D6ファミリーカンファレンス 最終回 「家族のアイデンティティーを構築する」
ティム・スミス氏
小さな成功体験を継続し多世代で時間を共有する
アジア福音同盟女性委員会・子ども委員会主催による「D6ファミリーカンファレンス」が6月9日から開催され、基調講演とともに多くのセッション、ワークショップ(WS)が行われた。最終回は、家族内での「小さな成功体験」の継続を勧めるティム・スミス氏。
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信仰継承のためには、それぞれの家庭に合った計画、やり方が必要である。家族がみんなで取り組むには、「シェマー(聞け、イスラエルよ)」(申命記6章)を文字通り、用いていくことが有効だと思う。
シェマーは、一日を通して霊的な真実へ自然と目をむけることができる様々な機会を示してくれている。行動を変えたいのであれば、習慣を変える必要があり、習慣を変えるためには、脳の中に新しい経路を作る必要がある。新しい経路を作るためには、小さな成功体験を与えることが有効であると脳神経学者は指摘している。
私たちは、一日を過ごすなかで「上手くできた! もう一度やってみたい!」と思えるような小さな成功体験を、両親も子どもたちも、ともに積んでいく必要がある。神が創造された多元的知能(聴覚、視覚、嗅覚、味覚、触覚など)を用いて、また一日の中の違った時間帯で、様々な体験を試してみるのである。
子どもの中には、言語的なものによく応答する子もいれば、視覚的なものに応答する子もいる。一日の中でより学びやすい時間というものがあるかもしれない。シンボルを選ぶこともできる。私の家では、視覚的なシンボルとして「恵みはすべてのものに美しさを見出す」というモットーを選び、家の屋根の下のかもいにその文字を書いてある。
それぞれの家族が自分たちにあった小さな信仰継承計画を、まずは一つ試してみるのである。それは小さなものでいい。サッカーの練習に向かう車の中や、寝る前の5分の時間を活用する。教会の中で、それぞれの家族がその実践を分かち合い、互いにアイデアを学び合い、時間をかけて自分たちにいちばん合う計画を作り上げていく。他の家族と同じでなくていいのである。
神の物語を語り続けるには、多世代での体験、時間の共有も重要である。ヨシュアの後、士師記の時代が暗澹(あんたん)としてくるのは、親たちが神のなさったことを子どもたちに語ってこなかった結果である。我々は、語り続けなければならない。実際的な経験を通して神の物語を語り続けることを多世代で行いたい。 教会で一度、家族を集めて食事をし、そのあとで具体的な子どもたちのプログラムを行い、楽しい体験をしてもらう。それを毎週20分、各家庭で、両親によって、継続してもらうのである。約80%の家族が、前に述べた家族の信仰継承計画と共に、家族の時間の共有を2か月たっても継続することができている。
このような「家族の信仰継承計画」そして「家族の時間」を通して、教会が両親をサポートし、家族のアイデンティティー確立を助けるのである。(終)
(2022年10月23日号掲載記事)