河野 優 石神井福音教会協力教師、前日本同盟基督教団法人事務主事

平日に会堂や教会の駐車スペースを有料で一般に貸し出すのはどうか、という類の相談を何度か受けたことがある。その動機・事情については、教会規模が小さいことから日曜日以外に宣教活動が十分できず空けておくのはもったいなく有効活用したい、教会の会計状況も厳しいのでいくらかでも収入を得て教会会計の足しにしたいとのことである。もし所属教会でこのような提案がなされたら、どうするだろうか。
団体経営という視点からすると、施設や設備を空けておくのは明らかに損で、フル稼働・活用するように対応を考えることが基本であろう。教会も一つの団体であり、活動するにはお金も必要であることを思えば、使っていない時間帯に施設を有料で貸し出すことは経営上妥当な判断と言えるかもしれない。
宗教法人では法人として事業を行う場合に、その事業が法人の目的の範囲内であれば、法人規則に事業に関する規定を置くことで事業を行うことができる。したがって事業計画を立て、所定の手続きを経て規則変更をすることで会堂や駐車場の貸し出しを教会の事業として行うことができる。では、これを実行することで、当初の必要は満たされるのだろうか。
会堂の有効活用という面ではどうか。平日に会堂が利用されることで、使われていない時間は確実に減り、もったいない感も解消されるだろう。会堂が使われることで、地域における存在感がいくらかでも増すかもしれない。しかし、教会自身が緊急に会堂を使用する必要、たとえば葬儀などが入った場合にどうなるか。あるいは、平日に教会にきて会堂で祈りをささげたいと思ったとき、別の団体が使用していたらどうなるか。教会本来の活動の妨げになる可能性もあることを覚える必要がある。
収入を得て会計を助けるという面ではどうか。教会(法人)所有の土地建物を貸し出して使用料を受け取れば、それは教会の「所得」とみなされ、法人税の課税対象になると考えられる。さらに賃貸に供する部分の固定資産税が課税となる可能性もある。さらに、これらは教会の一般会計とは別に特別会計を設定して処理しなければならず、税務署に申告・納税する必要も生じる。税理士にその処理を依頼すれば別途報酬も発生する。以上のような諸経費が必要となるため、賃料全額がそのまま教会の収入にはならない。賃料収入から諸経費を引いて、どれほどの収入が得られるのか。規模によっては一定の収入を得られるかもしれないが、反対に赤字になることもあるだろう。
以上のような説明を相談者にすると、たいていはそこで話は終わる。メリットとデメリットのような話になると、負担の方が多いように思えるし、ある程度の規模や計画をもってしなければ、さほど収入も得られないと思うからだ。しかし「教会として」考えなければならないことは他にもある。むしろこちらの方が重要だ。それは教会をそのように用いることが主の前にふさわしいのかどうか、宣教する教会の歩みを損なうことにならないか、ということである。

宣教の働きを損なうことにならないか

たとえば教会が献金以外の収入に頼ることがふさわしいかどうか、、、、、、、

2023年02月05日号03面掲載記事)