[CSD]2003年11月30日号ヘッドライン

[CSD]2003年11月30日号ヘッドライン  = 1面 =
◎横田早紀江さんが信仰語る1冊『ブルーリボンの祈り』——祈りの仲間と共著で=CSD2027=
★「キリストのようになれる」——各地の聖化大会でウェスレーを語るD・アップルビー氏=0311300102=
★中国:北京で家の教会指導者夫妻を逮捕=0311300103=
★<恵みのどんでん返し>宣教師への思いから再び牧師に 記・大島博幸=0311300104=
★<落穂抄>三浦文学「銃口」が今語るメッセージ=0311300105=

 = 2 面 =
★「南北問題」初めて悲観——池明観氏が心境語る=0311300201=
◎宗教法人の優遇税制どうなる?——公益法人制度改革で影響懸念=CSD2028=
★米国:「十戒」石碑撤去拒否で罷免——アラバマ州最高裁長官=0311300203=
★米国:米NCCがイスラエルに分離壁の撤去を要求=0311300204=
★<教界の動き>改革派・坂戸教会(片岡正雄牧師)新会堂献堂・住所変更=0311300205=
★<論説>教会が文化の発信地に——文化に感化与える「日本」の教会に 記・山口 譲=0311300206=
★<今週の本棚>『侵略神社』辻子 実著(新幹社、3000円) 評・上中 栄=0311300207=
★<今週の本棚>『子育てのストレスを喜びへ』玉井敦子著(いのちのことば社、980円)=0311300208=
★<今週の本棚>『チャールズ・フィニー霊的力』ランス・ワイベルズ著(いのちのことば社、500円)=0311300209=
<情報クリップ>催し情報ほか

 = 3 面 全面広告=
★2003年度の日本聖書協会の働きをご報告します=0311300301=
世界聖書日曜日(12月第2アドベント)2003年12月7日
http://www.bible.or.jp

 = 4 面 =
★米アパラチア山中で17世紀の礼拝様式を守る人々——オールド・レギュラー・バプテスト 記・渡辺 聡=0311300401=

 = 5 面 放送伝道ガイド=
★早朝5時の配送センター、確かにリスナーがいた=0311300501=
☆テレビ、ラジオ、有線、インターネット放送番組ガイド

 = 6 面 関西だより=
★一粒の麦となり会社再建——(株)資生堂社長・池田守男さんに聞く「サーバントリーダシップ」=0311300601=
★NGOは市民を巻き込む——国際飢餓対策機構アフガンへ教育支援=0311300602=
★病臥を経て描く「優しさと潤いの世界」——松葉杖の画家・橋本博 油彩画・パステル画展=0311300603=
★ボブ・トンプソン招きクリスマス・コンサート=0311300604=

 = 7 面 =
◎落語でお笑い宣教——車いすのアマチュア落語家、高座名は「教会亭造筋」=CSD2029=
★殉教者・朱基徹牧師記念会——孫の孫東姫師が祖父から父へ伝えられた殉教精神を証言=0311300702=
★「使命は福音宣教」会社で教会立ち上げ——アロエ(株)藁科 茂さん=0311300703=
★スポーツネットがブラジルサッカーツアーを募集=0311300704=
★<CDの時間>「Borne on the Winds of Heaven」内海恵子(ホーリネス・池の上キリスト教会、2000円)=0311300705=

 = 8 面 チャ・チャ・チャーチ=
★楽しく、熱く、おもしろく!——神奈川/単立・湘南ホライズンファミリーチャーチ=0311300801=
★会津に愛されています!——福島/日基教団・若松栄町教会=0311300802=
★けん玉はやってます!——福岡/バプ連盟・宇美キリスト教会=0311300803=
★<もりべぇのへぇ~>「ライト兄弟の家の下宿人」の話 記・守部 喜雅=0311300804=
★<今月の買いどき>絵本『3本の木』=0311300805=
★<いいもんみっけ>台湾長老教会・眉渓教会=0311300806=

横田早紀江さんが信仰語る1冊『ブルーリボンの祈り』−−祈りの仲間と共著で=0311300101=CS

北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんの母、横田早紀江さん(JECA・中野島キリスト教会員)。早紀江さんと、早紀江さんとともに聖書を学び、祈りで支え、拉致被害者救出のために戦い続けるクリスチャンの3人の仲間たちとの共著の証し集『ブルーリボンの祈り』(いのちのことば社フォレストブックス)が発売された。事件が起きた新潟での出会いから、その後、夫の転勤などで全国に散らばり、現在は関東圏に住み、拉致問題解決を願って祈り励まし合う一人ひとりの証しからは、深刻な拉致問題と立ち向かう堅い結束と信仰のあり方が真に迫ってくる。    「どうか横田さんが死にませんように」。めぐみさんが行方不明になった後、早紀江さんが集うようになった「聖書を読む会」のメンバーらは陰ながらそう祈った。それほど早紀江さんは「死にたい、死にたい」と斉藤眞紀子さんにもらしていたという。斉藤さんは早紀江さんと新潟の同盟基督・五十嵐キリスト教会で、マクダニエル宣教師が開いていた「聖書を読む会」で出会い、今日まで早紀江さんを支える友人だ。その斉藤さんは、めぐみさんの「死亡」が伝えられた後、記者会見での早紀江さんの毅然としたことばを聞き、「早紀江さん自身の力を超えたものによって支えられている」と思った、と記している。  めぐみさんが、娘の恵美子さんと小中学校時代の親友だという眞保節子さん。眞保さんはめぐみさんと同じ年の娘をもつ母親として、また身近にめぐみさんと接していただけに、めぐみさんの行方不明に「食事ものどを通らない日々」だった。  娘の恵美子さんは、クリスチャンだった祖母の影響で、持っていたアクセサリーの十字架に祈っていた。「神さま、どうぞ、ヨコを早く帰してください」。この恵美子さんの祈りは、母、節子さんにイエス・キリストを思い出させた。節子さんの母親は熱心なクリスチャンで、節子さんも若いころは母とともに教会に通っていたが、教会内の問題を見てやがて足が遠のいていた。眞保さんも「聖書を読む会」に集うようになった。  牧野三恵さんは早紀江さんと同じ年に洗礼を受けた。やはり「聖書を読む会」で出会った。早紀江さんが「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)の活動で忙しくなる中、斉藤さん、眞保さんらと東京・信濃町のいのちのことば社本社で、拉致問題解決のための祈り会を行うようになった。牧野さんは祈り会の司会を務めながら、1日でも早い問題解決を祈っている。  早紀江さんは本書で「苦しみにあったことは」と題して手記を寄せる。メディアに直接映らなくても、言動、行動の端々に早紀江さんの信仰がはっきり表れる。この手記はまさに、早紀江さんの痛みと苦しみを伴う信仰の歴史だ。めぐみさん拉致の問題が全面解決していない以上、早紀江さんの戦いは続いている。戦いの中で早紀江さんは「神さまに真っすぐに従って、大きな神さまが世界をどのように動かされていくのか、祈りながら見守っていきたいのです」と述べる。被害者家族としてもっとも悲しんでいる早紀江さんが、時に仲間たちを励ましている様子に、問題解決への祈りを促される1冊だ。     【藤川 義】 ◇次回早紀江さんを囲んでの祈り会は12月11日(木)午後2時45分から、新宿区信濃町のいのちのことば社本社で。問い合わせはtel:03-3413-7861(斉藤)まで。

宗教法人の優遇税制どうなる?−−公益法人制度改革で影響懸念=0311300202=CSD2028=

現在、政府によって進められている公益法人制度の抜本的改革が、将来、宗教法人の税制に大きな影響を与えるのではないかと懸念されている。これを受けて財団法人日本宗教連盟が、「公益法人制度改革の動向と宗教法人」をテーマに、宗教と税制シンポジウムを11月18日、東京都渋谷区の神社本庁で開催し、宗教各界から参加者があった。  シンポジウムでは、公益法人改革に携わる内閣官房行政改革推進担当室参事官の長屋聡氏が、「公益法人制度改革の現状と今後の展望」と題して講演。昨年3月の公益法人改革についての閣議決定から、?民間非営利活動を社会・経済システムの中で積極的に位置づける?公益法人について指摘される諸問題に適切に対処するといった改革の目的を説明した。「公益法人制度は民法が制定された明治29年(1896年)以来、100年以上にわたって抜本的な見直しが行われておらず、税制上の優遇措置や行政の委託、補助金、天下りの受け皿になっている」ことの問題点を指摘し、改革の必要性を説いた。また、「公益」について法律上、直接その概念を定義しているものがないことも資料として掲げ、「今後、公益性の判断をより明確化させていくことが必要」との認識を語った。  これに対し、日本宗教連盟参議で僧侶であり、弁護士でもある長谷川正浩氏が、「公益法人制度改革の影響と宗教法人の課題」と題して講演し、宗教活動における公益性の内容を解説した上で、「宗教法人の公益性は公益法人の公益性とは違うのではないか」と疑問を投げかけた。「現在の改革の理論はまだまだ不透明。宗教法人に改革がおよぶと、税を払えない宗教者が出て大変だ」と危惧の声をあげた。  改革内容に今のところ宗教法人は含まれてはいないが、宗教法人のもつ「公益性」をめぐって、改革が宗教法人にもおよぶ可能性もある。宗教法人を取得している教団、教派、教会の経済活動に影響を与えるかどうか、今後の動向に注目が集まる。

落語でお笑い宣教−−車いすのアマチュア落語家、高座名は「教会亭造筋」=0311300701=CSD2

さすがお笑い王国大阪。落語で福音を語る人が現れた。大阪市東淀川区の淀川栄光教会(山中一正牧師)が誇る車いすのアマチュア落語家佐藤隆司さん(48)、高座名は教会亭造筋。筋金入りのクリスチャンにしていただこうという意味で付けたが「顔がきたないせいか、普通の雑巾と思われちゃう」と、ぼける。養護学校高等部時代に落研で古典落語をやっていた経験を今、宣教のための創作落語に生かしている。腕前は商家育ちの生粋の大阪人山中牧師の折紙付き。評判を聞いた他教会や集会からも声がかかるようになり、あちこちで元気と笑いをふりまいている。    「おもしろいことしか言えない人間やからね。昔から人を笑わせることが好きやった。人の笑顔が好きなんですわ」  陽気なお笑い好きの佐藤さんは、それでも学校を卒業してから落語をやることがあろうとは思いもしなかった。重度の障がい者で、福音落語を書いているという江富靖浩さんと教会で出会ったのがそもそもの始まりだ。自分ではしゃべれないが、江富さんも大の落語好き。作りためていた作品を話せる人はいないか。  「なんか落語的な雰囲気もってたから」というわけのわからない理由で「きみ、ちょっとしゃべってみたらどうや」と、山中牧師が声をかけたのが佐藤さん。  「ええっ? 僕、学校で落研入ってましてん。せんせ、知ってはったんですか?」  「知らんかったけど、そら、ちょうどええわ。顔で決めてよかったわ。主の導きや」。そういう会話がなされたかどうかわからないが、こんななりゆきで佐藤さんは落語を再開することに。  披露してみたら拍手喝采。しっかり福音が語られている作品も良ければ、佐藤さんの板に付いた話しぶりも見事。「こういう形でイエス様のお役に立てるなんて思ってもいなかった。だいたい、福音を落語にして語るなんてとんでもないことや、雷が落ちてきて死んでしまうんやないかと思いましたよ。でも、少しも否定的な反応はなかったし、皆さん喜んでくれたし、これはみこころかもしれん、これでやらせていただこうと思ったんです」  「日本文化を通して福音を語るのはいいこと。あらゆる方法を通して伝えることが大事」と、山中牧師始め、教会全体で応援している。「うちはみんなお笑い好き。それに宣教には元気と笑いが大切。クリスチャンが苦虫を噛みつぶしたような顔をしていたら、福音は広まらないでしょう」
 佐藤さんが洗礼を受けたのは85年の4月。教会を母体とする社会福祉法人・身体障害者自立協会設立のために運営委員長として活躍していたが、まだ信仰をもっていなかった。釈迦が好きで「私は仏教徒」と、4年近く教会に通いながら「かたくなに頑張っていた」。  弁が立ち、リーダーシップがある佐藤さんの内面には、融通のきかない頑固さがあった。ある時から深刻なノイローゼ状態になり、失恋がそんな気持ちに拍車をかけた。自分を否定し、死ぬことばかり考えるようになった。  「死にたくても、仏教の地獄を信じてたから恐くて自殺もできない。もう進退窮まって、何ものかにすがって生きなあかん、そこで初めてイエス様に目が向いたんです。他の宗教にはなくてキリスト教にあるもの、それは死んで生きるということです。イエス様のところに行ったら新しい人生が与えられるかもしれない。無我夢中で山中先生に電話しました」  夜中の教会で30分も号泣し続ける佐藤さんに、山中牧師は悔い改めを確信した。「イエス様のところに帰ってきたな」。  自分を義として、ほかの人を裁き見下げていたと、佐藤さんは自分を振り返る。「人間の律儀さなんて神の前では何の役にも立ちません。救われて新しいいのちをいただいてから、僕はイエス様のために生きようと思いました」     教会の障がい者リーダーの佐藤さんがクリスチャンになったことで教会は祝福された。雰囲気が変わり、協会設立が促進された。イエス様のためなら何でもやりますという佐藤さんの祈りは福音落語という答えを得た。  佐藤さんのユーモアと芝居っ気は、12月13日に区民ホールで行われるクリスマス劇でも発揮される。こてこての大阪弁で書かれた山中牧師の脚本を、教会の障がい者で作る『劇団「たこやき」』が「吉本」顔負けで演じる。佐藤さんはイエス様役という大役だ。その前に11月15日の吹田朝祷会で落語をする。先生方、朝から笑ってください。  【藤原富子】