2000年6月11日号《ヘッドライン》

2000年6月11日号
《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎ホームスクールを進める会「チア・にっぽん」設立
★北朝鮮:キリスト者を公開銃殺——別件理由に半年で23人
★モンゴル語聖書旧新約全巻が完成——新生宣教団が印刷
★<いやしの時代>[7]腹話術ボランティアサークル主宰 池田武志さん(下)
★<落穂抄>90歳の信徒伝道者・鈴木留蔵さん
 = 2 面 =
★宣教開始から1世紀——中田重治の宣教を検証
★日本リバイバル同盟:新委員長に野口 皓氏
★西日本ルーテル:新議長に安達賢二郎氏
★福音交友会:アフリカに宣教師派遣
★<教界の動き>バプ教会連合・大野キリスト教会
★<世界の出来事フラッシュ>ロシア、オーストラリア、レバノン
★<論説>伝道の新しい波に乗る 記・中川 健一
★<あかし文学・ろばの子の歌>[6]真子の復活の朝…眠りから覚めて 作・今村真子・和彦
 = 3 面 =
★イスラエルへの謝罪顔と顔を合わせて——聖協団代表らがメシアニック会衆を訪問 記・上野五男
★BFP国際総責任者C・ワーグナー氏来日講演——聖書の世界とイスラエル
 = 4 面 全面広告=
☆東京福音リバイバル聖会・第24回超教派
 = 5 面 文書伝道特集=
★自殺防止トラクトに反響——未信者からも問い合わせ
★孤立の中響く言葉——カナダ在住宣教師夫妻が日本人女性に月刊伝道新聞を
★教会案内の応答者に福音版を毎月送る——継続的フォローで受洗者も
★福音版で種まき——これからも続けます
★地域に生きる教会の宣教の課題——魅力ある伝道文書を作り配る
 = 6面 =
★だれが胎児を殺せるか——キリスト教信仰から見た命
◎なぜ今ナーウェンなのか——影響与えるカトリック司祭の霊性
 = 7面 =
★横田めぐみさん北朝鮮拉致疑惑:祈りのよる支援の輪を
◎有珠山噴火から2か月——虻田福音キリスト教会が礼拝再開
★東大生「悩みは僕たちと同じ」——元ホームレスの信徒が学園祭で証し
★コミティッド・ジャパンが2枚目のCD制作
★<召天>ヤロスラフ・オンドラ牧師(チェコで冷戦下に東西和解に貢献)
★<召天>李 建豪氏(名古屋CBMC会長)
 = 8 面 関西だより=
★<聖書66巻>エレミヤ書(2)心から立ちかえり愛する 記・杉本 智俊
★<書評>「沖縄から平和を祈る」国吉 守著
★<新刊書紹介>「み足の跡をしたいて」梶原 寿著
★<新刊書紹介>「情熱と純愛」エリザベス・エリオット著
★<情報クリップ>催し情報ほか      
 

ホームスクールを進める会「チア・にっぽん」設立

神様が子どもに伝えたいこと、親が子どもに伝えたいこと、学校が子どもに伝えたいこと、この3つは必ずしも一致しない。
学校教育に行き詰まりを感じている人も少なくないだろう。
「ホームスクーリング」「チャーチスクーリング」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
つまり家庭や教会で子どもたちに教育することだが、アメリカではクリスチャンの間で聖書をベースに一般科目も含めて教育する手だてとして注目され、現在200万人を超える子どもたちがこうした教育課程で学んでいる。
日本でもこの活動を紹介しようと、「チャーチ&ホームスクーリングセミナー」が5月20日から23日、沖縄、神戸、東京で開かれた。
予想をはるかに超える延べ600人近くが参加し、日本でも関心の高まりをうかがわせた。 全科目で神を見いだす セミナーのコーディネーター稲葉寛夫さん(元NHKディレクター、前ハーベストタイムUSA副主事)は、チャーチ&ホームスクーリングを進める会「チア・にっぽん」を立ち上げた。
申命記に「心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい…これをあなたの子どもたちによく教え込みなさい」とあるように、神に立ち返ることがこの運動の本質だと稲葉さんはいう。
「神様を第一とする生き方を子どもに教えるのは一つの選択肢ではなく、聖書が示す神様の命令です」学校教育では知識の詰め込みで終わってしまうこともあるが、「すべての科目で神を見いだし、自分が神に愛された存在であることを知り、自分に与えられた将来と可能性を発見していく教育」がホームスクーリングの狙いだ。
聖書が本来、教育の責任を国や学校ではなく、第一義的に親にゆだねていることを強調する。
稲葉さん自身、真祈史君(8)、エミリさん(3)の二人の子の親としてホームスクーリングを実行したきっかけは、「神の国とその義とをまず第一に…」のみことば。
子どもとの溝を感じ始め、「神様第一、家族第二、そしてミニストリー」という優先順位を真剣に考え始めた時でもあった。
十分な意思疎通を図り神第一の教育をしていく中で、家族の絆も深まったという。
セミナー講師のジュリー・ホーンさんは、米国でもホームスクーリングが今ほど盛んでない80年代初めに、神様からの導きを確信して始めた。
当時、ホームスクーリングが聖書的であり、神や家族の絆を強め、社会牲や学力など教育学的にも優れた効果をもたらす、との研究発表が相次いでいた。
とまどいながらも「神様が力を与えてくれた」とホーンさんは語る。
今では世界最大のホームスクーリングセミナー「チア・カリフォル二ア」の責任者を務めている。
「神様に与えられた子どもを神の道で育てなくてはいけないと示されつつも、資料も仲間もいない中でホームスクーリングをするのは不安でした。
しかし神様に示されたことだからやってみようと思ったのです」。
今では米国においては法的にも整えられ、ホームスクールの認知度は高い。
200社にも及ぶ出版社がホームスクール用の教科書を発行している。
また十家族あまりがサポートグループを形成し、各親が得意分野を担当し、グループ学習にも取り組むなど、創造的な展開が拡大している。
また大学もホームスクール出身者への特別な奨学金を用意して入学者を募るなど、評価は年々高まっているという。
ホームスクールでは聖書と一般科目が分離されず、すべての科目を通して、創造主との出会いができることが特徴。
秩序をもって創造した神は数学の公式を通しても見えてくる。
人と交流する手段として与えられた語学でも、文法を学びながら神が見えてくる。
単なる知識の詰め込みでなく、ボランティア活動、大学講座などの受講、教会の婦人会でのベビーシッターなどを展開し、より実社会に近い環境の中で社会牲も身に付く。
はっきりした目的をもって学ぶので、やる気や学力も公立学校に通う子たちより数段上がるという。
稲葉さんは、「ホームスクーリングという形よりも、主に立ち返り、子どもたちに主の教育をしていくという本質が大切」とし、「週2時間から始めるチャーチ&ホームスクーリング」を提唱。
公立校や塾などのクリスチャン教師とも連携しながら、各種セミナーを開き、ホームスクーリングをする人たちが孤立しないためのネットワーク作りを進める方針だ。
チア・にっぽんセミナー事務所TEL047・347・1588(渡辺 健)。

なぜ今ナーウェンなのか−−影響与えるカトリック司祭の霊性

『イエスの御名で』『いま、ここに生きる』(あめんどう)など、カトリックの司祭で多くの著作を遺すヘンリ・ナーウェンの本が、プロテスタントの間でクリスチャンの霊性(スピリチュアリティ)への関心を高めている。
ナーウェンや、知的ハンディを負った人たちの共同体「ラルシュ」を創設したジャン・バニエなど、評価の高いカトリック信者の著作を出版する「あめんどう」(小渕春夫代表=東京武蔵野福音自由教会員)は5月13日、お茶の水クリスチャンセンターで第4回「あめんどうの会」を開いた。
当日は3人の講演者が、「なぜ今ナーウェンが注目を集めるのか」、その魅力について語った。
「あめんどう」は、編集に携わる人たちがみな二足のわらじで、牧師、超教派団体のスタッフ、一般の出版社で働く信徒らが、年に2、3冊のペースで出版を手がけている。
最初は社会問題を扱う本を予定していたが、編集者の一人が精神的行き詰まりの中で読み、励まされた『イエスの御名で』を推薦。
その日本語訳を出したところ大きな反響を得たことから、カトリックでも「目が開かれる」体験やインパクトを与えるものであれば出版しようと、ナーウェンやバニエの著作を手がけるようになった。 「あってはならないもの」に意味がある 若いころ『傷ついた癒し人』(日本基督教団出版局)を読んでナーウェンを知った工藤信夫さん(ルーテル学院大学教授、人間成長とカウンセリング研究所所員・医学博士)は、「ナーウェンは、あってはならない(困る)と考えるものが、実はあってよい、意味があるものであることを明らかにしてくれた」と語る。
注目される理由として「恐れ、苦しみ、混乱はあってはならない」という誤った前提が、むしろ「それ自体人間、宗教の本来性を作っている」ことを再定義してくれたからではないかと指摘した。 弱さ、痛みを直視し賜物と受け止める 『いま、ここに生きる』の訳者でインテグレーションセミナー(牧会としての霊性のセミナー)を福音派の牧師、信徒対象に行っている大田和功一さん(国際福音主義学生連盟主事)は、「ナーウェン自身、深い求め、痛み、叫び、弱さ、傷を直視し、神からの賜物として受け止めているから、私たちの痛みや弱さにも触れてくるのだろう」と見る。
牧師・教師の中でナーウェンが勧める「何でも話せ、手助けしてくれる人との交わり」が必要な人が多い、とも付け加えた。
東京三菱銀行健康相談室室長・吉田博さん(単立・多摩ニュータウンキリスト教会員)は、ナーウェンの本がきっかけで社内での転身を決めた。
2年前まで「上昇志向の強い人間だった」吉田さんは、ナーウェンの『いま、ここに生きる』の「下へ向かう生き方」の項を読んで強い迫りを受けたという。
「『もっと上を目指せ』ということは、福音に全く関係がなく自分の欲望であることが分かり、自分にとって『階段を降りなさい』との促しでもあった」。
そんな中、「健康相談室室長」の話が舞い込み、「受け入れる備えができていた」吉田さんは承諾。
「もっと第一線で活躍してほしい」という声もあったが、健康相談室室長として企業内メンタルクリニックの働きを始めたという。
工藤さんは質疑応答の中で、ナーウェンの語る「才能」と「賜物」の区別を解説。
「弱い者をこの世界から閉め出したことが現代の悲劇」として、「ナーウェンは、才能の世界は競争を生みギスギスした空気を生むが、賜物(神のくださった弱さ、障害を含める)の世界は愛し助け合う世界であることに気づかせてくれた」と結んだ。 ★ヘンリ・ナーウェン★ 1932年オランダで生まれたカトリック司祭で、生涯の多くを母国オランダの神学校、アメリカ・ノートルダム大学、イェール大学、ハーバード大学の神学部で牧会学、牧会心理学の教授として過ごす。
教育者、著作家、説教者として名声を博したが、著作では成功の背後にある深い渇き、かっとうや誘惑、弱さや迷いを告白している。
引退後、生涯最後の十年間をカナダ・トロントにある知的障害を負った人々が生活するラルシュ共同体(創設者ジャン・バニエ)の牧者として生活。
そこで彼が奉仕した人々から「多くの良きものを受け取る」という体験をし、真の魂の安息を得たと語る。
『イエスの御名で』『いま、ここに生きる』はそのころの体験が基になっている。
1996年、ナーウェンは心臓麻痺で64年間の生涯を閉じた。
彼の著作はカトリック、プロテスタントの枠を超え、幅広い支持を受けており、近年日本ではナーウェンの著作もきっかけになって「霊性(スピリチュアリティ)」への関心と求めが深まっている。
「霊性」について新キリスト教事典(いのちのことば社)は「霊的存在を意識したりそれに反応する人間の基本的特質、神との深い交わりの状態、福音派教会では宗教的感情、熱心さと関連してとらえられることが多い」と解説している。

有珠山噴火から2か月−−虻田福音キリスト教会が礼拝再開

北海道・有珠山噴火から約2か月がたつが、5月22日、気象庁・火山噴火予知連絡会の「噴火終息の可能性」発表に伴い、避難解除地域も拡大している。
噴火口から約1キロの所にある虻田福音キリスト教会(虻田町字入江219—1、馬場静子牧師)は、3月30日の噴火以来危険区域に指定され立ち入り禁止だったが、5月28日夜に避難解除となり、長万部、豊浦の避難所を転々としていた馬場夫妻は29日朝、豊浦の避難所から2か月ぶりに帰宅した。
馬場さんらは28日に豊浦の旅館で最後の礼拝を行った。
礼拝には慰問に訪れていたしらゆり有珠山災害救援本部の代表北村高史さん(日基教団・馬見労祷教会員)ほか2人が参加、「祝福された礼拝と交わりを持った」という。
プレハブの会堂は、土台が20センチずれており、水道もストップしたままである。
馬場さんは6月4日から会堂で礼拝を持つ予定で、「避難所を訪問し、紙芝居を読んであげた子どもたちと引き続き交流を持って、できれば教会にも呼びたい」と語った。
5月に北海道有珠災害対策本部の名称を改めた虻田教会支援委員会(代表=日本福音キリスト教会連合・千歳福音キリスト教会牧師木村宣雄)は、建築の専門家とともに早急に虻田教会の会堂の破損状況を調査する予定。
木村さんは「有珠山はまだ噴火しているわけで、予断を許さない状態に変わりない」とし、祈りを呼びかけている。
虻田教会への支援献金の口座名は、虻田福音キリスト教会、代表・馬場俊治、口座番号・北海道銀行洞爺支店、普通0526490。
登別市、伊達市、室蘭市の超教派八教会で持っている室蘭地区牧師会は、有珠の噴火に関するボランティア活動を支援する目的で義援金を受け付けている。
郵便振替19040・30799441、室蘭地区牧師会代表五十嵐不二夫まで。
最初の噴火口から約500メートルの所にある日基教団・洞爺湖教会(現在無牧)は、5月30日現在いまだに立ち入り禁止区域である。
日本基督教団北海教区有珠山噴火救援小委員会は救援募金を行っている。
振替口座00140・9・145275、加入者名・日本基督教団「有珠山噴火救援募金」と明記。