[CSD]2010年2月21日号《ヘッドライン》

[CSD]2010年2月21日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎宣教課題は「心の不安」——教会の経験生かし企業メンタルケア
★米国:南部キリスト教指導者会議にスキャンダル
★富士の麓で恒例お餅つき

 = 2 面 ニュース=
◎TV伝道番組「ハーベスト・タイム」3月で放送終了——地デジ化で見切り、余力を再臨運動展開へ
★全日本宣教祈祷運動が休止
★国際:トゥヴェイトWCC総主事がハイチの対外負債免除をと声明
★韓国:礼拝に持参するのは携帯端末
★<落ち穂>ジョン・宋の日記から

 = 3 面 =
◎東京小金井市内11教会が一致祈祷会——クリスマスには共通の教会案内
★我々ができる国際貢献は?——木俣佳丈参議院議員語る
★<オピニオン>在日から見た外国人参政権 記・崔 善愛

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★篠田 裕司さん[中](OMMメディカルセンター内科部長)——「あなたは救われたいですか」
★<モノトーンからの脱出>[5]「自分ごと化」して会話する 記・小川 巧記

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『たましいのケア』藤井理恵・藤井美和共著(いのちのことば社、1,470円税込)
★BOOK:『かみさまのゆめ』デズモンド・ツツ大主教ほか共著、ファム・レ=ウィエン絵(ドンボスコ社、1,260円税込)
★BOOK:『宇宙は神が造ったのか?』リー・ストロベル著(いのちのことば社、2,310円税込)
★REVIEW:『創世記を味わう?』鍋谷尭爾著(いのちのことば社、2,100円税込)評・清水武夫

 = 6・7 面 葬儀特集 =
★慰めとしてのキリスト教葬儀 記・高木 寛
★不慣れな遺族と教会を繋ぐ——不安を除く葬儀社の役割
★同盟基督・市原平安教会での実践例——教会案内に「キリスト教葬儀に興味のある方はご相談下さい」
★自然素材でロマンチック——籐の棺はいかが?

 = 8・9 面 新学期特集 =
★随想:あなたは一体何がしたいですか?
★海外で学ぶ日本人:留学生活は甘くない——「やると決めたら本気で」

 = 10 面 教会学校 =
★つきたてお餅に大にぎわい——バプ連盟・富士吉田バプテスト教会
★<CSもうひと味>絵と物語で聖書を身近に——CS成長センターから聖書絵本新刊

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★<戦争の世紀から平和の世紀へ>[2]田村久弥さん(前編)インパール作戦従軍から帰還
★英国:ホテル経営に宗教持ち込み裁判に
★バチカン:教会売却してもナイトクラブ転用は問題?
★米国:財政難で100年前のステンドグラス売却へ

 = 12 面 教会 =
★「雪まつり」を伝道の機会に——ウェスレアン・ホーリネス教団札幌新生教会



◎宣教課題は「心の不安」−−教会の経験生かし企業メンタルケア=1002210101

 「心の時代」と呼ばれて久しい。自殺者は12年連続3万人を超え、うつなど心の病が社会問題化している。心に課題を抱える人が確実に増えた現代日本において、教会はこの問題といかに向き合うのか—。ルーテル同胞・仙台新生キリスト教会の牧師、佐藤弘司さんは、この2月から「うつと不安の自助グループ」を仙台市の中心部に開設。心の問題に真正面から取り組んでいる。

 佐藤さんは01年、自宅を開放して不登校児のフリースクール「フリースペースにじ」をスタートさせた。万引きで補導された1人の少年との出会いをきっかけに、「課題を抱えた子どもたちには、親以外に『向き合う大人』の存在が必要だ」と感じたためだ。04年、自宅での限界を感じて仙台市北部の泉中央に移転。「はあとランド相談室&学習室」と改め、フリースクールに加えて、成人も含めたカウンセリングを始めた。現在は黒川郡大和町に移転し、心の癒しに関する様々なプログラムを実施している。
 2月から週に1度、さらに都市部での「自助グループ」を開設。その経緯とは—。「昨年末、テレビで自殺の特集を見ました。原因の多くはうつや経済問題。うつに関しては、これまでカウンセリングでケアはしてきたのですが、特集を見て、神様に新たに背中を押された気がしたのです。現在の『はあとランド』の場所は、町の中心部からは離れています。いっそ、多くの人が足を運びやすいところへも、出て行きたいと思いました」と佐藤さんは振り返る。
 2回目の自助グループを終えての印象は、「予想はしていましたが、やはり症状が重い方はなかなか足を運べません。一方で、比較的軽い方はこういう場に来るのに抵抗を感じてしまう。来られるのは、病気ではないが少し気持ちがダウン気味だ、という方が多いように思います」
 そこで、早くも新たなアイデアが生まれた。「ターゲットを企業に絞ってはどうかと。今は、気持ちがダウンしてしまって100パーセントの力で働けない人たちが増えています。そういう方々を対象に進めていければ。うつが多いと言われている30~40代の男性は、教会に少ない層でもあります。教会につながる、なんらかのきっかけになってもうれしいと思いました」。早速、企業回りも始めている。宗教色は出さず、背広を着て「メンタルケア」と記したチラシをもって回る。元営業マンの経験と勘が生きている。「出て行って伝道するには、いくらでも方法があるのだと改めて思いました。現在、大手企業の担当者と交渉が始まっています。大きな可能性を感じます」。メンタルケアは、どこの企業でも避けられない課題になっていると感じた。
 「私がサラリーマンをやっていた頃は、ビジョンや夢が描きやすい時代でした。バブルの崩壊や経済危機などを経て、それらを描くこと自体が難しくなりました。今は人々の中に、不安、特に極端に否定的な思いこみが強いように感じます」と言う。それは、自助グループで実践している「認知療法」(物事に対する否定的な考え方に気づき、改善していく方法)で感じたことだという。「これから、教会はこうした課題と戦っていかなければならないと感じています。希望がもてない、何も信じることができないという心の中の問題に向き合う必要に迫られているのでは。それは、時としてクリスチャンの方も抱える問題ですから」
 佐藤さんが認知療法を始めたそもそものきっかけが、教会での問題だった。「否定的な思いこみの強い方がおられて、結果、教会の中で悲しい出来事が起きてしまったんです」。似た問題を抱えた教会は少なくないと言う。「教会そのものがうつ気味な時代。この働きが、『教会も健康にならなければ』という広い啓発活動になればと願っています」
 自身も、過去に同僚の死をきっかけに心を病んだ。心理学を学んだりともがくうち教会に通うようになり、信仰をもった経験がある。弱さを知る佐藤さんだからこそ、課題を抱えた心に寄り添えるのかもしれない。
 「はあとランド」=〒981-3600宮城県黒川郡大和町もみじヶ丘2ノ38ノ9、Tel&Fax022・348・8262。
 

◎TV伝道番組「ハーベスト・タイム」3月で放送終了−−地デジ化で見切り、余力を再臨運動展開へ=100

 ハーベスト・タイム・ミニストリーズ(中川健一代表)は、1986年から24年間にわたって続けてきたテレビ伝道番組「ハーベスト・タイム」の放映を3月末をもって終了すると、2月発行のニュースレターで日米の支援者らに公表した。
 来年7月で現在のアナログ放送が終了し、デジタル放送に移行することに伴い、放送を継続するには新規に機材を導入するため最低4、5千万円の費用がかかる。また、テレビの多チャンネル化やインターネット、携帯電話の普及などにより、情報を得る方法が分散化され、テレビメディアはかつてのような勢いを失いつつあり、費用対効果の観点からテレビ以外の方法を用いて伝道する可能性を模索せざるを得ない、と中川氏は説明している。
 だが同時に、「これまでのメデイア伝道から、これからはもっとパーソナルなかたちの伝道に転換するが、ゴールは変わらない」ともいい、今後はリバイバル運動と再臨運動に主眼を置いた働きを展開していく。
 中川氏は、「テレビ伝道ができなくなって残念という気持ちはない。やることはやったので、63歳という自分の年齢を考えると余力のあるうちに次のことをやりたい」と話す。数年前から「自分にまだ余力が残っているうちに、日本のリバイバルのためにより直接的な働きを始めたい」という願いがあったという。
 それを実行に移すかたちで、07年9月から東京・恵比寿で「ハーベスト・フォーラム東京」を開始、毎週日曜と月曜に講解メッセージを続けてきた。また08年4月には「ハーベスト聖書塾」を設立し、信徒訓練プログラムを推進している。「日本のクリスチャンがあまりに聖書を知らないことを感じる。ユダヤ的視点からの聖書理解が必要。日本型のリバイバルは、聖書研究から始まると思っています」。ハーベスト・フォーラム東京ではその信念に立って講解メッセージをしているだけというが、200人ほどが集まり、「手応えを感じている」。聖書塾では万人祭司に基づく信徒訓練をし、各自のミニストリー展開を励ましているという。
 今後展開していくリバイバル・再臨運動では、・日本のリバイバル、・ユダヤ人の救い、・主の再臨を、相互に関連した聖書の中心テーマとして捉え、その実現のために祈り、活動していく。最初の試みとして4月に東京・沖縄・大阪で、第1回「ハーベスト再臨待望聖会」を開く。講師はメシアニックジューのノアム、ジョアン・ヘンドレン夫妻。申し込み不要で参加無料、席上献金あり。詳しくはhttp://www.harvesttime.tv/

◎東京小金井市内11教会が一致祈祷会−−クリスマスには共通の教会案内=1002210301

 「市内の宣教のためすべての教会が一致、協力しよう」と昨年1月、東京・小金井市内にある教会の連絡会「小金井市キリスト教ネットワーク(略称・KC─NET)」が発足。1年後の1月31日、同市桜町のカトリック小金井教会で、第1回小金井市一致祈祷会が開かれた。市内11教会から一堂に会した牧師、信徒らは、「小金井市民の魂がみな救われるように」と心を合わせて祈った。
 KC─NETに属する教会は日基教団・小金井教会(丸山和則牧師)、小金井緑町教会(山畑謙牧師)、小金井西ノ台教会(武田英夫牧師)、東京FM・小金井教会(宮川浩二牧師)、ホーリネス・信愛小金井教会(金玲淑牧師)、単立・貫井南町キリスト教会(橋本洽祚牧師)、アライアンス・東京キリスト教会(藤井哲夫牧師)、CPC・東小金井教会(香月茂牧師)、小金井聖公会(吉野秀幸司祭)、カトリック小金井教会(山本量太郎司祭)、セブンスデー・小金井キリスト教会(池増益男牧師)。
 きっかけは07年、林原泰樹前任牧師(日基教団・小金井教会)と宮川牧師、香月牧師が武蔵野朝祷会の協力を得て、小金井市超教派祈祷会を始めたことから。年に3、4回開かれ、市内の教会間の交流が深められていった。そうしたなか「もっと発展的にやろう」ということになり、市内の11教会にも呼びかけたところその趣旨に賛同。KC─NET発足に至った。
 昨年12月には、各教会がお金を出し合い、11教会のクリスマス礼拝・集会案内が載ったチラシを製作し、新聞折り込みで市内全域に3万枚配布。チラシを見て各教会に新しい人が訪れたり、「小金井市にこんなに教会があるなんて初めて知った」という声が聞かれるなど、反響も大きかった。
 同祈祷会では、山本司祭がマタイ13章の「種蒔きのたとえ話」から説教した。「ここを読むと、道ばた、岩地、いばらの中と、種はどこにでも蒔かれているのが分かる。しかし、収穫は多いが働き人が少ない。聖書は働き人を送ってもらえるように願いなさいと語るが、願う前に私たちにやれることがある。それはキリストを主と信ずる11教会が、互いの良いところを認め、学び、協力し合い、仲間として前進していくことではないか」
 昨年12月、JR高架化で小金井市内から踏み切りがすべてなくなったことを例に挙げ、こうも語った。「教会間にあった踏切も今まで閉まっていた。私は年に1回ぐらいは全部開けて、互いに交流できたら、と思っていた。だが今日、その開かずの踏切が開いた」
 「教会間の踏切が全部なくなるのは夢でしょうか? 今日、私たちが祈るため集められたのは、小さな一歩。でも、その一歩がなければ始まらない。これからも一歩一歩、踏み続けていきましょう」と結んだ。
 説教のあとは、7人の牧師、司祭が代表祈祷。「教会が一つに集まることにより互いに結び合わされ、その姿を市内の人々が見てあなたを覚えることができるように」、「教派の違いを受け入れ合い、宣教の働きに必要なすべてをあなたが整えてくださるように」など、熱心に祈りがささげられた。
 参加者からは「今までに味わったことのない感動的な会だった」という感想が多く聞かれた。
 KC─NETでは今後も「司祭・牧師の会」「小金井市超教派祈祷会」「一致祈祷会」を継続し、12月にはクリスマス礼拝・集会案内が載ったチラシを新聞折り込みで市内全域に配布する。