[CSD]2003年3月16日《ヘッドライン》

[CSD]2003年3月16日《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎「君が代」弾けない理由——伴奏拒否の音楽教諭らが手記『なぜ「君が代」を弾かなければならないのですか』
★大阪でも「君が代」集会——「生きる力」抜き取られる先生
★三浦作品、迫真演技で再現——自伝的小説『道ありき』を上演
★<恵みのどんでん返し>息子の障害に見た神への大感謝 記・森本正之
★<落穂抄>福音文書を求めている海外在住クリスチャン

 = 2 面 =
★日本ケズィック始める:最悪状況の避け所は神——世界にテロ・災害から逃れられる場所はない
★「三・一独立運動」が今何を問い掛けているか——高麗博物館シンポ開催
★NRA:野口、万年両氏が役職辞任
★<論説>教会の個人情報保護——「隣人を愛する」がゆえに 記・津村 春英

★<神のかたち>[34]「からだについての権利…それは妻のものです」 作・稲垣 緋紗子
★<今週の本棚>『女性キリスト者と戦争』富坂キリスト教センター編(行路社、2600円) 評・岡本富郎
★<今週の本棚>『聖霊による希望』日本ケズウィック・コンベンション(同コンベンション、1800円)
★<今週の本棚>『牧師さんになったお坊さんの話』松岡広和著(フォレストブックス、900円)
<情報クリップ>催し情報ほか

 = 3 面 キリスト教社会事業シリーズ=
★痴呆性高齢者のグループホーム誕生——グループホーム出石愛の園

 = 4 面 全面広告=
☆JEA世界青年宣教大会 すっと青山
2003/8/12(火)~15(金)、会場:青山学院大学青山キャンパス

 = 5 面 =
★地方から「平和」発信——国立市議関口 博さん再出馬
◎神と利益結びつける絆は人——ビジネスマン伝道用本としても話題『企業のすべては人に始まる』(ダイヤモンド社、1600円)
★賛美を元気づけたい——クリスチャンのタレントプロジェクトをスタートした小林義宣さん
★ベストアーティスト金賞に大和田広美さん——'02ゴスペルCCM大賞決定
★<CDの時間>「心をいやす愛の調べ」アガペーCDシリーズ第1集(ゴスペルワールド、2500円)
★<脱北—川向こうの基督>[9]「昔、侵略してきた日本人が助けてくれるとは」 記・松本 望美

 = 6 面 ビジネスマンのページ=
◎<ゴスペルインタビュー>神様に用いられる病院へ——湯川 紘末さん(湯川胃腸病院理事長)
★<クリスチャンのための経営塾>[7]「製品ライフサイクル」 記・鹿嶋春平太
★<BUSINESS BOOK REVIEW>『失敗学のすすめ』畑村 洋太郎著(講談社、1600円) 評・中野 雄一郎
★ <私の信仰とビジネス>[7]固定費が多くても利益を出す 記・小倉 昌男(ヤマト福祉財団理事長)



神と利益結びつける絆は人−−ビジネスマン伝道用本としても話題『企業のすべては人に始まる』(ダイヤモン

クリスチャン経営者として知られるサービスマスター社名誉会長ウィリアム・ポラード氏の著書『企業のすべては人に始まる・サービスマスター 社員の成長に献身する会社』がこのほどダイヤモンド社から出版され、ビジネスマン伝道用の本としても注目を集めている。
 サービスマスター社は清掃業を中心とするサービスを、全米の一般家庭・事業所併せて年間1千150万以上の顧客に提供し、グループ全体で50億ドルの売り上げを誇る優良企業。会社の4つの社是の1番目は「何をするにも神を敬おう」で、その経営のバックボーンにはキリストの教えがある。また同社はサービスマネージメントの分野では伝説的な会社として知られ、クリスチャンで現代経営学の父ピーター・ドラッカーは「人を訓練し、育てることを1つの商売にした企業」と語っている。
 クリスチャンの著者は、同社の「中興の祖」といわれ、83年から15年間最高経営責任者(CEO)を務めた。同書の中でも「神とビジネスは相容れるもので、…わたしたちにとって、神と利益を結びつける絆は人なのだ」、「一人一人の価値を認め、人の役立つことのすばらしさをわかってもらうことで、働く目的ができ、わたしたちはただ人に何かをしてもらうだけでなく、自分も人に何かをしてあげること、ただ仕事をするだけでなく、何か意味のあることをすることを学ぶのだ」、「道徳的規範を持たない企業は人間的なこころの破綻を来す可能性がある」など、その福音に根差したビジネスの神髄をあますところなく語っている。内容も、「人材はただの人手にあらず」「人を大切にするマネジャーは家庭も大切にする」「変化に対応するには」「学習する組織でありつづける」「リーダーは奉仕者」、また聖書の視点からみた「そもそも仕事とは何か?」など大変興味深い。
 同書の出版には、クリスチャンビジネスマンの交流団体クリスチャン・ビジネス・フォーラム(CBF)が企画協力している。CBF代表世話人の一人、浅間自動車部品(株)代表取締役宮坂雅夫さんは、「一般ビジネス書ですが、間接的伝道の本です。クリスチャンでない方にも広く読まれることを望んでいます」と語る。同書は現在、ダイヤモンド社の書籍の中で、売れ行きが2位に入っている。
 

<ゴスペルインタビュー>神様に用いられる病院へ−−湯川 紘末さん(湯川胃腸病院理事長)0303160

2月27日にVIP関西センターで開かれた『インターナショナルVIPクラブ〈大阪〉オーナーズ』のゲストとして「病院再建への道のり」を語った湯川紘未さん。大阪市天王寺区にある湯川胃腸病院の理事長を父から引き継いで7年になる。経営に行き詰まった病院の改革に着手したのはさらに遡って15年前。明治時代開業の歴史ある病院の改革は並大抵ではなく、立ちふさがる伝統と頑固な抵抗に力を振り絞り立ち向かう日々だった。現在は経営の新たな土台となるISO取得に向けて準備を整えており「古いものを壊して、建て上げの時代に入った」と、困難と希望に満ちた15年間を振り返った。 スクラップド アンドビルドに着手 
大嵐のただ中へ  「成功するとは思いませんでした。神様の助けがあったからできたことです」
 病院の評判は良く、はやっているにもかかわらず、自宅売却の一歩手前まで行ったほど経営状況は最悪だった。他人まかせのずさんさが窮迫の原因、この状況では家族が一人経営に参加する必要があるというアドバイスにより、薬剤師として働いていた湯川さんが経理部門に駆り出されたことからすべてが始まった。
 「つまり、スクラップド アンド ビルドをしたわけです。スクラップするときは嵐がきます」
 湯川さんはまず、薬品購入の見直し、経理のコンピュータ化、給与、人事、就業規則の改善に取り組み始めた。馴れ合いに頼らない日常の基本的なルールの整備と、記録の整備は急務だった。
 古い体質にメスを入れることは、人間関係の軋轢をもたらす。激しい抵抗と非難。無視を決め込むような子どもじみたいやがらせは、露骨なだけに胸に応えた。
 「そのころよく口ずさんでいたのが聖歌の『屈するなかれ』です。これを歌うと、この試練は乗り越えられるという確信を得ることができました」 クリスチャン会計士との出会いで信仰へ 
再建支えたキリストの愛  病院改革という大事業で湯川さんが得たものははかり知れないが、信仰との出会いは何にも換えがたいものだ。新しく契約した会計事務所からやってきた梅津善一さんは伝道に燃えるクリスチャン。あまりの熱意に教会に行かなければ悪いと通い始めた千里ニュータウンバプテスト教会でキリストを信じ、90年の2月に洗礼を受ける。信仰は改革事業の大きな助けになり、新生湯川胃腸病院の企業理念を支えるものになった。 選ばれる病院目指し基準作りに着手 一丸となってISO取得めざす
 
 たゆまぬ努力は徐々に実りを見せ始める。院内の理解者が増え、クリスチャンの助け手も与えられ、やがてスクラップの時代からビルドの時代を迎える。
 「これからは選ばれる病院にならなければ。そのための基準作りがISOです」
 今までのような口コミ頼りの病院選びではなく、安心して選べる信頼を確立する。質の高い医療と安定した経営を維持し、常に向上するためにISO取得は必要不可欠と、現在院内で勉強会を開いている。6月には取得したいと湯川さんは言う。
 「勉強会はスタッフのやる気を刺激し、若い人たちが問題意識を持って考える良い機会になりました」 大阪で2番目のホスピス開設
神に用いられる病院にしたい  昨年10月には念願だったホスピス病棟を開設した。大阪では淀川キリスト教病院に継いで2つ目のホスピスとなる。このときも院内での勉強会を熱心に行い、準備に万全を期した。キリスト教色を前面に押し出しているわけではないが、今年になって次々と受洗者が起こされた。患者の必要に応えて、近くの教会や牧師を紹介している。クリスチャンスタッフが多いことも大きな力になっている。
 このホスピスが、希望と平安に満ちた場所になることを祈り続けてきた。病床で家族らに囲まれて洗礼を受ける患者の姿を、キリストの愛をまのあたりにするような思いで湯川さんは見つめる。
 VIP関西のメンバーの証し集『からしだね』に、湯川さんは次のように語っている。「神に用いられる病院にしたいという信念のもとで、神が求めなさい、探しなさい、たたきなさいとおっしゃっていることをひとつひとつ実行し、そのための努力を惜しまなければ必ず聞き届けられると信じて疑うことはありませんでした」
 医療制度の急激な変革に、人々の不安が増大する今だからこそモラルをきっちり守っていく病院になりたいと湯川さんは言う。長年苦労を共にしてきた事務長の山崎裕美さんは「理事長はまっすぐな人。どんなことがあっても意志を曲げない人」と、ときには下働きもしながら捨て身で改革に取り組んできた誠実な人柄を尊敬している。