[CSD]2008年6月29日号《ヘッドライン》

[CSD]2008年6月29日号《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
◎岩手・宮城内陸地震:「教会の課題実感」——「山間部に福音届いていなかった」
★米国:オバマ大統領候補が所属教会を退会
★カンバーランド長老:日本で総会を開催——国境超えた教会を具現

 = 2 面 ニュース=
◎日本宣教の「氷河期」に備え一致を——エキュメニカル協会公開研究会
★ミャンマー・四川被災:本格的支援は始まったばかり
★アルファ・ジャパン新事務所開設——新代表に永井信義氏
★<逝去>野田新弼氏(創世グループ代表、91歳)
★<教界ニュース>日本ルーテル教団、日本福音教団
★<落ち穂>『キリスト者の標準』の復刊

 = 3 面 =
★<教会の実情を知る:教会ルポ>[15]保守的な地域に伝道の難しさ——大人と子どもの合同礼拝で教会離れに歯止め
★<教会の実情を知る:集計データから>[19]閉塞感がある要因と「ある」教会への提言——祈りと伝道の原点に返る
★<オピニオン>人の思いを深く聴き祈る壺となる 記・榎本 恵

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★在日の企業人として生きる——玄 承禎さん[上](レホボト・ジャパン代表)
★<コミュニケーションのヒント>[9]「見せ方」で変わる伝わり方 記・森宗秀敏

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『恋愛の品格』パク・スウン著(Durnno、1,680円税込)
★BOOK:『孤独と出会い』米村英二著(大津キリスト教会出版部、700円税込)
★BOOK:『イエスはなぜわがままなのか』岡野昌雄著(アスキー新書、780円税込)
★REVIEW:『礼拝の1時間』ナンシー・ビーチ著(福音社、2,625円税込)評・小野寺 従道

 = 6・7 面 ザ・対談 創造論 =
★創造には最終ゴールがある 宇神美正海 VS 宮本武典

 = 8・9 面 三浦綾子特集 =
★今なお息づく三浦文学の魅力——文学館10周年、36万人超が来館
★夫の三浦光世さん、子どもの聖書物語を出版予定
★広がり続ける三浦綾子読書会——新たな展望 国際化も
★読書会・イベント案内

 = 10 面 教会学校 =
★日本の教会学校はいま:現代社会の問題根強く——高齢化・忙しい子どもたち
★<CS分級アイデア>ダンボールで作る デコレーション額ぶち 記・石橋えり子

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎「クリスチャンとして電話相談を」で10年——「きぼうのダイヤル」
★知られにくい被害者実態——性暴力被害者支援シンポで大薮順子さん講演
★<逝去>古川第一郎氏(改革派・南越谷コイノニア教会牧師)

 = 12 面 教会 =
★「種まき期」から「育成期」へ——アッセンブリー・藤沢オリーブチャペル

◎岩手・宮城内陸地震:「教会の課題実感」−−「山間部に福音届いていなかった」

 岩手県内陸部南部を震源に今月14日午前8時43分に発生したマグニチュード7・2(推定)の地震では、地震発生から5日目で、死者11人、行方不明者11人となった。最も被害の大きかったとされる宮城県栗原市をはじめ、山間部に被害が集中する形となった。

 震度5強を記録した岩手県北上市にある保守バプ・北上聖書バプテスト教会では、「強い揺れを感じたが、揺れの割に大きな被害はなかった」と言う。同教会の佐々木真輝牧師は、「一人暮らしをされている方や高齢者の方の安否が心配されましたが、電話が通じない時間が続き手間取りました。しかし、現在のところみなさんご無事のようです。気づかないところで何らかの被害に遭われた方もおられるかもしれませんので、必要な助けが与えられるよう、お祈りいただければ感謝です」と語った。
 また、「被害の少なかった都市部に教会が集中していたこともあり、教会関係者で大きな被害に遭った人はいませんでした。しかし、今回の地震で、山間部に教会がないこと、福音が届いていないことを改めて知らされました」とも。
 毎日新聞19日・地方版は、栗原市山間部では崩落した土砂が水流を遮断してできる「土砂ダム(せき止め湖)」が多数出現しており、18日、「決壊」に関する情報が錯綜し、「行方不明者の捜索が中断する場面もあった」と報じた。
 仙台管区気象台は19日午後に同市を中心とした被災地周辺で本格的な雨が降ると予測しており、土砂災害や家屋倒壊にも注意するよう呼び掛けた。捜索にあたる人たちの安全確保と共に、引き続き警戒が必要な状態が続く。

◎日本宣教の「氷河期」に備え一致を−−エキュメニカル協会公開研究会

 「日本におけるキリスト者人口1%の壁を突破し、人々に福音を伝えていく働きは、共働の祈りと協力の中で進められるべきではないだろうか」との思いから、日本エキュメニカル協会(徳善義和理事長)は、キリスト者が一致して祈り、学び合う場として今後3年間、「日本の宣教」に焦点を当てた公開研究会の開催を企画。6月1日、東京・新宿区の岐部ホールで「明日の日本宣教を考える—キリスト者の一致の視点から—」をテーマに開催した。
   ◇
 公開研究会では、福音派の立場から藤本満氏(IGM・インマヌエル高津キリスト教会牧師)、カトリックからP・ロランド氏(埼玉教区司祭)、メイン・ラインの立場から吉高叶氏(日本バプテスト連盟宣教研究所委員長、栗ヶ沢バプテスト教会牧師)が発題。
 藤本氏はまず、教団のアイデンティティーと排他性の関係性について「アイデンティティーの強い社会組織をつくろうとするとき、必然的に自己と他者を区別しようとする。仲間意識の強さが、いつの間にか排他性・独善性につながるおそれがある」と指摘した上で、キリスト教界の危機として牧師不足の深刻化を挙げ、「これから来る『氷河期』に、どれほどの数の教会が統合・閉鎖という問題に直面するだろうか」と懸念。「複数の教会が統合するにしても、地域にある他教団の教会同士でないと距離的に難しい現実がある。日頃からの教団教派の指導者層同士、地域の牧師同士、信徒を交えた教会間、神学校同士で交流が育っていないと、孤立か吸収で終わってしまう」と教会一致の重要性を語った。
 ロランド氏は1951年に来日。埼玉県川越市や飯能市に赴任した際、地域の牧師たちと交流し、互いに学び合う機会が多かったという。「他教会に対する恐れや自己防衛的な思いをもつこともあると思う。しかし、私たちは同じ神の子どもであることを思うとき、神に近づこうとすることは、他者と近づくことであり、他者と近づこうとすることは神に近づくことであることを覚えていきたい」と語った。
 吉高氏は、戦後日本のエキュメニカル運動とその実りを振り返った上で、「日本のキリスト教会は、『市民権』を得ることに翻弄され続けてきた面があるのではないか。『愛される教会』から『愛する教会』への意識変革が必要」など、日本宣教の反省点を指摘。「マイノリティーであるからこそ輝く特殊性がある。それを『山の上』に掲げ、地の塩であることを大事にしていきたい」。また、「実は、戦後のキリスト者が常に世から問われてきたことでもある『なぜ、誰と礼拝するのか』、『礼拝してどうなるのか』という根源的な問いに、きちんと答えてきただろうか。世は今、希望や人間性の喪失にさらされている。このようなときにキリスト教界が一致し、世界のメンバーシップとして役割を果たしていかねばならない」と語った。

◎「クリスチャンとして電話相談を」で10年−−「きぼうのダイヤル」

 「クリスチャンとして電話相談を」。1999年に設立された「きぼうのダイヤル埼玉」は、相談員みながクリスチャンの電話相談だ。1年の準備期間を経て00年に本格始動し、今年8年目を迎えた。運営委員長を務める佐藤仁子さんと研修委員長の早川照子さん、運営委員で相談員のSさん、Nさんに話を聞いた。

 立ち上げのきっかけは、埼玉いのちの電話でボランティアをしていた4人のクリスチャンだった。社会福祉法人である埼玉いのちの電話では、クリスチャンであることを相談者に告げることは禁じられていたという。「相談員として、クリスチャンであることを明らかにしたい」。4人のクリスチャンは、東京いのちの電話の研修スタッフで、埼玉いのちの電話でも研修担当をしていたクリスチャンの早川さんと池谷さんに相談、独立を決めた。「カトリックからプロテスタントまで、同じ神様を信じる点で変わりないので、超教派の組織にしようと教会などを中心に相談員の募集を呼びかけました」。50人ほどの受講希望者が集まり、70時間の研修を経て35人が相談員に認定された。
 「東京や埼玉だけでなく、茨城、栃木などからも受講者がいました。実際に全員が相談員としてボランティアできるわけではありません。2年に1度講座を開き、随時相談員を養成しています」と佐藤さん。これまでカトリックとプロテスタントは2対1の割合だというが、「できれば半々にしたい」とも。
 また、一昨年からは公開講座も始めた。「少しでも多くの人に、こういった働きを知ってもらいたい」という思いからだ。今年は「クリスチャンとボランティア」をテーマに全4回、毎回講師を変えて講座が開かれる。
 養成講座を経て、現在30人ほどボランティア相談員がいる。日曜日以外、祝日も年末年始も関係なく午後1時から5時まで相談を受けている。「1か月平均260件相談が寄せられます。一人でいる時に話したいという方が多いです」と佐藤さん。また、「クリスチャンであることを公表しているため、教会での悩みを打ち明ける人もいる」と相談員のNさんは語る。「でも、教会の問題は突破口であって、やはりいきつくところは自分の問題、心の声になってくる」とも。一方で、数は少ないがいたずら目的の電話もかかってくる。「ここの電話相談は『人と人は対等の存在』という聖書の精神が基盤にあります。だから、そういった電話でも正直に思いを伝える対応をします。気持ちを聴き、気持ちを伝えることが大切」と早川さん。相談員のSさんは、「直接不快だとは言わなくても、真摯に聞いているといたずら電話の相手の方から電話を切ります。電話であっても、こちらの毅然とした態度や思いは伝わるようです」と語る。日々、相談を受けるスタッフへのケアも必須だ。「毎月の継続研修、個人のスーパービジョンなどで問題を共有し、学び合うことを目指しています」と佐藤さん。クリスチャンゆえ、祈りで始まり祈りで終えられるのも心強いという。
 相談者の多くは、病院のパンフレットやタウンページ、教会からの紹介などでかけてくる。「当初はクリスチャンだけでやるなんて無謀だとも言われましたが、逆にクリスチャンだからと相談してくださる方もいて、働きの必要を感じています」と早川さん。今後の課題は、「相談員も高齢化している中で、新しいボランティア相談員が起こされること」だという。
 今年は9月から来年3月までの期間で養成講座が開かれる予定だ。
 問い合わせTel&Fax049・226・5153。ホームページhttp://www.geocities.jp/teru_hayakawa1027