本書でも記されていますが、1900年代初頭、アメリカ、ロサンゼルスで始まったペンテコステ運動は、70年の5千800万人から2020年には6億4千400万人(ゴードン・コーンウエル大学世界キリスト教研究センター、トッド・ジョンソン所長による)に成長し、その広がりは現在も全世界で続いています。このペンテコステ運動の全貌をコンパクトに紹介しているのが本書『現代ペンテコステ運動の歴史』です。

著者が所属している単立ペンテコステ教会フェローシップのルーツとなった北欧のペンテコステ運動、また日本におけるペンテコステ運動のはじまりからカリスマ運動(聖霊刷新運動、第二の波)、そして、第三の波(福音派の中での展開)までを網羅する、この運動の流れを一望することができる、ペンテコステ運動の入門書として、また今後の研究の土台となる書です。

また、この運動の中で宣教、牧会に関わる者として、著者は「補記」の中で、神学的課題や今後の方向性(「クリスチャンとして『狭い道』を選択し歩みながらも、おおらかで寛大な心を持って生きる判断力の大切さとバランス感覚」)にも言及しています。

著者が指摘しているように、「聖霊のバプテスマと御霊の賜物の現れを信じているクリスチャン」、つまり、教職者だけにとどまらず、さまざまな人びとにより、いろいろな領域で展開されているペンテコステ運動は、国際的にも日本国内においても集結の動きを見せています。この動向から今後の聖霊による「第四の波」につながる可能性についても論じられています。

コロナ禍での教会の衰退が顕著であると見られてはいますが、いつの時代にも、どんな状況でも神は新しいことをされる方だと聖書は示しています。「新しい働き」を導かれる聖霊なる神に期待し、リバイバルを祈り求めることへと導く、今、ぜひ読んでおきたい一冊です。
評・永井信義=東北中央教会牧師

『現代ペンテコステ運動の歴史 — アズサ・リバイバルから第四の波まで』
小山大三著、岐阜純福音出版会、1,375円税込、A5判

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