ヘッドライン
[CSD]2004年5月23日《ヘッドライン》
[CSD]2004年5月23日《ヘッドライン》= 1面 =
◎アジア教会会議:教会の霊的刷新と成長テーマに——宣教の動力を体感
★東京ドームでゴスペル——来秋5万人フェスティバル開催
★5・3憲法集会:ノーベル平和賞受賞者ら9条擁護に注目
★インド:ベテラン宣教師らに国外退去の方向
★<恵みのどんでん返し>天に帰った子どもを通して生かされた 記・久保木 聡
★<落穂抄>モンゴルの若い力
= 2 面 =
◎「小さないのちを守る会」20年——後継者に名古屋支部の水谷潔氏
★<聖書訳語の最前線>[5]「わざわいだ」 記・内田和彦
★同盟基督:宣教協力強化へ「宣教区」制度——13教会加入で200教会超へ
★日本福音同盟:メールマガジンを発行(http://www.jeanet.org/)
★<論説>イラク人質「自己責任」論——市民の国際貢献に無理解を露呈 記・稲垣 久和
★<今週の本棚>『科学史の中のキリスト教』標 宣男著(教文館、1,680円) 評・中山良男
★<今週の本棚>『地の果てまで』藤巻 充著(日本ホーリネス教団、1,890円)
★<今週の本棚>『神の国はあなた方のもの』内田 和彦著(いのちのことば社、1,360円)
<情報クリップ>催し情報ほか
= 3 面 =
★相次ぐ反戦言論への露骨な攻撃——自衛隊官舎へのビラ配りで逮捕・起訴の異常さ 記・藤野慶一郎
★郵便受けへのビラ配りは「正当な表現行為」か、「住居等の侵入」か 記・桜井圀朗
= 4 面 視覚障がい者特集=
◎楽譜点訳にかける思い——「いつも初心に戻って」と川村智子さん
★点字雑誌「信仰」——キリスト者を支えて90年
★創刊のスピリットは盲学校教育がルーツ
★バリアフリーの絵本をつくった青木道代さん——透明点字シート付きを呼びかけ
★「新改訳 聖書」第三版の点字版完成
= 5 面 =
★「ラ・ルシュ」モデルにグループホーム・ベイトレヘム開所——ハンディ持つ人と一緒に血縁によらない家族を
★青少年の癒しの場に駒ヶ根パノラマ愛の家開所——淀橋教会「アガペー共同体構想」の社会的展開
★映画「パッション」観客50万人突破——映画館前でトラクト配布
★カタール:反ユダヤ映画と聞きイスラム教徒が「パッション」鑑賞
★レーナ・マリア基金結実——タイの障害児を支援
= 6 面 ビジネスのページ=
★<信仰人スピリッツ>宣教師の後ろ姿が原点0——(財)大阪市都市産業振興センターソフト産業プラザ イメディオ所長・富永 順三さん
★<ミッションと起業>信頼される人間を創る社内教育——オリジン電気(株)創業者・後藤 安太郎 記・鈴木功男
★<ブックレビュー>『変な人の書いた成功法則』斎藤 一人著 評・中野 雄一郎(総合法令、1,680円)
★<書籍案内>『人生と塩』パオロ・モスカ著(ダイヤモンド社、1,470円)
★<書籍案内>『思いつきをビジネスに変える「ノート術」』樋口健夫著(PHP研究所、798円)
★<書籍案内>『経営者の精神史』山口昌男著(ダイヤモンド社、1,980円)
★<書籍案内>『広告はわが生涯の仕事に非ず』多川精一著(岩波書店、3,675円)
アジア教会会議:教会の霊的刷新と成長テーマに−−宣教の動力を体感0405230101
アジア福音同盟(EFA)主催の第6回アジア教会会議が、「教会の霊的刷新と成長」をテーマに4月26日から30日まで、韓国ソウル市郊外のミョンソン長老教会リトリートセンターで開かれ、アジア諸国を含む20か国から349人が参加した。一時は人口の30パーセントといわれたほどに増加した韓国のクリスチャンだが、90年代に入って成長が鈍化、最近は下降しているといわれる。参加した牧師や教会指導者らは韓国教会の実情を目の当たりにしながら、今アジアの教会にとって必要な刷新と成長の課題に向きあった。(会議の詳報は次週)会議3日目の朝は早かった。参加者らは午前3時に起床。バスで約1時間半かけてソウル市東部のミョンソン長老教会に向かい、早天祈祷会に参加した。教会員約8万人の同教会では、毎朝4回の早天祈祷会が行われ、約4千人が祈りにくる。会議参加者らが出席した回には、千650人が集まった。同教会のキム・サンワン牧師の簡潔なメッセージの後、会衆は静かに祈り、祈り終わった人から退出する。
人々が祈る姿を見て、日本福音同盟女性委員会神津喜代子委員長は「床や壁に祈りが染みこんでいる」と驚きをもって語った。今回、韓国を訪れるのが初めてというインマヌエル・中目黒キリスト教会の竿代照夫牧師も、「想像を超えてすばらしい」と感心した様子だった。
祈祷会の後、キム牧師が「成長する教会」と題して、自身の経験を交えながら会議参加者に語った。20年前に「金もなく、人もいない」中、開拓伝道を始めた。そのうち肺結核も患い、健康も崩した。場所はソウル市の外れ、バスの終着駅近くだった。人といえばバス関係者だけ。そのような中で、キム牧師は早天祈祷を始め、「まず早天祈祷会に25人与えてください」と祈った。25人が与えられるとさらに祈り、2年で500人と人数がどんどん増えていった。「宣教は祈りによってなされます」と断言した。
また、早天にこだわるのは「キリストに習うことだから」という。「私は早天祈祷会に来る人をより信頼しています」と語った。「祈りは魂、国家、私たちのすべてをリバイブする。忙しければ忙しいほど、経済的に豊かになればなるほど、困難になればなるほど祈らなければならない」と教会の成長に祈りが不可欠であることを訴えた。
祈祷会で「日本の教会を強くしてください」と祈ったバプ教会連合・和泉中央キリスト教会の竹井祐一牧師は、「2千人教会を目指していたが、2千人では足りない」と思いを新たにしていた。早天祈祷会出席は参加者に大きな印象を与えたようだ。 会議では「キリストの教会は神のみことばに従って絶えず刷新され、成長すべきである」とし、献身の姿勢として「…救いの福音を宣べ伝え、神の愛を顕し、公正・真実・平和な社会を築いていく」ことを確認した宣言文が出された。 【藤川 義】
「小さないのちを守る会」20年−−後継者に名古屋支部の水谷潔氏0405230201
聖書に基づく生命の尊厳を主張し、人工妊娠中絶防止、養子縁組の相談、いのちと性に関する啓発などの活動に取り組んできた「小さないのちを守る会」(PLJ)が、発足から20年を迎えた。4月30日、事務所のある東京・千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで開いた総会で、創立者の辻岡健象代表から「後継者」としてPLJ名古屋支部代表を務めてきた水谷潔氏を紹介、承認した。教会やクリスチャンの祈りの中で、中絶大国日本においてその防止に先駆的な役割を果たしてきた働きは、次代へバトンを託す継承の体制が整った。総会の会場には、PLJの活動を象徴するかのように、支援する会員の牧師・信徒のほか、PLJの世話で養子縁組をした親子や家族の姿も見られ、ときおり幼子の声も混じるなごやかな雰囲気の中で行われた。
03年度活動報告の中で辻岡代表は「最近の10代の性感染症のひどさはすごい」と危機感を表し、こうした問題に対応するクリスチャンの組織を協力して立ち上げたことなどにふれた。また、今年3月、辻岡代表にキリスト教教育学博士号が授与されたことについて「私がというより、守る会の20年の働きが評価されたと思う」と報告した。
後継者について「小さないのちを守る会は救霊のわざ。伝道者・牧師でなければ務まらない。教会に仕え、共に育っていく人、対外的には社会経験のある中堅の世代がいい」として水谷潔氏を紹介、拍手で承認された。
水谷氏は「後継者」受諾までの経緯を話した。辻岡氏から「後継者に」と打診されたのは99年2月、PLJのトラクトの原案を作成した水谷氏が、その発行記念で講演したときのこと。当時、名古屋一麦教会の副牧師として、教会の伝道・牧会が自分の召しだと思っていた水谷氏は即座に断ったが、その後も辻岡氏から再三要請を受け、祈り始めた。その中で01年2月、宣教師を訪ねてカンボジアを訪問した際、大量虐殺が行われた施設の牢獄で、初めて殺される胎児の側に身を置き、「殺されていくいのちのために仕えるよう語りかけをいただきました」と証しした。
またPLJを通して2人の子を養子にした土屋繁氏(笠松キリスト教会牧師)が講演し、子どもへの告知にまつわる悲喜こもごもなどを話した。
楽譜点訳にかける思い−−「いつも初心に戻って」と川村智子さん0405230401
「難しい楽譜の方がおもしろい。はりきってやっちゃいます」。少女のように目を輝かせて話す教会オルガニストの川村智子さん(日基教団・逗子教会員)。川村さんは楽譜点訳のボランティアグループ「ダ カーポ」を1988年に結成して代表を務めている。「ダ カーポ」ではこれまで依頼を受け、賛美歌や大小80を超える作品を点訳してきた。点字楽譜は一般の楽譜とは様相が異なる。点字で音符の種類、音楽記号などすべてを表すので、何倍ものスペースが必要だ。点字の6つの点の上4つで音の高さを、下の2つで長さを表す。また、分冊して作業するために、曲ごとにわかりやすく点訳のルールをつくるのも訳者の役目。「この約束事をつくるのがなかなか大変」と川村さん。
川村さんが楽譜点訳にかかわるようになったのは、視覚障がいをもったオルガニストを紹介するテレビのドキュメンタリー番組がきっかけだ。その番組でオルガニストの「楽譜を点訳できる人がもっと増えてくれれば」と語ったことばが、川村さんの心に留まった。元音楽教師、子どものころから音楽に慣れ親しんできた川村さんには、同じ音楽家として共感するものがあった。
さっそく楽譜点訳に取り組もうとしたものの、点字は全くの素人。まずは1年間、講座に通って和文の点字を習得した。点訳は1人で作業することはない。点字を打つ人と校正をする人が必ず必要だ。楽譜点訳講座の受講修了者で「ダ カーポ」を立ち上げ、現在9人で活動している。
例会では、メンバー同士で知恵を出し合って、工夫しあう。点訳された楽譜を実際に使う視覚障がい者は、すべて暗譜する。だから、なんといってもわかりやすさが大切だ。「バロック音楽のように声部が入り組んでいたり、楽譜点訳の手引きにないような表現の点訳」はとても難しい。しかし、「どういう風に表現すれば伝わるか考えるのが楽しい。点訳を『いやだ』と思ったことはない。喜んでやっています」と川村さんはいう。 依頼を受け、点訳した楽譜をすぐに演奏に使ってもらえるのもやりがいを感じる理由の1つ。ボランティア活動なので、金銭はいっさい受け取らない。「点訳をして考え方が変わりました。あたりまえのことをあたりまえと思わず、感謝するようになった」と川村さんは語る。
「自分にしてもらいたいと望むとおり、人にもそのようにしなさい」(ルカ6章31節)。川村さんはいつもこの聖書のことばを肝に銘じ、楽譜を使う人の立場にいつも立って作業する。「ダ カーポ」は「初めに戻って」という音楽記号。「いつも初心に戻って」いう思いをグループ名に込めた。「すでに点訳した楽譜もしょっちゅう見直している」と川村さん。「墨字(点字に対して一般の文字のこと)の楽譜すべてを点訳するのが夢」と声を弾ませる。 「ダ カーポ」に関する問い合わせはTel:045・771・0622(川村)まで。 【藤川 義】