【関西だより】となり人となるとは? ミッションからしだね学び会 「小さくされた人は主です」 JOCS畑野氏「本当に生きるいのちを求めて」

社会福祉法人ミッションからしだね主催の学び会「『となり人』を考える会」が9月24日、京都市山科区のからしだね館の会場とオンラインで開かれた。「様々な社会の破れで苦しんでいる人たちの『となり人となる』とは?」という問いかけで今回からスタートした学び会は、シリーズで「ゲストによる話題提供」あるいはガイドブックを用いた学びと意見交換を行う。
ガイドブックはオペレーションブレッシングジャパン、CWSジャパン、ミッションからしだね共同制作の『「災害時 あの人を助けたい あなたの町・コミュニティの「市民ソーシャルワーク」実践』。
坂岡隆司理事長は、「法人として、社会の破れのためにできることはないかと考えて企画した」と語る。今の自分に何ができるか、外の世界に思いを向け、様々な考え方や世界に触れる中で共に探っていく。
第1回は、日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)会長の畑野研太郎氏=写真左=が「本当に生きるいのちを求めて」をテーマに語った。畑野氏は、1985年から94年までバングラデシュでハンセン病医療に従事。帰国後、20年間国立療養所邑久光明園に勤務、現在名誉園長を務めている。社会福祉法人博愛社常務理事。
バックボーンには、敬虔なクリスチャンの両親の存在がある。父は医師、母は病人を見舞ったり死刑囚と文通を重ねるなど「実生活の中でクリスチャンとして生きようとした両親」だった。
長崎大学医学部時代、「ネパールの赤ひげ」と呼ばれ、JOCSでは〝おとうちゃん〟と慕われた岩村昇医師と出会い、「僕もおとうちゃんみたいに生きてみたい」とJOCSへ。赴任の準備をしている頃には、JOCSから1年早くペシャワールに赴任し、2019年に亡くなったペシャワール会の中村哲医師とも友人になった。

畑野氏

JOCSの理念は、「みんなで生きる」。原点は、岩村氏の手紙に記された体験にある。地元の青年が、重症の結核患者を背負い、山岳地帯の悪路を3日かけて病院に連れていってくれたというもの。青年はお礼も受け取らず、「みんなで生きるために」と言い残して去っていったという。
畑野氏がバングラデシュに渡った頃も、すでにハンセン病は治る病気になっていた。治療開始1週間で感染しなくなる。重症化の多くは、差別と偏見を恐れて受診が遅れるためだった。貧困やへき地も受診を阻んだ。ハンセン病への差別と偏見は、日本でも根強い。それによって人生を狂わされた人々を、邑久光明園での働きの中で見てきたという。
「『共に生きる』ことが本当の命を生きること。それは現実と出会うほど、より深く求めるほど、難しいことが、祈ることしかできないことが、分かります。そんな時に、イエス様が語ってくださった。その場で最も弱い立場の人に手を差しのべることとは、弱者に施しなさいではなく、弱者と主がイコールであるということなのだと」
「小さくされている人々と出会うこと、共に生きることが、イエス様と出会うことであると、祈り求めてきました。小さくされた人は主です」
最後に、私たちには神によるエンパワーメントがあると、畑野氏は晴れ晴れと説いた。
「私たちにできることは限られたことかもしれません。しかし、常に困難の中にいる方のとなり人であり続けたい。出会う方々のとなり人であり続けたい。なぜなら、そこに出会う人はイエス様だから。人生の価値は、出会いを与えられた方を『いかに愛しているか』で測られると思うのです」
仙台や千葉からのオンライン参加者もあり、熱心な質疑応答があった。その後畑野氏はJOCSの若い医療ワーカーが少なくなったことに触れ、途上国での働き人に手を挙げる人を期待した。
第3回の学び会は11月26日午後2時から、からしだね館とオンラインで。ガイドブックの学びと意見交換を行う。申し込みはミッションからしだね(担当・武山さん)Tel 075・574・2800、Eメールtakeyama@karashidane.or.jp

クリスチャン新聞web版掲載記事)