「ですから、私たちは勇気を失いません。たとい私たちの外なる人は衰えても、内なる人は日々新たにされています。」(コリント人への手紙第二 4章16節、新改訳第3版)

タイトルに引用されたコリント人への手紙を始め、新約聖書には初代教会の信徒たちに宛てられた使徒書簡と呼ばれる手紙が多くあります。それらの中には、教会間で回覧され、礼拝において公に朗読されたものもあれば、パウロが若い牧師テモテに宛てたような、個人的な牧会書簡(パストラルレター)もあります。現代の読者である私たちは、常に第三者であるにもかかわらず、自分にではなく他人へ宛てられた手紙を、神からの個人的なメッセージ(手紙)として読んでいます。

牧師、教師、聖書神学者、翻訳者として、幅広く活躍されている著者は、「キリスト教は初めて」「聖書は初めて」「祈りは初めて」のシリーズ同様、常にアカデミックな知識やことばを分かり易く伝えることに努めておられます。それらの働き全てが反映された41通の手紙は、牧会学や宣教学にも通じる福音の神髄が凝縮され、創世記から始まるキリストの福音を体系的にわかりやすいことばで教えています。「神を信じない」と断言していた闘病中の若者の心が、手紙という形で届けられた福音のメッセージによって少しずつ変えられて行く様子が、一通ごとの文面から生き生きと伝わってきます。

コロナ禍で病院や施設へのお見舞いや訪問が難しい時だからこそ、改めて手紙による伝道や牧会の有効性が問いかけられています。どれだけ多忙を極めていたとしても、一通一通丁寧に愛と祈りを込めて投函された牧会書簡は、主の計り知れない恵みのうちに用いられ、豊かに実を結びました。助けていると思っていた者が、実は助けられている。寄り添う者にも、寄り添われる者にも、勇気を与えてくださる神を褒めたたえます。(評・森本泰三=単立久留米キリスト教会牧師

私たちは勇気を失いません 病と闘う青年に宛てた41通の手紙
内田和彦著、いのちのことば社、1,540円税込、 四六判

―――――――――――――――――□

★「クリスチャン新聞WEB版」(有料)https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/csdb/  では、1967年創刊号からの週刊「リスチャン新聞」を閲覧、全文検索(1998年以降)できます。
□―――――――――――――――――――――――――□
クリスチャン新聞オンライン
『週刊クリスチャン新聞電子版・有料版』(1ヶ月¥794)
お申込みは↓