ヘッドライン
[CSD]2011年7月3日号《ヘッドライン》
[CSD]2011年7月3日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎「日本はひとつ」に危うさ——痛み無視 真の意味の「葬り・弔い」とは
★プロバスケ選手 被災地へ——ボランティアの後の中高生にバスケ指導も
= 2 面 ニュース =
◎JEA総会:「危機の時代の宣教協力」新たに——震災対応に焦点
★<人事>JEA新理事長に安藤能成氏(同盟基督理事長)
★IFES東アジア大会:現代社会で神の国を建てる——東日本大震災被災地域の再建に責任果たせるようにとの祈りも要請
★<落ち穂>本当に大切なものは
= 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[50]坂本直寛の章:9——政治家として 信仰者として 記・守部喜雅
★政治家は常に危機想定を——自民党政調会長・石破茂氏 被災地視察を報告
★宣教フォーラム青森 7月18・19日開催へ——地域の課題を教派横断で
★<オピニオン>苦難の中で問われる福音 記・根田祥一
= 4 面 ビジネスパーソン=
★小渕 暁さん[下]([株]ひかり塗装代表取締役)——2号棟の下には聖書が… 記・清水 茂則
★<定年後の挑戦>[2]リタイア・ライフは「友共人生」 記・星野 隆三
= 5 面 牧会/神学/社会=
★キリスト教と日本との第4の出合いのために<後編> 記・藤原淳賀
★クリスチャン芸術家が共演「無名展」——1人では完成しない
★<精神障害と教会>[99]「理解」と「行い」?——自分事として知ろう 記・向谷地 生良
= 6・7 面 全面広告=
☆ジョセファット・ガジマ大会2011 奇跡 よみがえれ日本!!
8月11日(木)~13日(土) 埼玉・川口総合文化センター・リリア
問い合わせ先Tel.042-495-8041(清瀬全福音教会)
= 8・9 面 福音車21=
☆福音車21 ゴスペルボックス北海道巡回報告
= 10 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★EVENT:「サマーコンサート2011」@インマヌエル中目黒キリスト教会(Tel.03-3338-6262)
★BOOK:『CGN Journal Vol.3』(CGNTV、無料贈呈、Tel.03-5338-6620)
★REVIEW:『もう、ひとりにさせない』奥田知志著(いのちのことば社、1,365円税込)評・田口昭典
= 11 面 クリスチャンライフ =
◎カメラを持って外に出よう!——障害者の写真クラブ「ラポール写真同窓会」が初の写真展
★「今を大切に生きたい」——福島第一聖書バプテスト教会の被災体験に中学生らから反応
★<また行きたい! 教会の魅力>[19]キーワード「ヴィジョン」?——ビジョン大きく 聖書に忠実
= 12 面 ひと=
★レイ・シェファーさん(プロバスケット選手)——心優しきビッグマン 被災地へ
◎「日本はひとつ」に危うさ−−痛み無視 真の意味の「葬り・弔い」とは=1107030101
日本バプテスト連盟靖国神社問題特別委員会(奥田知志委員長)が5月30、31日、2011年度の第1回委員会を恵泉バプテスト教会(東京都目黒区)で開いた。3月の、東日本大震災発生を受け、「死の受容あるいは弔いについて考える」、「『日本はひとつ』『頑張ろう日本』『絆キャンペーン』という状態について」をテーマに、4人が発題。それぞれ、真剣な意見交換を行った。「死の受容あるいは弔いについて」では、藤田英彦氏(東八幡キリスト教会協力牧師)、鈴木重義氏(同連盟元総務部長)、濱野道雄氏(花小金井キリスト教会牧師)が発題した。
藤田氏は、「愛する人をなくした被災者は『なぜ自分は生き残ったのか、なぜ助けてやれなかったのか』という自責の念、『神も仏もあるものか』という不条理に対する問い、苦痛を抱えている」。「悲しむ者と共に哀しみ、悼む者に寄り添う。この業が、真の意味で『葬り・弔い』であろう。牧師は、現実の悼みと哀しみに直面している者に向かって言葉もないが、それでも慰めを語り、さらにこの冷厳な事実を直視することを告げ、その上でキリスト教の福音を伝える」と語った。
鈴木氏は、「習俗としての神道・仏教」をテーマに日本古来の死生観、仏教の死生観、それらの問題点について語り、「人は肉親・知人の死に直面したとき、『いのちと死』について思いを深める時が与えられるが、多くの人にとって神道・仏教の葬式は通過儀礼に過ぎず、日常の生き様にまで浸透する宗教力を持ち合わせていないのが現状。キリスト教は、『いのちと死・葬り』についていかに訴えるか」と問題提起した。
濱野氏は、震災における弔いの課題について発題。「弔いができないと、人はスピリチュアルな痛みを抱える。ここに宗教者の意義がある。教会はどう取り組むべきか」。バプテストにおいては、弔い・葬儀は?「天国に行った、行かない」を議論せず、生前も死後も変わらない神の愛に委ねること、?家族と共同体への慰め、の2つの意味がある。イエスの死と葬りの理解は「自然な出来事としての死後の世界と、それに基づく死者利用の否定、死すらも、神と人、人と人を引き離さないという復活思想、死は生と関係させて語るべきであり、復活とは、関係性の復活である」と提起した上で、「弔い・葬儀においては『死者がどこにいるのか』より、『死者が誰と共にいるのか』、『死者は神が引き受けてくださる』と語り、祈るべきでは。ならば弔いや葬儀はバプテスト教会が教会内外で担うよう勧められる宣教課題である」と締めくくった。
◇
「『日本はひとつ』『頑張ろう日本』『絆キャンペーン』という状態について」で発題した谷本仰氏(南小倉バプテスト教会牧師)
は、実際に被災地に赴いた経験を通して語った。谷本氏は、「『ひとつ』と言っても様々な『ひとつ』がある。それぞれの人が二つとない『ひとつ』の出来事を経験し、それを確認し、傾聴し、理解を繰り返すことによる『ひとつひとつ』。対話ややりとりを通しての『ひとつ性』。これに対し、イデオロギーや暴力で塗りつぶすように同質化していく『ひとつ』。最初から『ひとつになろう』ではなく、本当の『ひとつ』とは、丁寧につないでいくことでようやく、なんとなく見えてくる一体感ではないだろうか」と問題提起。
キリスト教支援の危うさとして、被災地で会った一人の男性について話した。
「妻を亡くしたその男性は、外国人宣教師が『神様を信じればあなたも大丈夫ですよ』と言うのに対し、下を向きつつ静かに『俺は神なんか信じない』とつぶやいた。その人の思いに寄り添うことなしに、『正しい』支援などない。常に『このやり方でいいのか、あの時こう言って正しかったのか』、自問自答しながら寄り添っていく必要を痛感した」
震災の支援が急がれる中で急速に進められる憲法「改正」、君が代起立条例…塗りつぶす形の「ひとつ」への力が強まる中で、今、改めて「ひとつ」の意味を問い直すことが求められている、と谷本氏は語った。
◎JEA総会:「危機の時代の宣教協力」新たに−−震災対応に焦点=1107030201
日本福音同盟(JEA、品川謙一総主事)は第26回総会を6月608日、静岡県掛川市のヤマハリゾート・つま恋で開催、東日本大震災からの救援・復興に向けた取り組みなどを主とする2011年度活動計画案を決議した。総会プログラムも震災に対応、被災地から「キリスト者の証言」を聞き、「新たな危機の中で宣教(教会)協力をどう進めていくのか」を話し合った。「東日本大震災キリスト者の証言」をしたのは、田中時雄(聖協団・宮城聖書教会牧師)、吉田隆(改革派・仙台教会牧師、仙台キリスト教連合被災支援ネットワーク代表)、近藤愛哉(保守バプ・盛岡聖書バプテスト教会牧師、3・11いわて教会ネットワークコーディネーター)、住吉英治(同盟基督・勿来キリスト福音教会牧師、いわきキリスト教連合震災復興支援ネットワーク代表)の各氏。それぞれの被災体験や、教会協力による地域社会への救援・復興の動きと課題などを聞いた。
09年9月に札幌で開催した第5回日本伝道会議(JCE5)のテーマ「危機の時代における宣教協力~もっと広く、もっと深く~」を受け、大震災という「新たな危機の時代における宣教協力」をテーマに小平牧生(兄弟団・西宮教会牧師)、中台孝雄(日本長老・西船橋キリスト教会牧師、JEA援助協力委員長)の両氏が発題。「新たな危機の時代」の認識を共有し、救援・復興活動に取り組みながら5年後、10年後に実を結ぶ宣教(教会)協力をどう進めていくのかについて話し合った。
JEAでは3月25日に中台孝雄援助協力委員長を室長とする「JEA東日本大震災対策室」を設置、被災地への視察を経て4月理事会で4人の理事を加えた対策室プロジェクトチームを発足させた。2011年度活動計画では、救援・復興の取り組みを次の3つの流れを柱として進めていく方針。?各教団・教派による救援・復興活動(主に被災教会が所属する教団・教派)。地域的には各教団・教派の教会がある場所に限定される。?超教派での救援・復興活動(主に被災教会がない教団・教派)。地域的には?でカバーされていない地域に支援をしていきたい。?協力会員である各救援団体による救援・復興活動。これら3つの流れが互いに連携・協力できるよう、震災対策室が中心となって、JEA内のネットワーク構築を目指す。?においてはJEMA(日本福音宣教師団)との協力関係の中でクラッシュ・ジャパンと連携し、ボランティア活動を推進。同本部および地域拠点に奉仕者を派遣し、地域教会との連携をはかりながら諸教会を支援する。?においては救援団体と共にボランティア・トレーニング・セミナーなどを適宜開催する。また国内外からの支援金の受け入れ窓口となり、見舞金などの分配を行う。
2016年に開催が予定されている第6回日本伝道会議(JCE6)に向けた取り組みとして、JCE5の流れを受けて企画された「2011宣教フォーラム青森」が7月に、「宣教フォーラム秋田」が10月に開催される。12年9月には「第1回日本青年伝道会議」を開催の予定で青年委員会を中心に準備が進められている。JCE6の開催候補地として神戸が挙げられ理事会のもとにJCE準備室が調整を進めている。JCE6のテーマや理念、プログラムについては今年度中に各専門委員会から提言を受け、来年総会までに一定の方向性を出したいとしている。
専門委員会で
原発問題検討
理事会からの付託に基づき、JEA専門委員会の中で神学委員会(山口陽一委員長)と社会委員会(渡辺敬直委員長)が11年度活動の中で原発問題に関する課題や対応を検討する。
今総会では、専門委員の任期を2年、連続3期までとする規約改正を可決した。
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今総会中、昨年10月に南アフリカで開かれた第3回ローザンヌ世界宣教会議について、日本ローザンヌ委員会(金本悟委員長)が報告。JEA宣教委員会から同会議に派遣された末松隆三氏は10年度活動報告で、「世界宣教に関する情報源、また『宣教の神学』を構築する上で、WEA(世界福音同盟=JEAが加盟)と共にこのチャンネルは重要」との考えを示した。
◎カメラを持って外に出よう!−−障害者の写真クラブ「ラポール写真同窓会」が初の写真展=1107031
「体が不自由になったら世界が狭くなってしまう」。そんなネガティブな考えを覆すような取り組みがある。横浜市の身障者スポーツ文化センター「横浜ラポール」を拠点に活動する有志の写真クラブだ。メンバーは02年に同所で開かれた「はじめての写真教室」で知り合った仲間たち。講師は写真家・小山貴和夫さん(日基教団・信濃町教会員)で、02年以来、有志写真クラブの活動に携わる。このたびはじめての写真展|「ラポール写真同窓会展 カメラを持って飛びだそう!」が東京・新宿区のポートレートギャラリーで開催された。小山さんは報道を中心とするフリーの写真家で、写真専門学校の教職員でもあった。「02年の『はじめての写真教室』で講師を務めたことからメンバーと知り合いました。ラポールで教えるまでは障害者には教えたことがなかった」という。教室のメンバーはほとんどが中高年になってから脳梗塞や心筋梗塞などで倒れ、手足に障害が残った人たちだ。「定年前後で病に倒れ、大変苦しい時期を過ごしたと思います」と小山さんは語る。「写真クラブのメンバーは、体の自由がきかないので、先生を真似て撮ることができません。その分かえって、オリジナリティーが出ます。どうしてもカメラを真っ直ぐに持てず、カメラが下に傾く。そのため空が入らない写真が多いのです」
そのためか展示されていた写真はどれもぐっと被写体に迫った迫力のあるものが多い。しかしどれも、障害をもつ人が撮ったとは思えない、表情や景色の一瞬が収められた逸品ばかりだ。クラブは月に1度。その日にこれぞと思うものを携え、小山さんに講評してもらう。小山さんが選んだベストショットをそれぞれが引き延ばし、次回例会でラポールの2階通路の壁面に展示する。「小さい写真の中から選びますが、引き延ばすとやっぱり選んで良かったなと思います」。今回展示された60点はそれからさらに選ばれた作品だ。「ベストの一枚を撮るまでに何百枚もの手ぶれや逃したショットがあるんです。この展覧会を3回できるくらいのすばらしい写真がまだまだあるんですよ」
写真が持つ力、
写真が伝えるもの
「写真は撮る人の心を映します。多くの人は、『何を撮るか』というモチーフにこだわり、テーマとモチーフを混同していますが、そのモチーフを通してテーマをどう反映させるかが重要です」
同写真クラブのモットーは「無理せず、諦めず、頑張らず!」。メンバーのほぼ全員がカメラ初心者だ。病に倒れなければ、一生カメラの趣味を持つことはなかったかもしれない。そんな人も多い。「『カメラがあれば歩き出せます』とよく言うんですが、実際、行動範囲が数十メートルだった人が数キロも動けるようになったり、歩き回るので体力もついて最高のリハビリだと思います」。自分の好きなモチーフに出合い、その世界を掘り下げて撮ることでカメラの腕も格段に上達していく。「体が不自由だからできない。カメラも持てない。そう思って諦めてしまう人もいると思いますが、カメラを持って一歩踏み出すときに世界が大きく広がります。講師の働きを通して『地の塩』のようにそのサポートや才能を引き出すことをさせていただいています。展覧会をすることで、障害をもっていてもできるんだと『世の光』として希望を与えられたのではないかと思います」と小山さん。「さらなる願いは、右手が不自由な人のために左側にシャッターボタンのあるデジタルカメラが開発され、1眼レフカメラが軽量化されることだ。また、「全国にこのようなクラブが誕生して障害をもつ人が外に出る、元気になるきっかけになればと思います」