河野 優(石神井福音教会協力教師、前日本同盟基督教団法人事務主事)

今回は不動産購入や会堂建築への取り組みについて考えてみたい。まず不動産取得時には、宗教法人固有の団体内での諸手続きや、境内地・境内建物証明願(登録免許税の非課税)手続きなど、一般的な不動産取引よりも時間を要することが多く、取引相手や仲介業者への事前相談と確認は不可欠である。
不動産仲介業者は配慮が行き届き安心して任せられる場合、おざなりな仕事をする場合など色々である。誤字だらけの契約書や教会側が一方的に不利になる特約条項のある契約書を提示されたとき、不安とともに不信感を抱いたものである。不動産取引では金銭的な負担やリスクが大きく、専門の業者だからと「丸投げ」せず、教会としても信頼できる第三者の専門家によるリーガルチェック(法務確認)をしたうえで慎重に検討・確認することが必要だ。
「境界」に関する確認も重要である。標準的な契約書では「境界の明示」の条項があり、物件の引き渡しまでに売主が買主に現地で境界標を示し、隣地との境界線を明示することが義務づけられている。この条項を特約で削除した契約書案を出されることが多々あったが、隣地との境界についてはトラブルになりやすく、図面と現況が異なることもあるので必ず確認したい。
会堂建築は教会の在り方が目に見えるかたちとして直接現れてくる。新築の場合はデザインや機能性を一から追求できるが、そういったものばかりにとらわれすぎることなく、将来の「修繕」を見据えた設備や形態を考えることが重要である。奇抜なデザインや特殊な設備は、日常的なメンテナンスや大規模修繕、設備更新を困難にし、費用も増大させる。適切な管理と修繕がなされなければ、建物の耐用年数は目減りし、安全性や快適性など建物本来の性能も下がってしまう。会計状況の厳しい中では、宣教のための運転資金を確保しつつ、必要な修繕費用を確実に積み立てていくことは至難の業であるが、祈りと知恵を尽くして宣教拠点を整え続けたい。
また、まれにグレーゾーンや違法に当たる取引や対応を勧める業者があるので注意したい。例えば、広さを確保したい教会に対して「本来はデッドスペースの屋根裏部分」を部屋にする提案をされる、資金が不足している教会に対して「牧師個人の住宅ローン」で建築する提案をされるなどがある。違法な行為は当然に避けなければならないが、教会にとって誘惑になりうるもので、一般的な法知識や適切な対応が教会には求められる、、、、、、

2022年11月27日号掲載記事)