ヘッドライン
[CSD]2010年2月28日号《ヘッドライン》
[CSD]2010年2月28日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
★教育基本法に大幅修正可能か——「教会と国家学会」で新政権の方向語り合う
◎南アフリカを癒した「許しと和解」——N・マンデラ氏の信念描く映画「インビクタス」
= 2 面 ニュース =
★2・11集会:キリスト教は靖国を超えられるか?——改革派西部で高橋哲哉氏
★2・11集会:バルメン宣言に学ぶ国家の権威の相対化——JECA関東三地区で朝岡 勝氏
★2・11集会:まきこまれる側に責任として憲法を使う——東京集会で前国立市長・上原公子氏
★国立市で住基ネット切断問う住民監査請求——苦境に立つ後継の関口博市長
★バプ教会連合:教会ネットワーク築く——地域ごとの主体性重視
★<落ち穂>自死遺族の悲嘆に目を向ける
= 3 面 教界ニュース =
★「民主主義には信仰と隣人愛が必要」——米国家朝餐祈祷会でオバマ大統領語る
★準強姦罪で卞在昌宣教師を起訴
★<投稿>「建国記念の日」について——排除の態度は宣教の障害に
★<オピニオン>次に伝える御言葉 記・有北 いく子
= 4 面 ビジネスパーソン=
★篠田 裕司さん[下](OMMメディカルセンター内科部長)——死に望んでも希望を持てる
★<働く人の境界線>[3]いったん共感を示してから元の問題に 記・中村佐知
= 5 面 牧会/神学/社会=
★「小牧者訓練会」性暴力の背景——説教で何度も強調 卞在昌容疑者
★<精神障害と教会>[69]教会ができること 記・向谷地 生良
= 6・7 面 教育特集=
◎世界を変える鍵を持つのは「教会」——P.A.C.E Planを提唱するリック・ウォレン氏
★サドルバック・チャーチ「ラディカリズ」カンファレンス——人々をPACEへ導くプロセス
★子どもたちにビジョン与え世界へ送り出す教師に——日本CEFのTCEコース
= 8 面 結婚特集=
★「祈って待つ」から「動き出そう」——伊達蝶江子さん(クリスチャン結婚支援センター)
★「愛」を問い直す時代に——長島世津子さん(白百合女子大学教授)
= 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「ファイアー・ストーム」夫婦の絆は必ず回復できる(ソニー・ピクチャーズエンターテイメント、3,990円税込)
★BOOK:『天命に委ねて人事を尽くす』小西 孝蔵著(イーグレープ、945円税込)
★REVIEW:『聖書を読んだサムライたち』守部喜雅著(いのちのことば社、1,260円税込)評・山北 宣久
= 10 面 関西だより =
★101歳まで現役伝道した大嶋常治氏 天国へ凱旋
★学び励まし合うセルの温かさ——JCMNサミット2010
★イベント情報
= 11 面 クリスチャンライフ =
★<戦争の世紀から平和の世紀へ>[3]田村久弥さん(後編)行軍で踏んだアジア 命救う医療で人に仕え
◎教会賛美チーム「グレースマン」——城星学園中高の合唱コンクールで熱唱
= 12 面 ひと=
★「神はハイチの人々と泣いている」——根本律子さん(元ハイチ医療宣教師)
◎南アフリカを癒した「許しと和解」−−N・マンデラ氏の信念描く映画「インビクタス」=10022801
南アフリカ共和国のアパルトヘイト(人種隔離政策)は悪名高い人種差別。経済制裁やボイコットを受け、孤立した中で白人のデクラーク大統領は90年2月、政治犯の釈放に踏み切る。アフリカ民族会議(ANC)の反アパルトヘイト闘士として国家反逆罪で終身刑を受け38年間収監されていたネルソン・マンデラは、この時に釈放される。公開中の映画「インビクタス 負けざる者たち」(クリント・イーストウッド監督)は、釈放を歓喜で迎える黒人たちと、屈辱の始まりと不安に駆られる白人たちを対比させる。アパルトヘイト廃止への流れはもはや明らかだが、当時は移行期で、追放や報復を恐れる白人たちは国外へ流出。黒人同士でも白人寄り勢力とANC支持者との間で流血の暴力が頻発し、アパルトヘイトを支持した教会が襲われるなど、危機的な混乱に陥っていた。
しかし映画は、そうした社会情勢の描写に深入りせず、91年のアパルトヘイト全廃を経て、94年に南ア史上初の全人種参加選挙でANCが勝利し議長のマンデラが黒人初の大統領に就任する場面へと展開する。前政権時代の白人職員らが、解雇を覚悟し荷造りする騒然とした官邸に入ったマンデラは、「赦しと和解」を政策の最優先に掲げ、祖国再生に協力を求める。かつて黒人を抑圧した公安の白人警察官を自らの警護に採用さえする。
そして白人主体のスポーツとして黒人から毛嫌いされていたフットボールチームを、人種融和を進める手がかりとして励まし、95年ケープタウンで開催されたワールドカップで優勝に導くまでの実話を描く。
スポーツを通し「一つの祖国」を演出したマンデラ。だがスクリーンの枠の外で注目すべきは、大統領就任後まっ先に着手し、聖公会のデズモンド・ツツ大主教を委員長に立てた「真実和解委員会」だ。これは、アパルトヘイト時代に犯した差別の過ちは、自主的に告白し悔い改めれば刑事訴追しないというもの。聖書の「和解の福音」を具現化したこのユニークな政策により、南ア社会も教会も民族対立から癒されていく。そうした実績が評価され、やがてマンデラはノーベル平和賞を受賞した。映画では直接、政治的話題に触れないが、彼のクリスチャンとしての信念がかいま見える。
◎世界を変える鍵を持つのは「教会」−−P.A.C.E Planを提唱するリック・ウォレン氏=1002
「現在、私たちが暮らす世界には5つの巨大な問題が数十億人に影響を与えている」と語るリック氏。その5つとは「精神的な空虚さ(心の貧困)」、「利己的なリーダーシップ」、「極度の貧困」、「流行病」、「はびこる無教養」。これら「グローバル・ジャイアンツ」に対する解決策を持っているのは「唯一、教会だけ」と言う。神様から注がれる「愛」を動機に、世界各地の教会が連携し、グローバル・ジャイアンツに対処していくこと。それが「ピース」だ。「ピース」とは、「教会を建てる・和解の働き=Promote reconciliation」、「リーダーの育成=Equip leaders」、「貧しい人たちを助ける=Assist the poor」、「病の人たちをケアする=Care for the sick」、「次世代の教育=Educate the next generation」の頭文字からとったもの。
「イエスは、貧しさの中にある人たちに福音を語り、心破れた人たちを癒し、とらわれの中にある人たちに自由を宣言し、虐げられた人たちを解放した。私たちは、イエスの弟子となり、イエスがされたように行動していく必要がある。と同時に、イエスがされたように行動する『キリストの弟子』を建て上げることが求められている」
ウォレン氏は弟子づくりに必須のものとして「・イエス・キリストと時を過ごし、・至高なるイエスを愛し、・イエスの教会を愛し、・イエスに完全に従い、・利己心を捨てて人々に仕え、・人々に福音を届けること」を挙げる。
「私たちの行動が変わるには、思考から変わらねばならない。そのためには時間が必要。時間はかかる。しかし成長させてくださるのは神様。イエスにしっかり根ざしているなら、実は必ずなる」と語った。
ウォレン氏が「ピース」について考え始めたのは数年前、牧師のトレーニング・プログラムの講師を務めるためアフリカを訪れた時のこと。空き時間に訪れた水道もガスも電気も通っていない地域で、「私はあなたをよく知っています」と、1人の男性が話しかけてきた。「どうして彼は私をよく知っているのか?」と聞くと、この男性は、歩いて1時間ほどの所にある郵便局に毎週通い、そこにあるパソコンでサドルバック・チャーチのホームページにアクセスし、ウォーレン氏のメッセージをダウンロードして聴いていると言うのだ。バイブルカレッジも神学校も出ていないが、それをベースに地域で福音宣教に励んでいるという彼との出会いは、ウォレン氏にとって衝撃的な出来事だった。「こんな人たちのために、自分に何が出来るだろうか。こういう牧師たちに仕えていきたいと強く思わされた」と言う。
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サドルバックチャーチでは、2月9日~12日、「ラディカリズ」と題しカンファレンスを開催。記者も参加した。同カンファレンスには、計10のセッションに35か国から千700人余りが参加した。日本からの参加者の姿も見られた。
「ラディカリズ」とは原語のヘブル語では「根っこ」の意味。キリストの「愛に根ざす」(エペソ3・17)、キリストの愛に帰っていくことが、同カンファレンスの趣旨だ。ウォレン氏は愛に根ざした説教、メンバーシップ、弟子づくり、憐れみについて連日語った。
イエスの心を自分の心とし、イエスが心を向けるところに(全世界=マタイ9・36、教会=マタイ16・18)に心を向け、イエスが無関心だったもの(人からの栄誉=ヨハネ5・41、金持ちになること=ルカ12・15)に無関心になり、イエスが怒ったもの(罪=エペソ4・26)に対して怒り、イエスがささげられたように(自分自身=1テモテ2・5、6)ささげる。「イエスがすべての解決。このイエスが、私たちに『羊飼いの心』をもって『実行に移しなさい』と命じておられる」
ウォレン氏は「グローバル・ジャイアンツに対する、あなたの応答は何ですか? あなたにできることは何ですか?」と語った。
参加者からは「神ご自身が建てた教会が、世界を変える鍵を握っていると心から実感できた」、「なぜ教会が必要なのか、なぜメンバーシップをもつことがそれほど重要なのか、国や文化を超えた真理を感じた」など、感想が聞かれた。
◎教会賛美チーム「グレースマン」−−城星学園中高の合唱コンクールで熱唱=1002281102
「きみは愛されるため生まれた」。講堂に賛美が響いた。女子中高生が静かに耳を傾ける。1月30日、城星学園中学校・高等学校(堀口桂子校長、大阪市中央区)で開かれた合唱コンクールの一幕。同コンクールは、音楽を愛した同校の創立者ドン・ボスコの思いを受け継いで開かれており、今年で20回目。当日、京都グレースバイブルチャーチ(関誠牧師)のゴスペルユニット「グレースマン」がゲストに招かれた。実現のきっかけは、関牧師の妻、美淑さんと同校の音楽教諭、大川浩子さんとの交流から。2人は大学時代、同じ門下で声楽を学んだ仲。大川さんは卒業後、同教会で洗礼を受けた。関一家とは家族ぐるみの付き合いがある。そんな中、関牧師の次男・義哉さんが人気ユニット「新選組リアン」のメンバーとして昨秋、芸能界デビューを果たした(09年8月30日号既報)。「このことをきっかけに、神様が私たち家族によき振り返りの時を与えて下さったと話していました。また、礼拝で『グレースマン』の賛美を聞き感動したようです」と関牧師は振り返る。
「グレースマン」は、関牧師の長男・栄理哉さん、小河真弓さん、上田敦子さん、増田拳さんのユニット。出演を終え、「生徒のみなさんが親身になって聞いてくれているようですごく楽しかったです。学園の皆様には、最初から最後まで本当によくしていただきました」と栄理哉さん。小河さんは「温かい手拍子の中、歌わせていただき本当に楽しかったし、幸せな時でした。皆さんが一生懸命歌っておられたのを見て、みんなで何かをつくり上げることは、やはり素晴らしいことだなと感じました」と語る。
「当校では、カトリックであるかプロテスタントであるかには、それほど重きをおいていません。『よいものはよい』というスタンスでいつもお願いしています。今回、生徒たちもすごく喜んでいました」と堀口校長。関牧師は、「伝統の合唱祭にカトリックの学校が呼んでくださるとのことで驚きましたが、とてもすてきな学校でした。生徒さんの真剣な態度と歌声に感銘し、賛美はカトリック、プロテスタントの枠を超えて一つになれると、主をあがめました」と語った。