離婚によって離れ離れになった彩香に絵本を読み聞かせしたり、創作話をねだられていた銀三郎だったが。 ©2013『じんじん』製作委員会
離婚によって離れ離れになった彩香に絵本を読み聞かせしたり、創作話をねだられていた銀三郎だったが。 ©2013『じんじん』製作委員会

北海道旭川市から北へ約50キロメートル。’絵本の里’を標榜する畑と山々の緑に囲まれた小さな町・剣淵町。この町を舞台に、人と人の心を和ませ絆をより深く結び合わせていく絵本がもつ味わい深さを温かい目で描いている。

ガマの油売りなど大道芸人として全国を渡り歩いている立石銀三郎(大地康雄)は、年に一度、幼なじみの高峰庄太郎(佐藤B作)が経営する農場へ手伝いにやって来る。今では気ままな一人旅を楽しんでいるが、かつてはサラリーマン生活をし妻子も持っていた。大道芸を諦めきれず、一人娘・彩香(小松美咲)が6歳の時に妻の和子(手塚理美)と離婚してから二人とは一度もあっていない。

借家をし、農場を手伝ったり町の絵本の館で子どもたちに紙芝居を演じたり、気ままに過ごす銀三郎。その手伝っている農場に、町の高校から体験研修旅行で3人の女子生徒たちがやって来た。自己紹介をし合った一人、日下部彩香は銀三郎が自分の父親だとすぐ気付いたが、和子が再婚した相手の名前に銀三郎は気づかなかった。動揺する彩香は、同級生たちのように打ち解けることもできず苛立ちを見せる。そんな様子に気づいた研修担当の農場の青年・高峰健(井上正大)には、自分の悩みを打ち明けることが出来た。

銀三郎がまた旅に出るという。息子の健から彩香の事情を聞いていた庄太郎は、銀三郎に彩香が実の娘であることを告げる…。

©2013『じんじん』製作委員会
©2013『じんじん』製作委員会

‘みんなで支える豊かな未来。子どもが健やかに育つ町づくり’を理念に生まれた剣淵町の絵本の館。大人たちが時間を作っては、絵本を読み聞かせしたり、教えたりと子どもたちの居場所を作る努力をしている。絵本を介して、大人と子ども心が触れ合い、子どもに未来をイメージさせる力を生み出している。銀三郎もまた、6歳の娘・彩香に『クロコダイルとイルカ』の物語を創作している途中で別れたままだった。その創作絵本を完成させたい。なんでも食べてしまうワニのように、自分の夢を食べ続けた父親が気づかされたもの。映画から生まれた創作絵本『クロコダイルとイルカ』のエンディングは、子どもたちの存在の豊かさを大人たちに語っている。 【遠山清一】

監督:山田大樹 2013年/日本/129分/映倫:G 配給:『じんじん』全国配給委員会 2013年7月13日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次公開。
公式サイト:http://www.jinjin-movie.com

ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2013ファンタランド大賞・ファンタランド大賞人物賞(大地康雄)受賞作品。