月刊『百万人の福音』8月号で、過去の戦争や世界情勢を踏まえた特集『争いを引き起こすのは誰か 「戦争」に私の罪を見る』を企画している。国家、民族、国の最高権力者、といった「誰か」が争いを引き起こした面を認めつつ、一市民の「私」の責任も省みる。その上で「現状を正しく把握」し、「私たちが真に『平和を造る者となるためにできること』を考えよう」と勧める。

冒頭は戦争の過去、現在、未来を概観する。政教分離の会事務局長などを務める牧師の星出卓也氏は、天皇や国のために命を捧げるよりどころとなった靖国神社の問題、自国中心主義を指摘。現在の「国葬儀」や国防の背後の精神性にも、同様の問題が生じていると観測する。

続いて個人に焦点を当てる。第二次世界大戦中「福音宣教」の名の下、「宣撫(せんぶ)工作員」として、教会からフィリピンに送り出された神学生の中田善秋の歩みを紹介する。戦後BC級戦犯となり、信仰者として自身の罪にも向き合った。この軌跡を明らかにした『BC級戦犯にされたキリスト者 中田善秋と宣撫工作』(小塩海平著)について、牧師の若井和生氏が「神の審判」「教会を教会たらしめること」に注目して論考を寄せた。

後半では、「バトンをつなごう」として、表現活動や教育活動を紹介する。絵本『うけとろうへいわ』の著者、北島峯子氏は出版動機となった自身の戦争体験を述べた。平和教育について関東学院大学宗教主事の豊川慎氏は、安全保障を武力だけではなく多角的にとらえること、平和構築の視点、教会の罪責告白の学びの必要を説いた。

最後に日本バプテスト連盟 平和に関する信仰的宣言全国推進プロジェクト委員長の谷本仰氏が聖書メッセージ。平和をつくりだす人間の責任を問い、和解を具体化するためにイエスの言葉から学ぶ。

三浦綾子のエッセイ集『平凡な日常を切り捨てずに深く大切に生きること』など、平和に関する著作も紹介している。