「礼拝できるのは感謝です」 緊急事態宣言解除、動き始めた教会

 関西圏では5月14日に奈良、和歌山、滋賀各県の新型コロナウイルス拡大に伴う緊急事態宣言が解除され、21日には大阪府と兵庫県、京都府の解除が宣言された。キリスト教会にとって、経験したことのない非常事態の対策に追われた1か月余りだった。解除となっても、各教会は今後も気を緩めず、状況を観察しながら通常を取り戻していく努力がなされている。

 神戸市灘区のキリスト改革派・神港教会は、6月7日の礼拝から公的礼拝を再開すると決めた。5月31日の週報に再開に向けた留意点を記して注意喚起した。たとえば、マスクは必須で、ない人には受付で渡すが、廃棄は自宅で行うこと。また、ペンを使い回すことになる記帳は控えるなど、細かな配慮が記されている。

 会堂に集まれない間、週報は木曜日に印刷したものをメールや郵送で送り、日曜日のために備えられるようにしてきた。岩崎謙牧師は「細かなことからていねいに対応することで、多くの人が抱えている不安感を払拭し、高齢の方も安心して来られるようにと、対策を練ってきました」と、次のステップに向かう。

 5月の教会月報に、岩崎牧師は次のように記した。「(コロナ禍は)礼拝に来ることができない方々への牧会をどのように行うかという問いを、教会に突き付けました。この課題はコロナ以前からあったことですが、教会はそのことに真剣に向き合うことができていませんでした。悔い改めをもって、このことに力を注ぎ、この経験を公的礼拝再開後にも生かしていきたいと願っています」

 大阪府八尾市の福音自由・グレース宣教会も、基本的感染防止対策をしながら6月から通常礼拝、定例集会を開始する。緊急事態宣言後、在宅集会という形でネット礼拝や集会を続けてきたが、藤﨑秀雄代表牧師は「た

とえ在宅でも、一人一人同じ礼拝を共にできました」と、実際に集まれなくても礼拝の一体感が感じられたと振り返る。YouTubeが見られない人には、事前収録したメ

ッセージのCDを届けたり、そのCDを使って在宅集会をする信徒もあった。

 三重県で運営する老人ホームの礼拝ではLINEを活用し、中高生は「Zoom」で聖書通読の音読リレーをしたりと、コロナ自粛期間はITを駆使した期間でもあった。藤﨑牧師は「あらゆる手段を使った礼拝、牧会が身についたように思います」と、新たな宣教手段に期待を寄せている。

 奈良県生駒市の同盟基督・生駒めぐみ教会も、6月から午前の礼拝を2回に分けて再開する。各回40人をめどに、参加できない人はネット礼拝を行う。教会学校は2回の礼拝の間にはさむ。中谷美津雄牧師は今回の非常時は「教会の本質とは何か」を、考えるときにもなったという。

 「礼拝を中心にして教会がありますが、集まれないとなると交わりができなくなります。顔を合わせて挨拶をする程度の人であっても、それすらできない。ネット礼拝の感想を書いてもらって、まとめたものをメールで配信するという交わりをしていますが、それがかえって、そうした挨拶程度の人との交わりを広げた面もあったり、教会の交わりとは、教会とはと、考えさせられています」と、話していた。

 神戸市兵庫区の日本イエス・神戸中央教会では5月31日から、通常3回の礼拝を2回にして礼拝を再開し、徐々に様子を見て戻していく。体調不安な人、既往症のある人は控えるよう呼びかけている。石崎伝道師は「教会で礼拝したいという願いがやっとかないます。礼拝できるのは感謝です」と、話していた。