日中韓の諸宗教者が集まり、「東北アジア平和共同体を構築するために克服すべき諸課題」をテーマとして、2017年に韓国で開かれたセミナーを書籍化。日中韓の歴史・政治的な対立も問題にしながら、率直に他国、自国の課題を議論し、宗教者のあり方、協力の可能性を模索する。経済的に密接な関係がありながら、欧州のような共同の機構が存在しない「アジア・パラドックス」のが浮かび上がる。監修の山本氏(元日本キリスト教協議会総幹事)は、「大東亜共栄圏」の悲劇にいたった日本のアジア認識、宗教者とナショナリズム、差別偏見の問題を指摘。自己防衛に陥りがちな宗教者、宗教団体のあり方にも注意を促す。

『東北アジア平和共同体構築 のための宗教間対話 「IPCR 国際セミナー 2017」からの提言』
山本俊正監修、金永完監訳、佼成出版社 972円税込 新書判
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