話に基づき架空の「神武天皇即位の日」を祭日とした戦前の「紀元節」が復活するかたちで祝日に定められたことを憂慮し、この日を「信教の自由を守る日」と位置付けるキリスト教界では、今年も各地で講演会や集会が開催された。教育基本法改定による「愛国心」教育推進など、教育現場の危機を反映したテーマが例年に増して目を引いた。2・11東京集会実行委員会は、1967年に「建国記念の日」が制定されて以来、旧紀元節の復活を意味するとして、制定の反対集会を開いてきた。第42回の今年、東京・ 千代田区一ツ橋の日本教育会館で「戦争と教育」と題し、「戦争協力に仕向ける、思想統制の道具としての教育の問題性」をテーマに石井摩耶子氏(日本YWCA会長、恵泉女学園大学元学長)が講演、約150人が集った。
◇
石井氏は、06年に改定された教育基本法(教基法)の5つの問題点を指摘した。「第1に、旧教基法の前文にある『真理と平和を希求する』の『平和』が正義に置き換えられ、平和憲法との乖離といえる。第2は、『公共の精神を尊び』という文言を追加したこと。ここでいう『公共』とは、自民党の改憲案のパンフレットからもわかるように、国家を指す言葉で、国家から市民へ、社会へそして国際へと横の広がりをもつ言葉に発展してきた歴史の流れに逆行するもの」と語った。また、「第3には『教育の目標』で『態度』を問題にし、道徳、子どもの心の内面を法で縛っていること。第4に、教育は『国民全体に直接責任を負うべきもの』が削られ、『法律に従って行う』ことになり、国家による教育統制強化が図られたこと、第5に、家庭教育と幼児教育の条項が新設されたことは国家が家庭の中や地方行政にも関与しようとしていることの現れ」と述べた。さらに教育関連諸法や学習指導要領の改訂作業が進み、ゆとり教育の撤廃や教員免許の更新制、「道徳教育を各教科でも密接に関連づけ」、あらゆる科目に道徳を持ち込もうとしている矛盾や問題点を指摘した。また、国家の説く「道徳」の内実は、「体育では武道を、国語では『論語』などの古典暗誦で儒教道徳のすり込みが行われている学校もある」とも。
この教育の現状に対し、私たちが取り組むべきこととして、「歴史の真実の姿と向き合うこと、さらに戦前と戦後の連続性に目を留め、はっきり距離をおく態度を」と訴えた。「虐殺、加害の歴史を決して忘れないことが加害責任でもある。そのためにも、学校で使う教科書に科学的な史実を記述しなければならない。先の沖縄戦をめぐる教科書検定でも、抗議に対して文科省は修正申請を受理したが、日本軍強制の記述を決して認めてはいないことが問題」と指摘。さらに「戦争という最大の暴力の真実を理解するだけでなく、日常に潜む偏見、差別といった精神的暴力など戦争の原因にも絶えず目を向けなければならない」と述べた。 戦前、戦後の連続性について、「政治、経済や天皇制が戦前と分断されずに残ったことで、イデオロギー的にも断ち切れずにいるのではないか。昔のように国家権力にナイーブな信頼をよせず、心理的距離を置き、違った立場の少数意見を異端視する共同体のしぶとさにも屈しない態度が必要」と語った。
最後に「このような閉塞的状況が今の日本だが、世界に目を向けたとき、憲法9条 を人類共通の財産と期待する声が国際的にある。また、子どもの権利条約についても、 批准国である日本は5年ごとに報告の義務があり、日本政府のみならずNGOからも多くの報告が届いている。こういった国際的な動きの中で、私たちは手を取り合い今の日本にNOを発する運動を進めていける」と、これからの活動への希望も示唆した。
集会後はデモ行進が行われ、「憲法改悪反対」や「思想・良心の自由を」などを市民に呼びかけた。
◎「神は唯一」小学生が証し−−美濃ミッション事件を検証 同盟基督・新潟山形宣教区ヤスクニ委員会=08
日本同盟基督教団新潟山形宣教区ヤスクニ委員会主催の新潟「信教の自由」講演会は、1930年前後に教会の小学生が学校行事の神社参拝を拒否し処分された「美濃ミッション事件」を取り上げ、10日、新潟市内の新潟福音教会で開催。広田具之氏(同教団・軽井沢キリスト教会牧師)が「小さな者に用意された証し」と題して講演した。広田氏は、戦前の紀元節が学校教育を通して徹底され、天皇への忠誠心を教育していったことを指摘。それを証したのが神社参拝で、クリスチャンであっても国民の当然の義務とされた歴史に触れた。それは「キリスト教信仰が天皇教の下に位置づけられたこと」として、「同じことを再び繰り返してはならない。そのことを確認する意味で」と美濃ミッション事件の概要を紹介した。
美濃ミッション事件は29年9月、岐阜県大垣市中小学校で児童らを職員が引率して県社常葉神社の祭典に参拝させた際、美濃ミッションの4人の女児が早退を申し出た。1年生と3年生は帰宅を許され、6年生は許されなかったが鳥居から中へ入らなかった。これに対して美濃ミッション創設者ワイドナーが校長を訪れ抗議。その出来事を翌30年3月、地元紙が報じ問題化した。
さらに33年6月、同市東小学校で美濃ミッション聖書研究生の6年生の息子が伊勢神宮参拝の修学旅行を「偶像だから」と拒否。これに対して小学校校友会が美濃ミッション排撃を訴えるポスターを張り出し、「ミッション経営の幼稚園児を小学校に入学させるべきではない」「日曜学校生徒は小学校から退学させるべき」など地域社会挙げての弾圧が激化し、幼稚園は閉鎖、美濃ミッションは解散に追い込まれた。
その中で、29年に常葉神社への参拝を拒否した中小学校の児童のうち5年生になっていた大井スミヨに対して伊勢神宮参拝旅行に行くかが問われスミヨも拒否、母倉代が警察の尋問を受けた。講演会ではその取り調べの様子を寸劇によって、「神社参拝をするか」「いたしません」「なぜせぬか」「宗教儀式がありますから宗教と認めていたしません」「あったとてなんじゃい。…日本人で参拝せぬというやつがどこにある。そんなやつは非国民だぞ」などと生々しく再現した。
広田氏は、この信仰の姿勢を当時の市民も教会も「ゆうずうのきかない、自分とは異質なもの」と見たことに注目。「神は唯一ということは、他に比べるものがない絶対の存在者ということ。だから真の神とそれ以外のものを区別する、それが偶像です。(偶像礼拝を禁じる)十戒を日本人は一般に厳しすぎると感じるが、これは真理。イエスを主と信じる者はすべてを相対と見る。だからそれに支配されることがない、絡め取られることがない、そういう自由をもつ。それは尊い素晴らしいこと」として、「主なる神は唯一。この信仰をゆるぎないものにしたい」と述べた。
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なお11日には日本基督教団新潟キリスト教会での集会に、学校行事の「君が代」伴奏を、天皇を神として賛美した曲を弾くことはクリスチャンとしてできないと拒否した東京の公立小学校音楽専科教諭、佐藤美和子さんが招かれた。期せずして過去と現在の学校での儀礼強要とキリスト信仰との衝突の問題が、当地の2・11集会で浮き彫りにされた。
◎新潟中越沖地震から6か月「希望取り戻してほしい」−−森祐理さん招きコンサート=0802240301
昨年7月発生した新潟県中越沖地震から半年あまり。震度6強の揺れに見舞われた新潟県柏崎市内には、今もその爪痕があちこちに残る。その柏崎市で2月9日、「もう一度震災から立ち上がろう」と、ゴスペル歌手森祐理さん(日本国際飢餓対策機構=JIFH=親善大使)による「中越沖地震・再起支援 希望の翼コンサート」(同実行委員会主催、JIFH共催)が東本町の柏崎市市民プラザで開かれた。当日は約320人が詰めかけ、立ち見が出るほどの盛況だった。同コンサートは市内の教会とJIFH、柏崎市、柏崎教育委員会、柏崎市社会福祉協議会、NHK新潟放送局などの協力により実現。実行委員長は片桐宣嗣氏(ホーリネス・柏崎聖光キリスト教会牧師)だが、氏自身も教会の会堂が全壊するという被害に遭った。片桐氏はあいさつで「『再起』の『起』は喜びの『喜』、希望の『希』でもある。皆さんもぜひ喜び、希望を取り戻してほしい」と語りかけた。
森さんも阪神大震災で弟を失った体験をもつ。コンサートでは「故郷」、「浜千鳥」などの童謡や、阪神淡路大震災の追悼歌「しあわせ運べるように」を心を込めて歌った。また、「人は手をつなぐと心がつながる。心がつながると大きな力になる」、「立ち上がって声を出してほしい。再び柏崎が喜びでいっぱいになり、日本中に元気を運んでほしい」と聴衆に語りかけ励ました。
最後の曲「マイ・ウェイ」が歌い終わると、会場からは「祐理ちゃん、ありがとう!」とのかけ声も。森さんは「ストレートな反応に感動しました。本当にみんなが一つになれたコンサートでした」と感想を語った。
同コンサートには、「仮設住宅から来られた方々も多かった」と片桐氏。「市内にはまだ1千戸の仮設住宅がある。その仮設住宅にコンサートチラシを一軒一軒入れ、案内をした。当日も約40%ほどがチラシやポスターを見て来られた方々だった。コンサートに来てくださった方々はみな喜んでくれ、森さんの歌を聴いて涙する人もいた。コンサート後も森さんのCDが欲しいとの連絡があった」という。
同コンサートの模様は地元のテレビ、新聞などでも紹介された。