本書は「教会とは何か」という問いを中心に展開され、ともすれば現実と聖書という二元論に引っ張られそうになる者に立ち位置を据え、著者の痛みや経験が分かち合われながら物事を徹底して聖書的に捉え、信仰により希望をもって教会に生きる喜びを平易な言葉をもって示してくれる。

 第1章では著者が幼い頃に見たこたつを囲む祈祷会という最も素朴でリアルなところから始まり、第2章では教会が拠って立つ聖書から教会の多様で豊かなイメージが提示される。これらをもとに第3章から第6章では、礼拝・説教・洗礼・聖餐という教会のしるしと呼ばれる要素がいのちある事柄として現場の言葉をもって丁寧に展開される。第7章は一人の魂と向き合う伝道への情熱にあふれ、第8章には教会を建て上げる歴史に学んだ著者の足跡があり、第9章では祈りを中心とした交わりと愛の業とが重なり合い、第10章で信仰告白ゆえの戦いを伴う筋の通った生き方が貫かれ、第11章において悲しみのなかに差し込んでくる主の約束による確かな希望が輝き、そして終章では、これまで論じられてきたことが折り重なって教会に生きる喜びに満たされる。

 日本の教会は都市と地方で課題が異なるかもしれない。しかし、幼少期を過ごした開拓期の教会、岡山での伝道者スタートと伝道所の牧会、さらに東京での牧会と東日本大震災での働きという著者の経験と葛藤そして圧倒的な神学的思索によりしたためられた言葉に日本の教会の希望を垣間見た気がする。

 なにより私は本書を読みながら「教会に生きるとはそういうことだ」との深いうなずきと新たな気づきが与えられ、教会に生きる喜びの深さを味わい、慰められ、強められている。実際、読み終えた次の日曜日、主の前にともに集まる兄弟姉妹らを見たとき、これまでにないほどの喜びが私の心にあった。

 ぜひ教会の読書会で読んでいただきたい。どんな状況であろうと神のことばが語られている貴教会を神が喜んでおられる事実と、そこに生きる喜びをともに味わう恵みがある。

評・平井聖歩=名古屋福音自由教会牧師

『教会に生きる喜び 牧師と信徒のための教会論入門』

朝岡勝著 教文館 1,944円税込 四六版

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