受胎告知を中心としたギャラリーカノンでの展示

 

クリスチャンによる美術作品は、聖書の言葉とストーリー、信仰者の生き方について対話を生む。昨年、活動を始めたクリスチャンアーティストグループ、Bezalel(ベツァルエル)は、この一年、ギャラリー、教会、まちの芸術祭など、様々な場で展示をし、人々と対話した。そこからどのような展望が見えてきたか、展示の様子とともに話を聞いた。【高橋良知】

 

地域の芸術祭に参加した教会で

 

 

10月、「江古田のまちの芸術祭」の会場の1つとなった練馬グレースチャペル

 

ベツァルエル発案者の服部州恵(くにえ)さん(テンペラ、油彩)と、小泉恵一さん(彫刻)、ソウ・メイさん(水彩)は、10月に東京・練馬区江古田の「江古田のまちの芸術祭」に参加した。同芸術祭は、大学、ギャラリー、カフェ、商店、などとともに、キリスト教会も展示会場となった、街ぐるみのイベントだ。近隣に芸術系大学があることから、従来から街でアートイベントが実施されてきた。

3人が展示した聖協団・練馬グレースチャペルは、地域に仕えることを大切にし、長年町内会、商店街と信頼関係を築き、イベント活動なども共にしてきた。展示スペースは、日頃からマルシェなど様々なイベントで使う、大通りに面した広い部屋で、人々は入りやすい。

服部さんは「地域の人々が自然に教会に来て、作品解説を通して、聖書や信仰に触れていく良い機会。搬入して気づいたが、小泉さんの十字架の彫刻と、私の十字架の絵画、小泉さんの方舟作品と、メイさんの虹のイラストが重なった」と話す。作品の説明には聖句の引用が添えられ、ワークショップやゴスペル演奏なども催した。学生や地域の人々なども訪れ展示と作家の語りを楽しんでいた。

 

 都心のギャラリーで

 

12月には東京・中央区日本橋のギャラリーカノンで「服部州恵・小泉恵一 ふたつの表現展」を開いた。受胎告知のマリアを中心に、「キリストの十字架」や「花嫁」のモチーフが展開。旧約から福音書、黙示録のストーリー、現代を生きる信仰者の姿が描かれた。絵画と彫刻によって、クリスマスの壮大なストーリーが表現された。

ベツァルエルでは 昨年も同ギャラリーで8人展「8つの表現展」を開催。今年は服部さんと、小泉さんの2人にしぼり、共通のテーマをじっくりと鑑賞できる内容となった。小泉さんの作品は、十字架までのイエス・キリストの姿を表現する。服部さんは信仰者が救いを得たあとの喜びと天国への希望を描く。「両方あることで福音が立体的になる」と言う。

服部さんは「美術を通して、柔らかく、楽しく聖書のメッセージに触れてもらえる。この絵や彫刻がどのような意味があるのか、クリスチャンではない人も熱心に聞いていただける」と語った。

同ギャラリーオーナーの高橋睦実さんは、グループ展などで小泉さんや服部さんを知り、昨年の8人展開催につながった。「彼らの人柄に触れ、信仰を表現するということ、そして、その完成度の高さに興味をもった。聖書の解説を聞くことも面白かった」と話す。 今年4月に洗礼を受け、銅版画家でもある高橋さんは、、、、、、

2023年12月24・31日号 09面掲載記事)