[CSD]2010年5月2日号《ヘッドライン》

[CSD]2010年5月2日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎念願の洗礼式で「新しい自分に」——ショートラックの桜井美馬さん、悔しさバネにソチ五輪リベンジへ
★チア・にっぽん国会ツアーに親子108人が参加——議員の説明に「わぁ、広い! 本物だ! 」

 = 2 面 ニュース =
★卞在昌牧師 わいせつ行為を全面否定——準強姦事件初公判でアリバイを主張
★都教育委員会「日の丸・君が代」処分——今春4人に激減
★ウェスレアン・ホーリネス第10回年会——今後10年の宣教方針を決議
★日本福音自由協議会が60周年——新会長に拝高真紀夫氏
★中国青海省地震JIFH緊急募金
★石田勝子医療宣教師に大山健康財団賞
★<落ち穂>神様に愛されている存在

 = 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[4]沢辺琢磨の章:4——憂国の攘夷論者から迫害される改宗者へ
◎韓国・巨済島に日本宣教のセンター完成——宣教師の休息とビジョン研鑽の拠点に
★<オピニオン>祈る子どもをつくること 記・榎本 恵

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★吉田 俊子さん[中](腎臓内科医師)——自分にないものがここにある
★<モノトーンからの脱出>[8]「つぶやき」合える教会を 記・小川 巧記

 = 5 面 牧会/神学/社会=
◎猛威振るう韓国発異端 その実態と対策[1]正体隠して浸食 大教会で被害深刻——キリスト教の25%に急成長
★マレーシア:「宗教間委員会」が発足——対話の仕組み整備化へ
★国際:米ソ核軍縮条約の調印をキリスト教界歓迎
★<精神障害と教会>[73]苦労の残像(3)過去に埋没するか 今を生きるか  記・向谷地 生良

 = 6・7 面 全面広告=
☆第15回アンテオケ宣教会 世界宣教セミナー 6月22日(火)~25日(金)
日本だから取り組める世界宣教  会場:関西聖書学院(Tel.0743-70-8600)

 = 8 面 憲法特集/政権交代と憲法のゆくえ=
★危険な国会の憲法軽視——国会審議を10年間傍聴し西川重則さんにて見えてきたこと

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★BOOK:『ボランティア 100年やってます』社会鍋100年調査隊著(イーグレープ、1,575円税込)
★CD:「楽器による聖歌・讃美歌選?」(ミクタム、2,700円税込)
★REVIEW:『裁かれる者 沖田痴漢冤罪事件の10年』沖田光男著(かもがわ出版、1,050円税込)評・藤野多恵

 = 10 面 関西だより =
★礼拝の中に本当の癒しが——向日かおりさん出版記念ライブ&トーク
★教会リーダー対象に危機管理研修——JCGIネットワークがフォーラム開催
★信仰の力信じて生きよう——第30回大阪府民イースター
★落語やコンサートなど盛りだくさんに——6月にOCC新館開館6周年記念イベント
★教会への消火器投げ込み再び頻発に——謝罪文や犯行予告など捜査も難航

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★ホープチャペルって何だろう?[2]——弟子作りは親しい関係の中から
★MOVIE:「BOX 袴田事件・命とは」——人を裁くことの重さ(5月29日より公開)

 = 12 面 ひと=
★日本をイメージできる作詞を——佐藤 達彦さん(ゴスペル・ミュージシャン)




◎念願の洗礼式で「新しい自分に」−−ショートラックの桜井美馬さん、悔しさバネにソチ五輪リベンジへ=1

 今年2月にカナダ・バンクーバーで開催された冬季五輪に、ショートトラックスピードスケートの代表選手として出場した桜井美馬さん(1月31日既報)が4月6日、南大阪聖書教会(古林寿真子牧師)で洗礼を受けた。
 幼稚園でキリスト教と出合い、母・順子さんの闘病をきっかけに同教会に通い始めたという桜井さん。レース前の祈りは欠かさないなど明確に信仰をもっていたが、多忙な練習の日々。高校からは「もっと強くなりたい」と上京したため、母教会でなかなか洗礼を受けることができずにいた。
 ようやく巡ってきた受洗の機会。「教会では、みんな高校1年生の時に受洗するんですが、私はできなかったので…。今回は、シーズンオフのちょうど良いタイミングで受けることができました。新しい自分になれたという思いです」と、喜ぶ。

 受洗前から、桜井さんにとって「神様」は大きな心の支えだった。ピリピ3・13、14の聖書の言葉「うしろのものを忘れ、ひたむきに前のものに向かって進み、キリスト・イエスにおいて上に召してくださる神の栄冠を得るために、目標を目ざして一心に走っているのです」を心に秘め、「つらい時も向かう姿勢を忘れず」トレーニングに励む日々。レースに臨むときは、「傲慢にならず、へりくだってレースができるように。私は何もできないので、神様、すべてあなたに委ねます」と必ず祈る。「祈らずにレースに臨むと、必ずといっていいほど成績はついてきません。改めて、神様と共にいることを痛感させられています。目指していたオリンピックにも、たくさんの人の祈り、イエス様の導きにより、初出場させていただきました」。結果は予選敗退に終わったが、「早く世界に追いつきたい。この悔しさをバネに、4年後のソチオリンピックでリベンジしたい」と燃える。
 「ショートトラックという競技を、もっと多くの人に知ってもらいたい」と願う桜井さん。最近、ブログにクリスチャンからのコメントが多く書き込まれるようになった。「聖書個所や、応援のメッセージをよくいただきます。ある方は、『自分も神様に遣わされて、テコンドーで五輪に出場したい。夢をありがとうございます』と言ってくださいました。これからもスケートを通して、神様の栄光を現すことができたらと願っています」

◎韓国・巨済島に日本宣教のセンター完成−−宣教師の休息とビジョン研鑽の拠点に=100502030

 済州島に次ぐ韓国第二の島で、日本とも関係の深い巨済島(面積約400平方キロメートル、人口約18万7千人)に「巨済開かれた門宣教センター」(池明洙センター長)が完成、4月12日に献堂礼拝が行われた。
 同宣教センターは、日本宣教に25年以上にわたってかかわり続けている具元俊宣教師(福岡CCC福音センター代表)の親族らの協力で完成したもので、「韓日教会連合・共生宣教」推進のために利用されることを目的として運営される。設立理念のみことばとして、マルコ28章19節と黙示録3章8節が掲げられた。
 礼拝では、陳相福牧師(巨済・玉浦中央教会)が、「このセンターが日本宣教の重要な役割を担うとともに、この地に生きた先祖たちの信仰の遺産を、後世の子孫にもつなげる使命も果たしてほしい」とメッセージ。具宣教師は、「日本宣教は、今、大きな壁の前で出口を見つけられない状態にある。日本宣教は日本人が主導して行うべきことが大前提。その上で、韓日の教会や青年宣教団体が連合と共生の理念で宣教をすすめなければならない」と挨拶した。
 「共生」ということばには、健康を害して若くして天に召された後輩宣教師たちへの哀悼の思いも込められている。具宣教師自身、9年前に妻の朴淑姫氏をがんで失っているが、「宣教に熱心なあまり、健康や家族のことも省みずに若くして亡くなった宣教師たちの犠牲を無にしてはならない」と、宣教師たちの休息と癒しの場所として同センターが用いられることを願っている。
 最近、『日本宣教1%の壁を破る』(林英彦氏と共著)という本を韓国で出版して話題になっている具宣教師は、日本宣教の新たなチャレンジに取り組もうとしている。日本の宣教に仕えるための、チャーチプランターの育成だ。「教会開拓を目的として専門的訓練を実施し、その働き人たちが連動して日本宣教に風穴を開ける」という目的実現のため、福岡宣教センターに専門訓練の拠点開設を準備中だ。巨済の宣教センターも、その一翼を担うものと期待される。
 同センター長の池牧師は、ソウル大学出身で総神大学と南アフリカで組織神学を修めた神学者だ。日本宣教の働きに協力するために、巨済島に引っ越してきた。「なぜ日本宣教なのか、なぜ行く必要があるのかと友人たちに問われたが、日本を無視して世界宣教はない」と、決断の理由について語ってくれた。
 センターの規模は、150坪の土地に2階建55坪の建物と、隣接して駐車場が150 坪程度。総工費は土地代を除いて約1千200万円。働きの内容としては、日本宣教のための戦略研究と学びの拠点、韓日の青年たちの交流や聖書勉強会なども計画されている。
 センターから一望できる海は、今から417年前、豊臣秀吉による文禄・慶長の役の際、元均率いる朝鮮水軍との間で大きな海戦があった場所として有名だ。


 センターの使用についての問い合わせは、Tel.(82)070・7527・4941まで。【住所】大韓民国慶尚南道巨済市河清面河清里198番地。

◎猛威振るう韓国発異端 その実態と対策[1]正体隠して浸食 大教会で被害深刻−−キリスト教の25%に

 韓国で異端が猛威をふるっている。その勢いはキリスト教会を浸食し、分裂や混乱を引き起こし、クリスチャン人口を流出させるほど。その一部はすでに日本に進出してきている。危機感を持った日本で働く韓国人宣教師たちの団体「在日韓国基督教総協議会」は異端対策委員会を設置し、今年2月には韓国から異端問題の専門家パク・ヒョンテク氏を招いて、実際的な対応について都内で研修会を開くと共に、日本の教会関係者にも呼びかけて「韓国発異端問題」の実態と対策を知らせた。

 講師のパク氏は、韓国で最も幅広い教派・教会が加盟する韓国基督教総連合会(CCK)異端対策委員会専門委員、大韓イエス教長老会合神異端対策委員長で、同教団の教育部長も務める神学者。韓国で異端問題の専門誌として知られる「改革新報」「現代宗教」の編集委員でもある。
 パク氏によると、韓国には自分が再臨主だと主張する教祖が50人おり、キリスト教系異端・カルトの教勢は少なくとも200万、最大で300万と推定される。これは、キリスト教人口の約4分の1に相当する。「多くの教会が異端による傷を受けており、その被害は深刻です」と言う。
 そのパク氏が、最近の最も脅威を与えている団体として挙げたのが、新聞やインターネットメディアを中心に多くの関連団体を持つ「クリスチャントゥデイ」と、ひそかに既成教会に工作員を送り込んで乗っ取りを謀る「新天地イエス教証拠(あかしの)幕屋聖殿」。今回の研修会では特に、新天地の教えの特色について概説。素性を隠して教会に入り込むことで見分けにくいことが脅威になっているが、その見分け方にも触れた。

最も深刻「新天地」の教え

 「新天地の教えは、すべてをたとえで解釈することにある」とパク氏は説明する。例えば創世記で「善悪の木」の記事からサタンの話をし、「善悪の木の実を食べる」という行為を「サタンの教理を受け入れること」と説く。彼らの教えではバプテスマのヨハネは「背信者」であり、パリサイ派は「滅亡者」の象徴、そしてイエスは「救い主」だ。それを現代に適用し、背信者は○○、滅亡者は△△、救い主は新天地の創設者イ・マンヒ(李萬熙)であると言う。
 イ・マンヒはまた、「助け主」「選ばれた者」「使徒ヨハネ格の牧師」「勝利者」「白馬に乗った者」「封印を解く者」「黙示録を解釈する者」とも称され、「再臨のイエス」と信じられている。聖書中の「東方」は韓国のことで、「義人」はイ・マンヒだと解釈される。「イエスは霊で再臨され、その霊がイ・マンヒに臨んでいる」とこじつける。
 聖書に出てくる言葉について、文脈と関係なく恣意的に様々な意味を読み込めば、どんな教えでも作り出すことができる。これは典型的な異端の聖書解釈法である。日本では古株の韓国系異端として知られる統一協会(世界基督教統一神霊協会)の教典「原理講論」がこの手法で書かれているが、新天地にはこの「原理講論」の流れをくむ共通の特色がほかにも見られるという。
 例えば歴史の捉え方。時代ごとに救いの方法を定め、各時代ごとに神は救い主を遣わす、と教える。それは「この時代の救い主はイ・マンヒである」と証明するためだ。
 また生物に雌雄があるように、すべてのものに二性(ペア)がある、という主張も統一原理と共通する。その「すべては二性で成り立っている」という考えを聖書に読み込み、イエスの再臨の実体がイ・マンヒであると言う。「マラキ書で預言された来たるべきエリヤは洗礼者ヨハネだったように、再臨の主の実体はイ・マンヒである」という理屈だ。
 既成の教会を「滅亡するバビロンの教会」と批判するのも、異端の常じょうとう套句。その牧師たちを「背信者」「イヌ」「ブタ」などとののしる。
 聖書に出てくる数字は象徴的なものが多いが、新天地では黙示録7・4に出てくる「十四万四千人」だけは文字どおり解釈する。彼らはこの選ばれて印を押された「十四万四千人」を満たすために必死で働いているという。パク氏によると、新天地の教勢は、03年まで5千人に満たなかった。しかしその後、既成教会に潜入させて教会員を新天地に改宗させる「収穫の働き人」訓練を始めると、各教会から引き抜いた人が毎年約1万人ずつのペースで増え、現在はおよそ10万人いる。
 殉教者と天の霊が合体すると教え、この「十四万四千人」は神人合体して永久不滅になる。現在イ・マンヒは80歳だが永遠に生きると主張しており、信者はそれを信じているという。新天地では「終末の時、選ばれた牧者であるイ・マンヒに来なければ救われない」として、イ・マンヒが建てた「幕屋の聖殿」が天から降りてきた新しいエルサレムであると主張する。
 「神が啓示を与えたのでそのまま書いた」と宣伝しているイ・マンヒの3冊の著書は、聖書と同じ権威を持つ。新天地には中世のサベリウス主義のような様態論の要素もあると、パク氏は言う。
 パク氏によると、韓国では著名なメガチャーチが新天地の被害を多く受けている。サラン教会は弟子訓練で知られるが、それでも470人ほどが新天地に転向した。ミョンソン(明声)教会では千人、チョアン長老教会でも千人、テジョン教会では数百人が離脱した。収穫の働き人が「ほとんどの教会に浸透している」といい、ヨイド純福音教会には千人くらい、オンヌリ教会には数百人が入り込んで活動していることが分かっているという。
 すでに日本にも約200 人の「収穫の働き人」が潜入しており、新天地に転向した牧師もいるという。 (つづく)