食料支援削減で飢餓危機加速

国際NGОワールド・ビジョン(WV)は、6月20日の「世界難民の日」に先立ち、報告書『Ration Cuts: Taking from the Hungry to Feed the Starving (食料支援削減:飢え死にしそうな人を救うために、空腹に苦しむ人から奪っている)』を発表。食料支援削減の影響を受け、難民その他弱い立場にある子どもたちや人々の間の児童婚、児童労働、メンタルヘルス上のリスクの著しい悪化と、命をつなぐための食料支援の資金調達の急務が明らかになった。

同報告書は、WVのグローバル飢餓対応チームが食料支援や現金給付削減の影響を受けている6か国のコミュニティーの人々から聴き取った経験や見解をまとめたもの。今年2月に食料支援削減対象となった、コミュニティー562世帯と36のフォーカスグループの議論が含まれる。参加したのは、アフガニスタンの住民、バングラデシュ(コックスバザール県)のロヒンギャ避難民、コンゴ民主共和国 (DRC) のカサイ州とタンガニーカ州の避難民と受け入れコミュニティーと難民、レバノンの受け入れコミュニティーなど。
調査では児童婚、性暴力、児童労働、人身取引のリスクの顕著な増加が明白になり、難民の41%が「家庭内暴力、ネグレクト、暴力を受ける少女や少年が増えている」、親の30%が「食料支援の削減が少女を児童婚に追い込んでいる」、成人の10人に1人以上 (13%) が「あまりの絶望感にもう生きていたくないと常に思っている」、半数 (50%) が「ほとんど、または時々そう思う」と述べた。
WV飢餓対応責任者のメリー・ンジェリは「世界のリーダーたちは紛争解決、気候変動への対処、影響を受けた子どもたちと家族に必要な人道支援を届ける努力を、加速させるべきだ」と結んだ。
詳細はURL=https://www.worldvision.jp/で。

2024年07月07日号 03面掲載記事)