ヘッドライン
[CSD]2008年4月27日号《ヘッドライン》
[CSD]2008年4月27日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎「チベットに祈りの手を」——南アジアの教会から緊急レポート
★米国:宗教の自由委員会がブッシュ大統領に五輪開会式欠席を要請
★米国サンフランシスコで聖火リレー時に抗議集会
= 2 面 ニュース=
◎授産施設などに痛手——原油・原料価格高騰でも「値上げも心苦しい…」
★映画「靖国」上映中止に抗議——「表現の自由を放棄する行為」
★大阪府民イースター:復活を祝い決心迫るクリスチャファー・サン氏
★相次ぐ死刑執行に抗議——5月にも国連人権理事会審査
★イラク:バグダットで正教会司祭が射殺される
★<教界ニュース>イムマヌエル総合伝道団、日本同盟基督教団
★<落ち穂>問われる高齢者への愛の奉仕
= 3 面 =
★<教会の実情を知る:教会ルポ>[7]本来の牧師の務めとは何か——牧師と信徒との心のすれ違い
★<教会の実情を知る:集計データから>[11]中止した定期集会と閉塞感のあるなし——各種集会の「セル移行」傾向
★<オピニオン>神から一時的に与えられる指導者の役割 記・藤掛 明
= 4 面 ビジネスパーソン=
★ビジネスの現場で「信仰が生きて働く」——石丸 武史さん[中](神戸バイブル・ハウス事務局長)
★新連載<つながりのデザイン>[1]「壊された関係性」の回復へ——「愛・地球博」の体験から 記・小川 巧記
= 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『希望の力』深井 智明著(教文館、1,890円税込)
★BOOK:『日常で神とひびく』柳田 敏洋著(ドン・ボスコ社、1,470円税込)
★CD:「COME to JESUS」メグ&ピアノコウジ(HISWILL、2,625円税込)
★REVIEW:『<聖書流>生き方指南』中川 健一著(アイシーメディック、1,300円税込)評・黒田 禎一郎
= 6・7 面 特集/M・L・キング牧師没後40年 =
★神の国の正義を——キング牧師の「夢」を「夢」で終わらせるのか 記・佐藤 岩雄
★キング牧師と憲法9条——公民権運動から反戦へ 記・山本 将信
★マーティン・ルーサー・キング牧師その生涯
= 8 面 特集/聖句書道紙上展 =
☆全国からの作品を紙上展覧会
= 9 面 中国伝道特集 =
◎オリンピックを迎える中国——首都・北京で急成長する家の教会
= 10 面 教会学校 =
★遊びと聖書の場としての18年——平日に教会を開放、バプ同盟・運河キリスト教会「こどものへや」
★<CS分級アイデア>春にお勧め簡単花作り——ペーパーフラワー・ユリの花 記・石橋えり
= 11 面 クリスチャンライフ =
★「支援者に力もらった」——ジランちゃん一家に在留特別許可
★「行動でキリスと伝えわるように」——12年間の保護司活動の支えは
★<僕の子育てライフスタイル>[3]ぐさりと刺されたあの日のこと 記・堀井洋二
= 12 面 教会 =
★福音のためならと、ゴスペル・カフェ、ヒップホップなんでも——単立・土崎グローリアチャペル
◎「チベットに祈りの手を」−−南アジアの教会から緊急レポート=0804270101
中国・チベット自治区ラサで、3月に大規模な暴動が起きてから約1か月半。この事件によって、チベット人の人権を踏みにじる中国政府に対する抗議運動が世界中に広がり、今年7月に行われる北京五輪聖火リレーが妨害に遭うなど、各地に波紋が広がっている。南アジアの国の教会からのレポートを紹介する。夏の北京五輪を前に、中国政府に対するチベット人の抗議運動の火が広がっています。これを契機に世界中の教会でチベット民族に対する祈りの手が挙げられています。
私たちが住んでいる国には、チベットの人たちが自分の土地、家族を離れ、難民として命がけでヒマラヤの山を越え逃げて来ます。ここに来たとしても受け入れ側のこの国自体も貧しく、難民生活は大変で、多くの祈りと助けが必要です。
逃げてきた人たちの話によれば、チベット側では想像を絶する拷問、虐待が、今この時にも繰り返されています。チベット難民の人たちに対し、ある団体、個人が助けの手を差しのべていますが、まだまだ助けが足りない状態です。ここでも抗議運動デモが行われていますが、何も持たず平和的にデモ行動をするチベット人に対し、こん棒や盾で殴りつけ、多くの人たちが拘束されています。
チベットは100年以上の宣教の歴史がありますが、クリスチャンはほとんどいない状況です。理由として・長い間鎖国制度をとっていた、・強力な仏教中心社会構造、・他の場所に比べ地理的に行くことが困難、・現在、共産主義中国の監視下に置かれ更に自由がない状態、などが挙げられます。
ここでのチベット人教会は小さな群れですが、聖霊様が働いてくださり、信仰が成長しています。教会でも、今回の抗議運動は当然大きな祈りの課題になっています。また、抗議運動に参加し何回も拘束されている人、拷問に遭い子どもを産めない身体になってしまった女性もいます。しかし、その恐怖の記憶、怒り、苦しみの中で主イエスに出会い、少しずつ主の愛で失った希望をもち始めている彼らを見て、宗教、政治ではない、今も生きておられるイエス様の愛の力を崇めずにはおられません。
毎日抗議運動に行くチベット人の信徒が、朝のデボーションでこんなことを分かち合ってくれました。「中国人だからみな悪いわけでなく、チベット人だからみな良いわけでもない。中国人にもチベット人にもイエス様を伝えていかなければいけない」。あるチベット人の女性信徒は、泣きながらこう祈りました。「私も中国人を赦します。彼らは今、何をしているか分からないのです」
ぜひ、次のことをお祈りください。・これ以上、尊い命が落とされることなく、中国政府がチベット亡命政府と話し合いを始められますように、・数少ないチベット人クリスチャンが聖霊の満たしにより祈り続け、すべての民族に希望を告げ、働くことができるリーダーが生まれますように、・チベット人教会が地の塩、世の光としてこの試練を耐え忍び、十字架、復活の力を受けられますように、・中国人クリスチャンの中からもさらに祈りの手が挙げられ、十字架の愛によりチベット人と中国人のクリスチャンが一つとなっていけますように。
◎授産施設などに痛手−−原油・原料価格高騰でも「値上げも心苦しい…」=0804270201
原油や穀物・飼料の価格高騰を受けて小麦や乳製品など主要な食品が相次いで値上がりし、小売店や家庭に大きな影響を与えている。特に菓子・パン製造業者への影響は深刻で、値上がりを検討したり量を制限するなど、各業者が対応を迫られている。障がいをもつ人たちの雇用促進や自立支援を目的に、ケーキやパンなどを製造・販売するNPO法人や団体に、価格高騰への対応について話を聞いた。「結論を出しかねています」。障がい者雇用事業所で、製パン・製菓業を営む「株式会社メルヘン」(東京都東久留米市)創業者の佐原眞さんは言う。「この数か月で色々なものが値上がりしましたが、小麦粉は今月、また秋にもさらに上がると聞いています。それを見てからでなければなんとも…」。同社では、通常30~40%の原価率が現在50%を超えるほどといい、「今のままでは厳しいでしょうね」。値上げも検討するが、頭をよぎるのは顧客に対する思いだ。「地域の中学・高校に委託販売もしていますが、商品がワンコインで買えるというのが魅力の一つ。それを10円、20円上げるのはやはり心苦しい」と佐原さん。「国内産はそれほど上がらないと聞いています。もともと使用はしてきましたが、比重をさらに増やし、安全な商品を提供するという方向も模索中です」
心身障がい者の自立支援を行うNPO法人「行田のぞみ園」(埼玉県行田市)ではこの4月から、100円のケーキを110円にするなど、価格改定に踏み切った。「今年度から消費税を預かるようになりました。何もかも値上げで、状況は厳しいですが、税金分を含めて10円の値上げに抑えました」と矢吹博代表理事(行田カベナント教会牧師)。小麦がさらに値上がりするとの情報には「できれば良質の原材料で提供したいので、買いだめも難しい」と、対応に苦慮している様子だ。
また、東京カベナント教会の福祉作業所「のぞみ園」(東京都世田谷区)では、これまで厳密に行っていなかった商品の計量をきっちり行うなどして調整している。
(社福)身体障害者自立協会の「工房ナザレ」(大阪市東淀川区)では近々、製パン業を始めることも視野に入れているといい、「価格高騰の影響は否めない」と懸念している。
石窯で作る食パンが人気の小規模福祉作業所「工房マナ」(千葉県印西市)では現在、新商品の開発という形で少しずつ価格を調整している。萱場慶治所長は、「パウンドケーキなどは新商品に切り替えようがないので…」と、商品によっては価格改定の可能性ものぞかせたが、食パンに関しては妥協できないと言う。「決まった小麦でないと、うちの製法ではおいしく焼けないんです。食感や味を変えるわけにはいきません。利益圧縮された分を別のものでカバーしつつ、今後も品質を落とさずにつくっていきたいと思っています」と語った。
◎オリンピックを迎える中国−−首都・北京で急成長する家の教会=0804270901
今からちょうど50年前の1958年4月19日夜11時半、当時、北京市内にあった福音堂のユアン牧師は政府公認教会に加わらなかった罪で逮捕された。宗教事務局からの圧力は、1956年の王明道牧師逮捕の時から執拗に続いていた。1957年5月に、日本から中国の三自愛国教会を問安するキリスト教訪中団が北京を訪れた時、戦前に福音堂で伝道していた織田金雄牧師に請われるままに、教会への迫害状況をありのまま語ったのもユアン牧師だった。
「教会の頭は宗教事務所ではありません。教会の頭はキリストです。共産党は宗教事務局をつくってあらゆる宗教を指導していますが、私たち真の信仰をもつ者は参加を拒否します。これは政治に参加するなということでなく、また断じて政府や党に不満をもっているわけではありません。キリストが教会の頭なのです。宗教と政治は別のものです。三自愛国教会に加入することと愛国とは別のもので、一緒にすべきではありません」。逮捕される前、来るべき危機に備え、ユアン牧師は日曜の講壇からそう語っている。
言い渡された判決は終身刑。一時、北京の監獄に収監された後、黒竜江省の労働改造所で20年以上の歳月を送ることになった。当時、北京には70の教会堂があったが、そのうち11教会が三自愛国教会への加入を拒否し、それらの牧師たちもまたユアン牧師と同じ苦難の道をたどった。
21年8か月間の獄中生活から解放され、ユアン牧師が北京にもどってきたのが1979年12月22日のこと。北京の三自愛国教会からは加入の要請が執拗にあったが、それを断ったため、以後10年間は市民権も剥奪された。だが、それから、2006年に召されるまでの27年間、ユアン牧師は、その粗末な自宅を開放し家の教会として宣教活動を続けた。
転機となった
天安門事件
海外からもユアン牧師の集会を訪れるクリスチャンは後を絶たず、伝道者のビリー・グラハム氏も1994年に政府の招待で訪中した時、夜の自由時間を利用してユアン牧師を訪れ、按手の祈りをユアン牧師から受けている。だが、80年代中期までは、北京には6つの三自愛国教会と数百の家の教会があるだけで、クリスチャンはごく少数派だった。
事態が急変したのは、1989年6月4日に北京の中心街で起こった天安門事件である。戦車などの武力介入で数百人の犠牲者が出たと言われるこの内乱は多くのエリート青年に海外脱出の機会を与えてしまった。以来10余年、消息を絶っていたあの青年たちが、21世紀に入り中国に帰ってきた。しかも、多くの青年は「イエスは主なり」と告白する人々だった。
彼らは、初めは北京の目に入った三自愛国教会を訪ね、礼拝にも出席するようになった。だが、海外で明確な回心を体験していた彼らは、伝道することを禁じている三自愛国教会に留まることはできなかった。ある者はエリートサラリーマン、ある者は弁護士や芸術家、またIT企業の経営者など多彩な人材が、自然な形でマンションのリビングなどを集会場に集まるようになった。これらのクリスチャンを、人は「海帰派」と呼ぶ。
もちろん、北京の家の教会は多様である。北京の人口千200万のうち、400万人は出稼ぎ労働者「農民工」と言われるが、野放し状態の農民工の子弟の教育のために家の教会の信徒が献身的に奉仕し、信じる者を増やしている。
「今、北京だけで郊外も含めると、約5千の家の集会があるでしょう」と報告してくれたのは、この十数年、他の省から首都伝道のために来ている青年伝道者だ。彼の話だと、特に出稼ぎに来た青年たちの心のさびしさは深刻だという。「週日に集会場を借りて、食事会をしながら聖書の学びをします。これにはクリスチャンでない人たちが参加しますが、1年してそこから信仰をもった人を今度は、日曜の家の教会の礼拝に誘うのです」
集会そのものが非合法とされるお国柄、北京でも蛇のようにさとく鳩のように柔和な奉仕が続けられている。