[CSD]2010年5月9日号《ヘッドライン》

[CSD]2010年5月9日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎再発見?! キリスト教の世界——聖書などテーマに雑誌「Pen」「考える人」が好評
★子どもたちを救いたい願い込め——ワールドビジョンジャパンが「手の写真」とメッセージ募集(5月5日まで)

 = 2 面 ニュース=
◎「地上は悲惨でも希望は上に」被災地ハイチにはげまされた——緊急医療支援から根本律子さん帰国
★若者にイエスの情熱を——パッション東京 5千人規模の参加を期待
★中国青海省地震:NCCも緊急支援募金
★<落ち穂>「Pen」誌のキリスト教への知的好奇心

 = 3 面 =
★<竜馬をめぐる人々>[5]沢辺琢磨の章:5——若き日の新島襄 海外雄飛の夢に手助け
★アイスランド火山噴火で空港閉鎖——その時、欧州日本人宣教師は… 記・内村伸之(ミラノ)
★<オピニオン>聖書出版ラッシュと協力 記・福田 崇

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★吉田 俊子さん[下](腎臓内科医師)————受け継いだバトン次世代へ
★<働く人の境界線>[6]自由を制限して惨めさから解放を 記・中村佐知

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★MOVIE:「いのちの水」齋藤一男監督作品(http://www.logosfilm.jp/)
★BOOK:『イエスと共に歩む生活 はじめの一歩Q&A 30』井ノ川 勝ほか共著(日本キリスト教団出版局、1,260円税込)
★REVIEW:『日本プロテスタント宣教史』O・ケーリ著(教文館、1,410円税込)評・山口陽一

 = 6・7 面 特集/新会堂建築シリーズ =
★夢を翻訳した建築 自然に溶け込むガラス張り——JECA・本郷台キリスト教会クリスタルチャペル

 = 8・9 面 特集/放送伝道 =
★日本CGNTV:日本のクリスチャン青少年らが夢とビジョンを語る番組「You are special」
★PBA:各地の教会と連携し「全都道府県に支局を」
★日本FEBC:ラジオ放送だからストレートに語れる

 = 10 面 教会学校 =
★CS教師セミナー2010「子どもたちの心をとらえ、導く教会学校」
★<CSもうひと味>先生であることを忘れ、本気でそのものに成りきる

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★ホープチャペルって何だろう?[3]——茶髪だからって排除しない教会スピリット
◎クリスチャンロックを世界に発信——ハードロック系バンド伊万里音色(イマリトーン)

 = 12 面 教会 =
★住居を提供し再就職に光——アッセンブリー・インターナショナル・ファミリーチャーチ



◎再発見?! キリスト教の世界−−聖書などテーマに雑誌「Pen」「考える人」が好評=10050901

 オウム真理教による一連のサリン事件によって宗教そのものへの懐疑が日本社会に蔓延した。それから15年。ITバブルとその崩壊、金融工学のリスクによる世界経済の崩落など社会不安は尽きることがない。昨今、書店に並ぶ本の中にはスピリチュアルな世界や宗教を語るものが目に付くのは、時代背景と関係があるのだろうか。最近、一般の雑誌が相次いでキリスト教や聖書をメインテーマに据え、大きな反響を呼んだ。そこから見えてくる世相とは。

 阪急コミュニケーションズ発行の雑誌「Pen」3月1日号では、「聖書とは? 教会とは? キリスト教とは何か。」をタイトルにキリスト教を特集。聖画や教会建築の写真がふんだんに使われ、ビジュアルに訴えながらキリスト教を解説。プロテスタント・カトリック・東方正教会の違い、キリスト教Q&A、西洋美術に見るキリスト教、イエス・キリストに至る系図を掲載するなど、キリスト教に関して知りたい内容を細かく解説した。 新潮社の季刊雑誌「考える人」では10年春号で「はじめて読む聖書」という特集を組んだ。
 「Pen」の編集に携わった編集部の新山佳子さんは「刷った10万部は完売。販売部、宣伝部も驚いていた。書店からの反応もよかった」と語る。その後も問い合わせが続いたため急きょ、創刊以来初の大幅増補版別冊「Pen」を制作し、4月に発売した。
 キリスト教を特集した理由について新山さんはこう語る。「『Pen』の読者は美術やデザインに興味をもつ人が多いのですが、キリスト教の知識がないと、特に西洋美術は全然理解できないんですね。編集部でも『キリスト教のことを知っておかないと』という意識があり、私たち自身が知りたいことを特集しよう、と。昨年出したレオナルド・ダ・ヴィンチ特集の反響も伏線になりました。この特集は出るべくして出たものです」
 「Pen」の主なターゲットは20~40代男性。だが、「この号に関しては女性も購入している」と着目。「購入者の多くはクリスチャンでない方のようです。一方、信者の方は友人へのプレゼント用にと、まとめ買いされる方が多かった」
 この反響に対し「改めてキリスト教に対する関心の高さを感じた」と新山さん。「いわゆるスピリチュアルブームの延長ではなく、世相を反映した、もっと根源的なものなのでは」と語った。
 一方の、雑誌「考える人」。なぜ今、聖書なのか。同誌編集長の松家仁之さんに話を聞いた。
 今回、「聖書」をテーマに選んだ理由が3つあったという。1つは現在の出版物、書物の原点とも言えるグーテンベルクの活版印刷が最初に作ったものが聖書であること。2つ目は新潮社で扱う小説、文芸といった文学の世界などに聖書は多大な影響を与え、物語の原点という側面があること。3つ目は、これだけ文明が発達し、暮らしが豊かになっているのに、今もなお人々は宗教に影響され、宗教への希求があることをあげる。
 同誌では、新約聖書学者・田川建三氏や思想家・吉本隆明氏、作家・池澤夏樹氏ら著名人へのインタビューを掲載した。とくに、田川氏の半生を通して聖書について、クリスチャンについて、氏の姿勢が見渡せる濃いインタビューだ。アンケートも牧師から僧侶、俳優まで、多彩な顔ぶれがコメントを寄せている。これら知識人への取材を通して、聖書について何が見えてきたのか。「何かひとつに収斂していくことはないと思います。十人十色の角度、見方がありました。大きな幅で言えば宗教への関心があるのでしょう。聖書に書かれている人のあり方、物語は時代や地域を超えて普遍的なものであることが浮かび上がってきました」
 時代の流れは特別に意識していなかったと言うが、同誌発行以来の売り上げを示しているということからも、宗教への潜在的な関心の高さがうかがえる。

◎「地上は悲惨でも希望は上に」被災地ハイチにはげまされた−−緊急医療支援から根本律子さん帰国=100



被災下での応急治療で骨の付き方が悪く、再手術が必要な人もいる(左が根本さん)
 奉仕先はハイチの首都ポルトープランスの西にある町レオガンのクリニック。そこでは診察・治療・看護を現地のスタッフが中心となって行っていた。通常、1週間のローテーションで場所を変え働くところ、「クレオール語を話せる人がいなくなると困る」として、根本さんは同じ場所で働くことに。撤退した軍隊が残した軍隊食を毎日食べて生活しながら、手足などを骨折しギプスをした被災者の経過を診た。レントゲン前にはどこで聞きつけたのか、多くの人たちが並んでいた。
 「骨の付き具合で地震の惨状がよく分かった。せっかくギプスを巻いているのに複雑骨折で骨の付き方が悪く、もう一度手術をしないといけない人、足を引きずって歩いている人も多かった。現地の病院も被災しているので治療どころではなく、とりあえずギプスを巻いたという状況が目に浮かびます」
 骨折した人の中には、頭が痛い、眠れない、お腹が痛い、食欲がない、という症状を訴えたり、全く無表情の人も。「よく聞くと地震で夫や妻、子どもを失っていたりします。病気が何だかわからないので、医療する側はしんどい。心的外傷後ストレス障害(PTSD)ですね。全員診るのは難しく、結局、薬を処方して返す場合がほとんどです。精神的ケアが必要なのですが、緊急支援ではそこまでできません」
 これから雨期で蚊が発生し、マラリア、デング熱が流行しやすいという。



困難な中で日本のため祈ってくれた現地スタッフの表情は明るい
 現在ハイチでは、ガソリン不足、レントゲンの故障、ゲリラ豪雨に見舞われるなどトラブルも多く発生。発電機が燃料不足で動かず、プロパンガスも不足しているため、レトルト食品を温められないこともあるという。だが、「スタッフは非常に明るかった」と語る。
 「クレオール語を話せる日本人が珍しいのか、ハイチ人スタッフは私にいろいろ話しかけてきた。若者言葉を教えてくれたり、覚えた日本語で『今日はどんな感じ?』と聞いてきた。日本語の語感が面白いのか、仕事始めには『今日も1日頑張るぞ、オー!』と一緒に叫んで気合いを入れた。そのひと言で一つになれました」
 そんなハイチのスタッフが、日本には神様を知らない人が多くいると知って、日本の救いのために祈ってくれた。「ある時、『どうして日本人は神様を信じないのか?』と私に尋ねてきました。日本の状況を説明すると、『日本のためお祈りします』と。そのひと言に感動してしまった」
 ハイチ人のほとんどはカトリックかプロテスタントのクリスチャン。彼らは『たとい地上では困難が多くても、私たちには上(天国)がある』と語っていた。「これからどこに向かっていくのかという不安はあっても、皆が上に希望をもっている。ジレンマはあっても上を見ることができる。最も悲惨な状況を体験している人たちが、日本のために祈り、『上でまた会おうね』と言ってくれる。私のほうが励まされた」

各国の緊急支援
撤退後に課題が
 今後の課題は、「各国の救援活動が終了し撤退した後」と根本さん。「緊急支援を終え、各国の軍隊、NGOが撤退している。だが、現地の病院はいまだに機能していない。これまで診療は無料だったが、撤退後は医療費を払わなければならない。ハイチだけが取り残されてしまうという状況が怖い」
 根本さんが挙げる祈りの課題は、・長期にわたる復興支援に対し、支援側が賢い選択をすることができるように、・これから雨期に入るので、マラリア、デング熱から人々が守られるように、・現地のクリスチャンたちが希望を持ち続け、災害から立ち上がる時によい働きができるように。

◎クリスチャンロックを世界に発信−−ハードロック系バンド伊万里音色(イマリトーン)=10050911




 本格的なハードロックをめざして活動しているクリスチャンバンド伊万里音色(IMARi ToNES=イマリトーンズ)。今年2月に行ったアメリカ東海岸ライブツアーの音源からIMARi ToNES in Glory ZoneとDosamawari Live 2010のアルバム2枚にまとめ、そのライブ音源をBandboxとMonstar.fmの2つのダウンロードサイトから日本と世界に無料でリリースしている。その意図を聞くと、米国での教会ライブの恵みを分かつことと宣教ビジョンへの情熱が伝わってきた。
 伊万里音色(写真後列の3人)はリーダーでボーカルとギターのトーンさん(左端)、ベースのハッシーさん、ドラムのジェイクさんの3人編成。作詞作曲を担当しているトーンさんが、昨年4月に米国で洗礼を受けてからは、ライブハウスでの演奏でもクリスチャンバンドを名乗り、ほかのメンバーたちもそのことに理解を持っている。

 昨年、クリスチャン系レーベルEmpty Vessel Musicと契約している伊万里音色は、今回2度目の渡米が2度目のライブツアー。強いてジャンル分けするとハードロック系で楽曲は英語で作詞している。それは「ロックを極めたいのと、日本から世界へ発信したい思いから」とトーンさんは言う。「日本から来たクリスチャンロックバンドだというと、ライブハウスでも、教会ライブでも受けます。ホントに? という感じも含めてね」。その雰囲気も無料リリースしたIMARi ToNES in Glory Zoneからもうかがえる。Glory Zoneとは、ニューヨークのロングアイランドにあるグローリーゾーン・ミニストリーズ教会の名称。ここでのライブではリッチー牧師の娘さんたちのプロのユニットPETRELがオープニングアクトを務めて応援してくれた。



 グローリーゾーン教会でのライブの最後に、「このバンドのために祈ろうと言ってくれた時に、『いや、僕たちのためじゃなく日本のクリスチャンとまだ福音を知らない多くの人たちに福音が広まるために祈ってほしい』とリクエストした。とっさのことで、自分でもそういう言葉が出てきて、心の中に祖国を愛する気持ちがあったんだと、自分でびっくりしたし、それこそが僕たちのゴールなんだ」とトーンさん。その様子はPray For Japanに収録されている。
 近く新アルバムGod Rocks(全14曲)をリリースする予定。今回の渡米ツアーでも演奏されているので、この無料リリースからもクリスチャン・バンドとしてのハードロックがストレートに伝わってくる。