自衛戦力は交戦権行使でなく戦争回避のため
対立の種取り除くために行動

第26回参議院議員選挙に金子道仁氏(グッド・サマリタン・チャーチ牧師)は日本維新の会(以下・維新)の公認を受け、全国比例区に立候補した。本紙は今回の出馬に対し金子氏に質問した。
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○なぜ維新からの出馬なのか。
─公認候補を公募している複数の政党に論文を提出し、最初に維新から面接連絡があった。面接では、党の主張に賛同できるところ、できないところがあることを伝えて、教会の牧師として立つことを認めていただいた。

○維新は参院選マニフェスト6つの公約の中で「積極的防衛能力の整備」を掲げている。それを高めるために、馬場紳幸幹事長は記者会見で「核共有の議論」「憲法9条改正」「防衛費1%枠撤廃」の発言をしているが。
─まず私は「地の塩」として、遣わされる場所で御言葉に立ち行動していく覚悟だ(ローマ12・2)。安全保障の目的は戦争の回避。つまり自衛のための戦力は、交戦権行使(自ら戦争を選択する)のためでなく、あくまで戦争回避のため。予め外交により対立の種を取り除くこと、戦後処理(赦しと和解)を重要視しており、この立場で行動する。
「積極的防衛能力」「防衛費1%枠撤廃」については、「二振りの剣(自衛的武力)」(ルカ22・35~38参照)の範囲の検討であり、武力による安全保障の限界という考えに立ち、必要な議論は行っていくべきと考える。
「憲法9条改正」について、党マニフェストでは「平和主義・戦争放棄を堅持した上で」としている。この点を確保するためにも憲法改正の議論は必要だと考える。安倍内閣の時に「解釈改憲」が行われ、国会の議決もなく閣議決定により集団的自衛権の一部行使が認められた。憲法9条の根幹に関わる重要な決定が、時の内閣の方針で行われたことに強い危機感を持っている。平和主義・戦争放棄に関する内容は、十分な国民的議論を経て、憲法改正の手続きを経た上で決定していく。その流れを作る必要があると考える。

○その他の維新の参院選公約についてはどうか。
─維新は重点政策の第一に出産の無償化と教育の無償化を挙げている。議員自らが身を切る改革を実行し、無駄を省き、捻出した財源を将来世代にしっかりと投資していく、と。私はこの姿勢を大いに強調したい。
また、維新は社会保障制度の抜本的な改革を挙げ、持続可能なセーフティーネットの構築を目指している。私は、草の根の社会福祉の経験を生かし、現場の声を聞き、高齢者の方々も、障害者の方々も、養護が必要な子どもたちも、皆が住みやすい社会の実現のために全力で取り組む。多くの社会的課題に直面し、心を痛めつつ小さなことに取り組んでいこうとしている福祉事業者や自治会の皆様の働きをサポートし、子ども食堂やフードバンクといった草の根の福祉活動を積極的に応援していきたいと考えている。

クリスチャン新聞web版掲載記事)