河野 
石神井福音教会協力牧師
前日本同盟基督教団法人事務主事

 教会総会を通常の対面式ではなく、「書面による決議」や「オンライン開催」に代えてよいだろうか、法的に問題はないだろうか。——これは、コロナ禍の下で複数の牧師から受けた相談である。礼拝のために会堂に集まることすら難しい状況が断続的に続く中、諸教会、諸団体では同様の問題について検討し、苦慮しつつオンラインや書面による会議を実施したケースも多いのではないだろうか。

 会議は原則として「特定の場所に集まって」行われるものと考えられ、非常時等における対面以外の方法での会議開催が想定されておらず、教会規則などにも規定されていないことがほとんどであろう。当初は緊急的かつ臨時的な措置として行われた対面以外の方法による教会会議について、2年以上の時を経る中で議論が十分深められてきただろうか。今回は特に教会会議のオンライン開催の経験を通して見えてきた三つの問題について考えたい。

手続き、技術、より本質的な

 第一は「会議の正当性の問題」である。感染症という想定外かつやむを得ない状況であるとは言え、教会規則等に明記されていない方法で会議を行うことについては、当然慎重な対応が求められる。冒頭の相談に対しては、少なくともオンラインや書面による開催について信徒全員の同意を得、議事録に記録しておくなど、会議の正当性に疑義が生じないよう手続きの適正さを担保しつつ慎重に進めていくよう助言したが、オンライン会議を正式に導入するかは別としても、非常時にも会議が行えるように対応を明文化し、教会の基本的な規則あるいは規程や細則などの下位規則に定めておくことで会議の正当性を担保しておくことが求められるであろう。

 第二は「会議運営上の実際的な諸問題」である。オンラインでは画面に映らなければ議員以外も出席可能であり、議員の本人確認や採決時の議場閉鎖と議員数の確定が物理的に困難であるが、これは会議の有効性に関わるものである。また回線トラブルや予期せぬ故障等により質疑や採決に参加できない可能性があり、オンラインで自由な質疑や意思表示をするには参加議員のパソコン操作等に対する一定の習熟度が求められるが、トラブルや習熟度の差が議員としての権利行使を妨げ、議員間に不平等を生じさせることになり、いずれも会議運営上の重要な問題である。

 第三は「教会会議の本質的な問題」であり、教会会議そのものの持つ聖書的意義や教会的な位置づけから考えることが必要である。教会会議は単なる事務処理的な行為ではなく、キリストのからだなる教会としての意思を決定する信仰的な営みであるため、オンライン礼拝や聖餐などと同様に、みことばと祈りによって考えることが何より大切である。オンラインは便利で益となることも多いが、便利であるがゆえの危険性もある。便利さは手軽さにつながる。その手軽さが無意識の内に会議そのものを軽くしてしまう恐れがないだろうか。従って、オンライン会議を可とする場合でも、会議そのものの持つ聖書的意義や重要性を十分に理解し、共有することが極めて重要になる。

 今後、オンラインの活用はますます進んでいくと予想されるが、上記の諸問題に誠実に向き合って取り組み、議論を深めていくことが必要ではないだろうか。

 なお、先日上梓された櫻井圀郎氏による論文(『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下における教団、教区、教会等の会議に関する諸問題』、東京基督教大学紀要「キリストと世界」第32号、2022年3月所収)は、コロナ禍における教会会議の対応について考えるための有益な論考である。当該論文は同大学のホームページで全文を読むことができるので、併せて一読されることをお勧めしたい。

クリスチャン新聞web版掲載記事)