NHK会長 籾井勝人 殿
NHK経営委員会委員長 浜田健一郎 殿
〒151-0072 東京都渋谷区幡ヶ谷1-23-1
日本同盟基督教団「教会と国家」委員会
委員長 柴田智悦

 このたび、1月25日に行われた就任会見において、籾井勝人NHK新会長が、従軍慰安婦について「戦争をしているどこに国にもあった」等の発言をし、発言を取り消したものの謝罪もせず、NHK経営委員会も責任を問わないとの考えを示していることに対して、私ども日本同盟基督教団「教会と国家」委員会は以下の理由で強く抗議し、籾井新会長による公の謝罪とともに、経営委員会の責任ある処置を強く求めます。
 
 第一に、日本政府は従軍慰安婦問題に対して「多数の女性の名誉と尊厳を傷つけた問題であると認識」し、「慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からお詫びと反省の気持ちを申し上げて来ました」と公に謝罪しています。特に1993年8月4日の河野内閣官房長官談話では、「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」と、慰安所が当時の軍当局の要請によって設営されたものであり、慰安婦の募集についても「甘言、強圧による等、本人たちの意志に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった」と認めています。さらに、「われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する」としています。2001年、小泉首相(当時)は「元慰安婦の方々に対する」手紙において、「わが国としては、道義的な責任を痛感しつつ、おわびと反省の気持ちを踏まえ、過去の歴史を直視し、正しくこれを後世に伝えるとともに、いわれなき暴力など女性の名誉と尊厳に関わる諸問題にも積極的に取り組んでいかなければならないと考えております」と記しています。
 従って、籾井新会長の、日本政府の謝罪を否定するような発言は「社会的使命を担う公共放送のトップ」としてはまことに不適切であって看過することはできません。籾井会長は、日本軍の性奴隷とされた元従軍慰安婦の方々に対して真摯に謝罪すべきです。
 第二に、従軍慰安婦問題が「日韓条約ですべて解決している」との発言に関して、まず、河野官房長官談話では「戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていた」と、朝鮮半島出身者の元従軍慰安婦に対する比重の大きさを語っています。しかも、その問題の真相が元従軍慰安婦の方々の証言によって明らかになって来たのは、「日韓基本条約」「日韓請求権並びに経済協力協定」が締結された1965年よりはるかに遅い1990年代以降のことです。その条約、協定も従軍慰安婦