「とにかく祈って」 現地ルポ 香港デモと祈りの集い


10月20日、香港では6月以来続くデモ行進が実施され、35万人とも言われる人々が参加。記者はこの日、同地に居合わせ、デモの模様を目撃した。20代と見られる青年たちの多くが、黒で統一した服装をまとう。行進が始まると、あちこちでシュプレヒコールが上がり、道という道から人々が流れ込んだ。デモ自体は家族連れがいたり、バスの横断に配慮するなど平和的なものだった。危険が生じたのはデモ終了の後。興奮した若者たちがあちこちで破壊行為をし、交通はマヒ。一方警察は催涙弾や放水車で応戦した。翌朝にも街に破壊や放水の跡が残り、様々な商店がシャッターを下ろしていた。21日夜には、福音派のクリスチャンによる祈祷会が政府庁舎前の公園で実施された。賛美と祈りを繰り返し、3人の牧師のメッセージに会衆は耳を傾けた。激しい抗議活動と静かな祈り。対照的だがどちらも切実な香港の情勢を表している。香港における逃亡犯条例改正に端を発した市民の抗議活動から4か月。教会や世代間でも分断があるという。「とにかく祈ってほしい」と香港のある牧師は語っていた。(2面につづく)【高橋良知】