祈るため、何を知るか

 

「世界宣教」-この言葉に、私たちはどんなイメージを抱いてきただろうか?

「全世界に出て行き、すべての造られた者に福音を宣べ伝えなさい」という主イエス・キリストの宣教大命令に応えようと、歴代の教会・主の民は努めてきた。20世紀の世界宣教運動では、いわゆる「未伝」の地域やグループをリサーチして、宣教方策を議論したりもしてきた。その一方で、「宣教」の概念は、単に言葉でキリストの福音を伝えることにとどまらず、人間の全生活や被造物に関わるホリスティック(包括的)な営みであることも注目されるようになった。

キリスト教会は歴史を通じて、福音を携え出て行った先の「世(社会)」で起きている様々な出来事や状況に関心を持ち、とりなしを祈ってきた。日本にカトリック信仰が伝えられた戦国時代から江戸時代のキリシタン迫害や、プロテスタント信仰が伝えられた明治時代の国家主義下における人々の生活や宣教に関わる情報も、宣教師たちによって派遣国に伝えられ、祈られていた。

クリスチャン新聞ではこれまで、各種宣教データ・情報を盛り込んだ世界宣教地図や地域宣教地図を祈りの課題として別刷で発行してきたが、ウクライナ戦争が第二次世界大戦以来の危機と言われる今のヨーロッパから何を読み取り、祈るべきなのか。今号の付録「ヨーロッパ宣教地図2022」では、欧州諸国のEUやNATO加盟国、ロシアを中心とする集団安全保障CSTO加盟国などの分布が見て分かるようにし、各国のキリスト教人口や文化的背景を表す主要教派分布、どの国に日本人/日本語集会があり、日本から宣教師が派遣されているかなどの情報を整理した。

それは政治的対立の構図を際立たせるためではない。そこに置かれた人々と教会の現状を知り、とりなしを祈るために生かしてほしい。

クリスチャン新聞web版掲載記事)