奈良県福音宣教協力会(奈宣協)主催の2022奈宣協講演会が9月18日に橿原市のキリスト兄弟団・大和教会で開かれた。講師はキリストの教会・旭基督教会牧師で大阪聖書学院学院長の岸本大樹氏。「今、教会が問われていること~コロナ禍での信徒による働き」をテーマに、オンライン併用で講演した。
3年目となるコロナ禍。岸本氏は「その中にあって教会に、キリスト者に何が問われているか、何が求められるか」と、問いかけた。

岸本大樹氏

「まず求められているのは、教会の一致ではないか。感染が広がり始めた当初、教会は礼拝をどう継続するか頭を悩ませ、試行錯誤を繰り返してきた。教会は多様な人が集まる所。意見が分かれるのは当然だが、感情的なしこりが残った教会もある。パウロの時代、コリントの教会がそうだったように」
パウロがコリントの人々に最初に語ったのは「一致」だった。教会では主にあって意見の異なる人を受け入れ、愛を持って自らの主張をしなければならないと、岸本氏は呼びかけた。「牧師と役員が愛を持って話し合うとき、教会の歩みは支えられます。すべてのことに愛を。これが一番大事なことです」
次に、コロナ禍だからこそ、信仰の主体性が求められると説いた。「神様が私たちに何をしてくださるかも大事だが、私たちが神様に何ができるか考えたい。ペテロは、救われたあなた方は祭司として神のために働くことができると語った。プロテスタント教会が大切にしてきた万人祭司とは、私たち一人一人はキリストによって救われた教会の奉仕者であるということです」
岸本氏は7月にポーランドに渡り、教会のウクライナ避難民支援の現場を見てきた。教会が借り上げたビルに暮らす避難民の中には、同胞のために霊的支えになって働く人もあった。同じ避難民として辛い日々を送りながら、主体的に考えて自分のできることをする姿に感銘を受けたという。
「日本の教会はコロナで皆疲れている。その中で何ができるか考えてみてほしい。信徒の皆さん、牧師と奥さんの力になってあげてください。牧師と信徒が愛をもって支え合うことを、神様は必ず祝福してくださいます」
最後に、集まり賛美することの難しい環境で、普段の生活の中でキリストの道に生きているかがいかに大切かと呼びかけた。「私たちの信仰と生活は一つ。伝道とは、救われた喜びと感謝をもって生きること。生きることが伝道です。神様は私たちの日常生活を用いてくださる。私たちは喜びを継承した者。この喜びを独占するのはもったいない」
ピンチの時代だからこそ、基礎的事柄を大切にしよう、そこから福音の働きは進んでいく、と締めくくった。

クリスチャン新聞web版掲載記事)