「新しいこと」は「今、芽生えて」(イザヤ43・19)いる。超教派の石巻クリスチャンセンター(ICC)を中心に石巻の支援と宣教を振り返った本連載。最後はインタビューした数人のその後や次世代への思いをまとめて紹介する。【高橋良知】

前回まで

新連載 石巻の新しいことー序ー  2つの「川」

「同じ痛み」で愛に動く    ~1~ 

支援・伝道協力で次世代育つ  ~2~

悲しみの先の「復興」祈り活動 ~3~

地域にとって教会が持つ意味  ~4~

苦しむ人に教会がどう仕えるか ~5~

チームの中で必ず役割がある     ~6~

 

§   §

兄弟団・東京新生教会牧師・長内愛一郎さん

支援活動は現場の活動の背後に多くの協力、理解、祈りがある。いっしょにやっているという意識が大事。災害支援は内向きにならず教会が外を向くきっかけになる。自己目的や自己愛ではなく、他者への愛が喜びになる。一方通行ではなく人の痛み、苦しみが分かるリーダーの育成が重要。

仙台教会牧師・中田元さん:

無駄に見えても愛のわざをやっていくことが大事。近隣の人々と信頼関係ができた。「勧誘」では人の心は開かない。震災を通して、いくら地上で栄えても、一瞬でそのようなものは無くなることを実感した。災害に限らず人生の中では必ず突発的な出来事がある。日ごろから生きる希望をしっかりもちたい。

横浜教会牧師・小野寺従道さん:

震災を通して、教団内、他教派とも教会どうしのつながりできた。横浜の地域の人々とも支援活動や講演会などのイベントでつながりができた。教会はクリスチャンだけが集まるのでなく何かあれば、何かしてくれると思ってもらえれば。教会は地域から遊離した在り方ではなく、地域に仕えていくことを目指していきたい。

長老教会・おゆみ野キリスト教会協力宣教師・大舘晴明さん:

被災地の人々とかかわる中、もっと聖書を知りたいと願い、米国の神学校に進学。米国の教会からサポートを受け宣教師として帰国した。千葉駅近くで開拓伝道を始め、音楽や家庭集会で、友人、知人、子育てで出会った人などとかかわる。一人ひとりの交わりを大切にしたい。

グレースシティチャーチ東京・福田真理さん:

支援活動に親子で参加する人がいた。若い世代が被災地の若い世代と友人になり、互いの励ましになった。東京でホームレス・ミニストリーも始めた。福音は人生、人間関係、社会あらゆるものを変える根本の力。すべての人にとって必要。支援活動を通して、自己中心や自己実現をこえて、イエス様の犠牲的な愛にならうことを学ぶ。

グレース・ハーバーチャーチ牧師・青柳聖真さん:

震災を通して、教会がこの町のために何ができるか、愛を原動力に行動する姿勢を学んだ。教会開拓をする東京・月島付近は新住民が多く、人々はつながりを求めている。被災地とニーズは違うが、ニーズはある。コンサートやバーベキューなど交流の機会を提供し、仕える姿勢で活動している。

国際SIL・ウイクリフ聖書翻訳協会宣教師・ICC理事長・高田正博さん:

心のケアの働きは継続的に必要。アフリカの民族紛争で被災した人々の支援の中で生まれたトラウマヒーリングのプログラムがある。テキストを翻訳しファシリテーターを育てていきたい。震災後に生まれた子、震災の経験がない人も増える。ギャップを埋めていきながら継続的に取り組んでいきたい。

大治福音自由教会牧師・服部真光さん:

教訓を別のことに生かすことも震災を忘れないことの一つ。他の地域や国で起きた災害を対岸の火事としてではなく我がこととして覚えたい。中部地区では、2010年からフィリピン福音自由教会と宣教協力している。一人では限界があってもチームなら領域が広がる。大治でも日本人の教職3人、フィリピン2人で協力している。

名古屋福音自由教会協力伝道師・村井義信さん:

精神的な修養だけ、自分の幸せだけを求めると神様が小さくなる。教会は信仰と共に社会的な働きが大事。社会の中で困っている人の現場を若いうちに見ることは大切。震災時、夏のキャンプの代わりに、高校生たちと支援活動に参加した。

広島福音自由教会牧師・北野献慈さん:

ボランティアが撤退しても教会は残る。継続し続けることが大事。伝道もトラクトを配って終わりではなく、何が本当に必要とされているか見抜くことが大切。災害は各地で起きている。教会がどのように動くか。キリスト全国災害ネットもできた。宣教協力で大事なことは一致だが、そのためには本音で語り合うこと。時間はかかっても、皆の心が一つになることが大切で、共感と仕えるリーダーシップが重要。

クライストコミュニティ牧師・大橋謙一さん:

クリスチャンが互いに愛し合うことが何より大事。それが支援の原動力になるし、それ自体が証しになる。教会は兵庫県にあり、阪神淡路大震災を経験した。仮設住宅までずっと支援していた人が、いつの間にか引っ越していたことがあった。知り合った人との継続した関係づくり、フォローを大切にしたいと痛感する。「種まきだけでいい」ということもあるが、できるならばかかわり続けたい。一人でも多く福音に触れてほしい。単なるボランティアで終わらず、いつでも証しできる準備はしていきたい。(終)

クリスチャン新聞web版掲載記事)