全キ災・北野氏「複数の総合対策本部設置し協力」

日向灘沖を震源とする最大震度6弱の地震が8月8日、宮崎県南部で起こり、気象庁は南海トラフ沿いで近い将来、巨大地震が発生する危険性が高いとして、初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表。15日までの1週間、大規模地震への注意を呼びかけた。幸いこの間、何も起こらなかったが、いつ起こってもおかしくない状況は変わらない。この南海トラフ地震にどう備え、発災時にどう対応するのか。9月1日防災の日に向け、各教会災支援ネットワークの関係者に話を聞いた。(6面に関連記事)

南海トラフ地震など激甚災害を想定しどんな備えをしているのか、大規模災害に備え協力するための全国ネットワーク「キリスト全国災害ネット(全キ災)」世話人代表の北野献慈氏に話を聞いた。
北野氏は「全キ災規約第2条で『大規模災害に備え、迅速で適切に協力できる仕組みを作っておく』を目的に掲げている。具体的には、オンラインで呼びかけ情報共有会議を開くこと、集めた情報をホームページやSNSで一般公開すること。情報はただ集めるだけでなく、加盟団体用とメディアを含む一般公開に仕分けていくことを考えている」と語る。
「被災地に全キ災の総合対策本部みたいな拠点を置くことも考えている」と言う。「九州、四国、関西、東海がかなり被害を受けると予測されるので、地域ネットワークと連携し、置かれた拠点で情報収集と発信、人材や物資の調整、支援金の受付や配分をする。世話人が拠点を巡りつつ手助けもする。そのために加盟団体や世話人の中で、拠点に入って協力できる人に声をかける。そんな話を世話人会でしている」
「西日本ではキリスト教会・広島災害対策室(広キ災)、岡山キリスト災害支援室(岡キ災)、四国キリスト災害支援室(四キ災)、九州キリスト災害支援センター(九キ災)の4団体でいつも情報共有しており、九州、四国に災害が起きたら、広キ災、岡キ災が九キ災、四キ災をバックアップする。東海では、東海福音フェローシップ災害対策委員会(TEF)、東海キリスト者災害ネット(TCDN)に協力する。各県ごとに、どこの教会がケアするのかチェックし、ネットワークのないところに立ち上げを励ましている」
改善点は「圧倒的な人材不足の解消だ」と北野氏。「発災時、動ける牧師、宣教師、信徒をトレーニングする機会を設け、知見を積んでもらい、ワークリーダー、さらにコーディネーターの資格を与え、人材を育てることが必要だ。普段から社協や自治防災会などに関わり防災意識を高めると共に、平時から発災時に動ける人材をキリスト教会の中で育てておけば、人材不足解消になるのではと思っている」

2024年09月01日号 01面掲載記事)