「第27回断食祈祷聖会」(同実行委員会主催)が1月13、14日、東京・港区赤坂の赤坂教会で開かれた。テーマは「キリスト教界の危機と希望」。講演Ⅰでは、竿代照夫氏(イムマヌエル綜合伝道団牧師)が聖会テーマで語った。

最初に、「危機」について、統計をもとに説明した。「米調査機関ビュー・リサーチ・センターの統計によれば、現在、世界最大の宗教勢力はキリスト教だ。だが、2060年までにキリスト教徒31億人、イスラム教徒30億人と拮抗し、その後はイスラム教徒が世界最大の宗教に躍り出ると予測されている。米国の成人に『宗教は何を信じるか』を問うたところ、『キリスト教』と回答した人は09年の77%から、10年後は65%に急減した」

竿代照夫氏

「『キリスト教年鑑』で、日本のプロテスタント人口の06年と22年を比べると、信徒総数61万8千259人から53万2千654人(14%減)、聖日礼拝出席者数は18万6千121人から14万2千604人(27%減)、教職総数は1万1千371人から9千791人(14%減)と、人口減少より高い割合で減っている」

教会の牧師不足も深刻だと指摘する。「世界的に高齢化が進むアメリカでは、7割超の主任牧師が後継者探しに苦戦していることが、米福音派の調査機関『バーナ・グループ』で明らかになった。この問題に取り組まなければ、牧師後継者不足という深刻な問題に直面する可能性が高い」

「少子高齢化が進む日本も、牧師がおらず、信徒が減少してきている教会が増えている。教会再建の手だてが早急に必要だ」と指摘。「今後5年間、牧師がさらに不足する。無牧化教会の長期化が避けられず、1人の牧師が複数の教会を担当する兼牧教会が常態化してきている。経済収入も減少し、経済的な支援も困難だ。イムマヌエル綜合伝道団でも108の地域教会中、約半数が掛け持ちで、1人の牧師が協力牧師として応援している」

教勢低下や牧師不足に直面する日本の教会のため、心合わせて祈った

一方、「希望」と思われるいくつかの兆しについても触れた。第一に、教会協力が必要とされ、実行されつつあること。「一昨年、岐阜で第7回日本伝道会議が開かれたが、そこで教会同士が福音のために協力し合おうということが強く語られ、感動した。私の理想は、住んでいる市町村単位で教会同士が協力し、イベントを一緒に行うこと。また、牧師不足が深刻な場合は、一つの町、市に絞って、みんなで一緒に伝道できる形で整理統合できればと思う。さらに、同じ歴史や考え方の教団同士が合併してもいいのではないかと考える」

第二に、献身者興起のための尽力。「インマヌエル聖宣神学院では、入学者ゼロの時期が複数年あった。危機感を覚え、『何とかしてください』と、泣いて神様の前に祈った。すると、一人、二人と戻ってきた。これは大きな希望の一つだった。また、神学院を会場としてリトリートを行うなどの方法で、入学者の数も徐々に戻りつつある」

第三に、信徒伝道者が起こされつつあること。「仕事をしながらもきちんと聖書を学び、牧師を支え、ある時は牧師の代わりに説教もする信徒説教者が起こされつつある。同教団の沖縄教区には3つ教会があるが、一人の信徒伝道者が起こされ、一人の牧師を助け、一生懸命仕えている」

第四に、様々な形の伝道方策が試されていること。「ひと昔前までは考えられなかった、IT、SNSを使った伝道が試みられているのは、希望ではないか。どんな方策がより有効であるか、超教派で祈り、考え、話し合える研究会が開かれることを願っている」

最後にハバクク書3章2節の御言葉を引用し、「教勢、牧師不足などいろいろな兆候が見られる中で、『この数年のうちに、それを示してください』というハバククの祈りを真剣に、共同体の祈りとして捧げたい」と結んだ。

講演後、参加者は「今、立てられている牧師、信徒伝道者、献身者のために」「主が教会を癒し、解放し、支えてくださるように」などを覚え、心を合わせて祈りを捧げた。