中央の仕切りを畳むと大空間になる待合室

 

群馬県高崎市にある上中居(かみなかい)ファミリークリニックは、待合室が集会やコンサートを開ける大きなホールになっている。教会の伝道師による子育てセミナーや聖書講演会、またアメリカ人宣教師による開拓伝道の場として提供し、福音の種まきをしてきた。4年前にはクリニックの駐車場にトレーラーハウスを購入し、カフェ伝道を志す若いアメリカ人宣教師夫妻による「リトルライトコーヒー」をスタートした。カフェでは人とのつながりを大切にし、訪れた方々を温かく受け入れて、居場所を提供している。クリニックは「Love & Care」、カフェは「Share Light,Share Life」をモットーとして地域の人々に仕えている。

 

「リトルライトコーヒー」にて。清水清美さん(右)と近藤栄恵さん

地域医療伝道の思いを持ちながらクリニックを続ける中で「不思議とクリスチャンの働き手が与えられた」と、院長で小児科医の清水清美さんは語る。「人を助けることを通して地域へ仕える」姿勢は行政からの信頼にもつながり、 市の委託事業として「病児保育室ノア」「産後ケアハウス リトルライト」を開設し、子育て支援を行っている。またクリスチャン臨床心理士によるカウンセリング外来を開設、子どもの発達障害や不登校で悩む家族を受け入れ、寄り添う働きを続けている。

婦人科医の近藤栄恵さんも、「イエス様が皆の中に住まわれた」が個人的なテーマだとし、「自分の中に『これをやりたい』という思いがあるのではなく、教会と同じく、イエス様と一緒にニーズに応える。その方法としてたまたま、自分の手の中には医療があった」と証しする。「目の前に何が飛んでくるか分からない」が、そこから逃げず「地域に開かれ、来た人のニーズに合わせ、なんでも受け入れる、普段は言えないことも恥ずかしがらずに言える、とりあえず来たらいい”入口”になる」、「教会と同じくこのクリニックも入口であるべき」とも語る。

清水さんは震災後に医療関係者らで訪問した被災地で、心身の不調を教会や家族には伝えられず、苦しんでいる牧師やその配偶者の姿を見た。しかしそんな彼らも医療関係者には弱さを打ち明けることができることを知った。医療は、プライドや隠したい思いとは離れた、周囲に言えない悩みやつらさを受け止め受け入れる場所になりえる立場だ、と学ばされたという。

「小児科医や婦人科医で、触れることができる人はそれぞれ違う、、、、、、、、

【間島献一】

2023年07月02日号   04面掲載記事)