[CSD]2004年3月7日《ヘッドライン》

[CSD]2004年3月7日《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎拉致問題 動かす——「ブルーリボンの祈り会」全国展開へ
★台湾で育つアシュラム——日本の関係者ら李登輝前総裁と交流 記・榎本 恵
★引退後の人生を韓国との和解に——村岡崇光氏(前ライデン大学教授)の無料公開講座が話題に
★<恵みのどんでん返し>「神の家族」とは何かわかったとき 記・中島 若樹
★<落穂抄>キリストを描いた、メル・ギブソンの映画「パッション」

 = 2 面 =
★2・11集会 今年の焦点:戦争の背後に資源問題——有機農場で体験的平和集会
★2・11集会 今年の焦点:「教会こそ外交努力を」——米国追随の日本を憂慮
★2・11集会 今年の焦点:終末から見たヤスクニ——イラク派兵、日米関係
★2・11集会 今年の焦点:青リボン処分教師の国立市で信仰の自由を守る日礼拝
★2・11集会 今年の焦点:王なるキリストに日本の現状を祈る
★<論説>日露戦争開戦100年——教会の戦争観 検証を 記・油井 義昭
★<今週の本棚>『世界宣教の展望』ラルフ・ウィンターほか編(いのちのことば社、2,520円) 評・北野耕一
★<今週の本棚>『ママ、わたしがプレゼント』(日本ホーリネス教団、735円)
★<今週の本棚>『今こそ平和を実現する』小中陽太郎著(日本キリスト教団出版局、2,310円)
<情報クリップ>催し情報ほか

 = 3 面 キリスト教社会事業シリーズ=
★医療に基づく福祉を——(福)信愛会 特養・グレースの里
 ——奈良県・生駒に特養ホームとグループホーム完成——

 = 4 面 関西だより=
★芸術は未来を創る——平和を訴える作品展「クリスマス・イン・ピース」に参加した奥野 翼さん
◎大阪から霊的革命を——VIP関西平成維新会議
★元ヤンキー社長・野上義久さん、大学講座で証し
★教会のホットな空間——カフェ&ショップ「ユーオーディア」
★関西聖会の新委員長に工藤弘雄氏決まる
★熱い奴ら集まれ——9月に賛美大集会(GOCHA主催)

 = 5 面 =
◎粘土細工に命宿る——故池田満寿夫氏も絶賛した自閉症の若手造形作家
★「預言は教会建て上げるため」——「聖書が語る以上は語るな」とジム・シンバラ氏
★「これを聞いて癒されよう」——共同作業所「アガペハウス」がCD作成
★<ひと>「スポーツは最高の伝道方法」——ミッキー・ウエストンさん(元メジャーリーガー)
★<召天>太田 六郎氏(元聖学院中学校高等学校校長、94歳)
★<召天>金サムエル氏(大阪オンヌリ教会初代主任牧師、本名:キム・チュモン、62歳)

 = 6 面 チャ・チャ・チャーチ=
★目標は、ちゃんぽん教会!——長崎/バプ連盟・長崎バプテスト教会
★百年前のオルガンここに——滋賀/日基教団・安土教会
★文化交流は魅力満載——大阪/福音の群・茨木キリスト福音教会
★<もりべぇのへぇ~>「竜馬を裏切った男」の話 記・守部 喜雅
★<今月の買いどき>かわいい「おいのりうさぎ」(いのちのことば社CR企画、997円)
★<いいもんみっけ>厚生年金伝道

拉致問題 動かす−−「ブルーリボンの祈り会」全国展開へ0403070101

 北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんの母、早紀江さん(JECA・中野島キリスト教会員)とともに拉致問題解決を祈る「横田姉を囲む祈り会」。毎月1回、東京・新宿区のいのちのことば社本社で開かれてきたが、2月の祈り会では、さらに全国に祈りの輪を広げようと提案があり、新たな展開を見せている。「横田姉を囲む祈り会」は4年前から始められ、2月19日で38回を数えた。
 この日、メッセンジャーとして立ったジャパン・カルバリー・クルセードの巡回伝道者福澤満雄さんは、「もっと多くの人の祈りが必要だ」と語った。福澤さんは早紀江さんと、早紀江さんを祈りで支え、めぐみさん救出と拉致問題解決のため、ともに力をあわせるクリスチャンの友人3人共著の証し集『ブルーリボンの祈り』(いのちのことば社フォレストブックス)を読み祈る中で、祈りの輪の拡大を考えさせられた。「祈りができるのはクリスチャンしかいない。ここ(東京)だけでなく、北海道から沖縄まで、また海外にも広がっていければ」と訴えた。
 現在はめぐみさんが拉致された新潟と、ドイツのハンブルクで祈り会が開かれている。以前から大阪、名古屋などでも「祈り会を開きたい」と要請があるという。
 一方、拉致問題の政治性にかかわりをためらうクリスチャンがいるのも事実だ。しかし、福澤さんは「政治的なことはどうであれ、人間として、1人の姉妹の家族のために祈っていきたい」と「神に問題解決を祈ることのみ」をもとにかかわっていくという。
 19日の祈り会後、一部の参加者が集まり、今後の方向性などについて話し合った。そこでは 1.新たな祈り会の名称は「ブルーリボンの祈り会」とする 2.祈り会の席上で募金、献金はしない 3.政治、政党などにかかわらない 4.東京の祈り会が扇の要となり、情報提供していくことを決まりごととし、さらに会の趣意書などを作成することなどが確認された。参加者から千葉・幕張、横浜・戸塚で具体的に祈り会を始める準備があると報告もあった。また、横浜・洋光台でも始まるという。
 早紀江さんは話し合いの席上、「(祈り会を)始めたときはこんなに動いてくるとは思わなかった。今はすごく変わった。祈りの力を感じている」と語った。
 2月に行われた日朝政府間協議では、「北朝鮮側がバタバタとあわてている」様子がみられたと関係筋は語る。また、2月26日からの6者協議で、北朝鮮側が現在帰国している5人の拉致被害者の家族を帰国させ、問題の幕引きをするのではと懸念される。しかし、めぐみさんらの帰国を含めた拉致問題の完全解決まで祈り会は続けられる。
 新たな祈り会立ち上げに関する問い合わせは、Tel:03・3413・7861(斉藤)、Tel:03・3353・9348(鴻海)まで。
 次回東京の祈り会は3月18日、午後2時45分から、いのちのことば社本社で開かれる。

大阪から霊的革命を−−VIP関西平成維新会議0403070402

 大阪の地から日本の平成維新=霊的維新を起こそうと、クリスチャンビジネスパーソンたちの伝道団体インターナショナルVIPクラブ関西(持田明広会長」)は1月19日、「VIP関西平成維新会議」を開催した。場所は大阪市中央区北浜にある老舗料亭「花外楼」。クリスチャンの徳光正子さんが女将を務める同料亭は、1875年に明治の立憲政体の基礎を確立した重要な会議「大阪会議」が開かれた場所。木戸孝允、大久保利通、板垣退助らが明治維新政府の将来を決めるために集まった。
 同会議には、関西に15ある各VIPクラブの代表者が集まった。最初に各VIPクラブのビジョンと課題を発表。その後、VIPクラブ創設者の市村和夫氏と佐々木満男弁護士の2人が、「VIPクラブの10年を振り返って」「VIPクラブのこれから」と題して講演した。
 市村氏は、93年に十数人から始まったVIPクラブが、現在、日本全国、海外まで広がっていることについて「単に数や組織が広がることが目的ではなく、隣人を一人ひとり愛していくことの結果として働きが大きくなっていったと思う。人間的な知恵で拡大しようとすれば間違った方向に向かう危険性がある」と述べた。VIPクラブのDNAとして 1.一人ひとりがかけがえのない大切な人物。その神が愛されている隣人を愛する 2.働き人の育成 3.全世界に広がっていく働きであることを挙げた。  2004年を迎え、市村氏は「聖霊の働き」の3つの側面 1.聖霊の川の流れにのる 2.聖霊の風にのる 3.聖霊の炎に燃えることを示し、「信仰を持って一歩生み出していく時、私たちの創造を絶するような働きを神様ご自身がなされる。大阪の地下鉄の駅ごとにVIPクラブができることを、また新幹線の駅ごとにも生まれるようにビジョンを持って祈りましょう」と語った。
 その他のビジョンとして、様々な職種、年齢層への伝道のため、スポーツ、温泉ツアーなど趣味を通したプログラムを企画。2月に行われるプロゴルファー中嶋常幸さんを招いてのゴルフ大会はすぐに参加予約が埋まったという。またビジネスパーソン伝道の一環として大学生への伝道に海外の大学を含めて展開していくこと、宣教師が入れない地域にビジネスパーソンが福音を伝えていくことなどを挙げた。
 佐々木氏は、「型を破ること」の重要性を強調。 「霊的な意味での平成維新=リバイバルを本気でやろうとすれば、私たち一人ひとりが自分の殻を破り、キリストの隣人愛にいのちをかけなければならない」と述べた。
 現在のVIPクラブについて、「数としては伸びているが、成長率、奉仕者の霊的情熱においてかつてのすさまじさがなくなっているのではないか」と指摘。「これまで成功してきた型に頼ってしまっている。表面的には伸びているが、マンネリ化による内側の霊的なスローダウンがある。これはどうしても打破しなければならない。自分で型を破ることは難しいが、『真理はあなた方を自由にする』というみことばを信じ祈ることによって、イエス様が型を破りマンネリ化から自由にしてくださる。まずは、神のみことばに立ち返り、祈りの祭壇を築き直すべきだ」と語った。
 その後、今後のVIPクラブの働きについての具体的な質疑応答が行われた。

粘土細工に命宿る−−故池田満寿夫氏も絶賛した自閉症の若手造形作家0403070501

 天を指さす「説教者イエス」、祈りをささげる「マリア」、「幼子を抱くヨセフ」…。優しさ、厳しさなど、聖書に登場する人物の豊かな表情が生き生きと伝わってくる陶芸作品の数々…。これらはどれも自閉症のハンディをもつ造形作家、佐々木卓也さん(29)=単立・聖望キリスト教会員、千葉県市川市=の作品だ。卓也さんは95年、全日本アマチュア陶芸コンテスト自由部門に出品した作品「ライオン」で若葉賞(新人賞)を受賞。審査委員長の故池田満寿夫氏から「大賞候補にしたい」と絶賛された。「若手の造形作家」として一般紙やテレビでも取り上げられ、注目を集めている。
 「卓也は説教を聞いたあと作品を作ることがあります。イエス、モーセ、魚の中に入ったヨナなど、頭の中にイメージがパッと浮かぶんだと思います。だいたい30、40分で1つの作品ができるんです」。言葉でうまく自分の思いを伝えられない卓也さんに代わり、母の睦子さんが答えてくれた。
 卓也さんは75年、東京で生まれた。誕生時は、全く泣かなかった。「あとで助産婦さんから『へその緒が首に何重にもからまり、大変だった』と言われました」
 その後、順調に成長するが、1歳年上の兄貞樹さんが表情豊かなのに比べ、「表情が硬い感じだった」という。そして3歳の時、医者から自閉症との診断を受けた。「それはショックでした。最初は自分の育て方が悪いと思い、自分を責めていました。自閉症の知識もなく、闇の中を手探りで歩くような感じでした」と睦子さんは当時を振り返る。
 一方、3歳ごろから絵や粘土細工に熱中し始めた。睦子さんは、言葉でのコミュニケーションが難しい卓也さんに対し「粘土細工や絵を通して少しでも彼の気持ちを理解してあげたい」と願い、絵画教室や陶芸教室に通わせた。
 82年、父・幸男さんの仕事のためインドネシアの首都ジャカルタへ。そのことが睦子さん、卓也さん始め、家族全員が信仰をもつ契機となる。
 睦子さんは7歳の卓也さんを地元の日本人学校に入れた。しかし、適応は困難だった。そんな中、ジャカルタに住む日本人の勧めで、卓也さんと長男の貞樹さん、睦子さんはジャカルタ日本人キリスト者の会=現・ジャカルタ日本語キリスト教会(JJCF)=の教会学校に通い始めた。「JJCFに通う人たちの表情は柔和で優しさに満ちていました。子どもたちも2人を自然に受け入れてくれ、2人にとって良い成長の場となりました」
 JJCFの礼拝に出席した睦子さんは、清野勝男子、入船尊(故人)、小川国光、安海靖郎の各氏ら日本人宣教師たちが語るメッセージを聞いた。「どのメッセージも力強く、絶望の中にいた私を励ましてくれた」。そこで「空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。けれども、あなたがたの天の父がこれを養っていくださるのです」(マタイ6・26)の御言葉にふれる。与えられた状況をそのまま受け入れ、委ねて待つことを知った睦子さんは、洗礼を受けた。
 さらに、夫に対して批判的でなくなり、愚痴も言わなくなった妻の変化に驚いた幸男さんもJCFに通うようになり、翌年受洗。85年に帰国後、貞樹さんと一緒に卓也さんも洗礼を受けた。
 卓也さんは中学卒業後、ガラス製品を作る会社に就職。3年半でその会社を辞めたが、辞めるその日に自分の言葉で「これからは陶芸の仕事をします」と宣言。「卓也が自分の言葉で意思を伝えられた」と睦子さんは驚いた。
 その2年後の95年に若葉賞を受賞。翌年には東京で初めて個展を開いた。以後、毎年各地から企画展をやりませんかと依頼が来るという。  教会では同盟基督・土浦めぐみ教会、福音キリスト教会連合・首里福音教会、福音キリスト教会連合・青梅キリスト教会、日基教団・銀座教会で個展を開いた。また00年には、小学館から佐々木卓也作品集『おかあさん』(文・岸田今日子、写真・堀口眞澄、本体千500円)を出版した。
 大竹堅固さん(聖望キリスト教会代表)は「卓也さんの作品にはものすごいパワー、芸術としての迫力がある。障がいを全く感じさせない」と称賛。睦子さんは「卓也の存在は、苦労であると同時に、素敵な出会いやいろいろな世の中を見せてくれた。卓也には、追い立てず、あわてず、与えられているものを大切に見守りながら、地道に絵や粘土の立体作品の制作を続けさせてやりたいと思っています」と語った。      【中田 朗】