ヘッドライン
[CSD]2010年5月23日号《ヘッドライン》
[CSD]2010年5月23日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎家族引き裂く戦争を知る——国と家族の歴史から駐日オランダ大使語る
★ラブ・ソナタ 今年も旭川、新潟で開催
★限界集落に福音届け!——日本一の高齢者村にトラクト配布
= 2 面 ニュース =
◎神田英輔氏が主唱 「声なき者の友の輪」始動——聖書的世界観へパラダイム転換
★日本国際飢餓対策機構 一般財団法人に——OCC内に新東京事務所開設
★MB教団60周年——一致約束して「夢のある教団にしていこう」
★米国:オバマ大統領、ビリー・グラハム氏自宅を訪問
★<逝去>田村大三氏(指笛演奏家、97歳)
★<落ち穂>坂本龍馬の遺跡継いだ高松太郎
= 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[6]沢辺琢磨の章:6——日本初の正教会司祭となり 郷里土佐へ
★全国青年宣教大会J+Passion 10年——「イエスを誇れ!」神の器として輝き促す
★<オピニオン>「もんじゅ」運転再開は必要か 記・内藤 新吾
= 4・5 面 ペンテコステ記念特集=
★限界集落への挑戦——群馬県南牧村トラクト配布同行ルポ
★25年前の日航機事故で衝撃——「重たいものを背負った上野村に福音伝えよう」
(*今号は<精神障害と教会>を休載します)
= 6 面 特集/日本フォースクエア福音教団創立60周年=
★「日本を福音で覆う」——多様な文化生かした国際的宣教
★教団略史
★教会生み出し「線」から「面」へ——比嘉幹房氏・佐藤成紀氏対談
= 8 面 ビジネスパーソン=
★フライドチキン店全米2位「チックフィレ」成長の秘訣——経営基盤は聖書、日曜休業でも成長
= 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★MOVIE:「鉄男 THE BULLET MAN」(5月22日よりシネマライズほかで公開)
★BOOK:『愛について100の言葉』ガブリエル・ハルトル著(女子パウロ会、1,260円税込)
★REVIEW:『ホーリネス信仰の形成』(日本ホーリネス教団、7,035円税込)評・本間義信
= 10 面 関西だより =
★愛あふれる絵で神への橋渡し——インドの風景描く吉田恵理子さん
★関西フランクリン・グラハムフェスタ「パスターズ・カンファレンス
★教会員の心集めたモニュメント——高槻バプテスト教会のシンボルに
★「ダンケ」の気持ち込めた新工場——中島大祥堂大阪本社工場竣工
★日本聖書協会「聖書と音楽の出会い」——6月は岡山で開催
= 11 面 クリスチャンライフ =
★MOVIE:「ビルマVJ 消された革命」——民主化の胎動伝えるビデオジャナーリストたち
★「VJになるのは社会への責任」——ヤン・クログスガード監督と鳥越俊太郎氏公開対談
★上野の森に絵本が集合——「親子フェスタ」盛況
★ヨルダン:増えるベタニア村への訪問者
★ブラジル:リオのキリスト像に落書き
= 12 面 ひと=
◎チャ・インピョさん(俳優、韓国コンパッション代表)——コルカタでイエスと出会った
◎家族引き裂く戦争を知る−−国と家族の歴史から駐日オランダ大使語る=1005230101
第二次世界大戦終結から65年。戦争の記憶は薄れる一方だが、歴史観やアジアへの侵略などの問題はいまだに国家間のしこりを残している。4月29日、「戦争が終わる時、その歴史が始まる|過去をいかに記録し、想起するか|」(日本キリスト教会日本軍「慰安婦」問題と取り組む会主催)と題して東京・新宿区の日キ教会・柏木教会で講演会があった。講師は駐日オランダ大使のフィリップ・ドゥ・ヘーア氏。
ヘーア氏は中国の歴史研究家で、中国留学経験もあるが、初めて日本へ来たのは08年に駐日大使となったとき。曾祖父は日本で暮らし、祖父は日本で誕生。幼少期を日本で過ごし、オランダに帰国した。そんな背景もあり、日本へはかねてから関心を寄せていたという。
ヘーア氏は戦争の狭間で家族の絆を壊された体験を持つ。祖父はオランダ諜報部に勤めていたが、当時の日本の動向を知るために家族で来日。やがて世界大戦が開戦。祖父とその末息子(ヘーア氏のおじ)が日本陸軍の捕虜になった。末息子は炭坑で強制労働させられ、日独仏英語を自在に話せて露語なども勉強していた祖父は、憲兵隊の通訳者とならざるを得なかった。これらのことで祖母は最後まで祖父を許せなかったという。
だが、へーア氏は祖父から日本語を教わり、さまざまな物語を聞いて育ち、尊敬する祖父でもあった。そんな祖父の戦時中の体験を詳しく知ったのは、オランダ大使館にある『1946~49年に至るオランダ領東インド諸島の日本軍有罪について』(判事による記録文書)を通してだった。「憲兵隊や陸軍の拷問も目の前で見ていながら何も行動を起こせなかった祖父の事実は衝撃的だった」という。「何より祖父に関する記述はショックだった。また、そこで従軍慰安婦についても知った。国家、軍機構が仕組んだ暴行だと思った。慰安婦という言葉はその事実を隠している。強制的に売春をさせられたも同然」と語った。
また、歴史認識について2つの重要な点があるという。1つは「過去に起きたことについて見解を持つ」ことだ。「過去に目を向けず、沈黙を貫くことは裏切り行為であり、彼らの運命を思い起こすことが大切」。2つ目は「十字架を背負い、平和を求めていくことがクリスチャン個人の務め」と語り、集団では「父、祖父世代の罪が東京裁判や講和条約などで国家レベルで解決されたとしても、教育などで過去と真剣に向き合うことは道徳責任」だと語った。道徳責任とは、「過去について日本の政府首脳が不適切な発言をしたときにそれを問うことであり、『平和と輪の中で生きる』ことを求めること」だという。
ヨーロッパでは歴史の反省からEUができた背景がある。融和するのに長い時間がかかったが、互いに和解への気持ちがあり、歩み寄った。「一国の視点だけでなく多角的に歴史を学び、幅広く赦しの心を持ち合うことが必要」だと話し、「歴史の記憶は誰かが忘れてもほかの人は覚えている。歴史はそこにある」。
質疑応答では、オランダの歴史認識について「ユダヤ人のホロコーストでドイツに協力した側面がある。そのことをオランダ人は今でも恥じている。平和基金などに積極的に寄付するのもその思いがあるから。また、インドネシアの植民地を正当化する考えもあるが、負の歴史を『認める』だけでも楽になれる」と述べた。
◎神田英輔氏が主唱 「声なき者の友の輪」始動−−聖書的世界観へパラダイム転換=1005230201
日本人の85パーセントが自分の生きている意味が分からないと答え、自殺者が12年連続で3万人を超える…まるで「砂漠」のような現実が「森」に変革されるようにと願い一人ひとりができることをしようという運動「声なき者の友の輪(Friends with the Voiceless International=FVI)」が、このほど始動した。主唱者は、日本国際飢餓対策機構(JIFH)で創立以来26年間、総主事や特命大使などを務め、同機構の組織改編に伴い今年3月で退職した神田英輔氏。これまでJIFHを通して国内のカトリック、聖公会、正教会も含む4千500の教会と関わり、海外での「主の著しい働き」に接してきて、「無力感と閉塞感の漂う日本の教会に、今こそ主が働かれる時」と確信、教派主義から「神の国」の視点に転換する必要を痛感したという。この運動が目指すのは「共に喜ぶ世界」。急激に変動している世界で今求められているのは、聖書的世界観に基づいたパラダイム・シフトだという。「これまで教会では、罪からの救いは強調されてきたが、神の国を目指すために召されたという視点が必要です。大きな森も一粒の種から始まる。私たち一人ひとりがどのような種をまくかによって、私たちの未来は決定されるのです。砂漠のような現代社会で必要を抱えて苦しみ、自分では声を出せないような弱い立場に置かれている人々の友になって、私たちが『からし種』のように小さくても愛の種をまく者になれたら、将来必ず大きく成長して実を結ぶことになります」
そのために、各自がそれぞれ置かれたところで小さな愛の種をまく「からし種エイジェント」となり、そのような人が全市町村に増え広がることによって、砂漠が森に変革されることを目指す。具体的な活動としては、この考え方と生き方を身につけるための「社会変革セミナー」を、教会やグループの招きに応じて開催する。イエス・キリストの宣教の中心であった「神の国」とその働きの原則について学び、神が「教会」に期待しておられる礼拝の姿や、教会の責任を考える。5つのセッションの最終段階では、現在の状態から神の国の到来(地域の変革)へ向かうために、私たちは何をすればよいのかという問いへの具体的方策を提案する。セミナー・講演会は、原則として交通費・宿泊費など実費。謝礼は参加者の自由献金。
「声なき者の友の輪」では、この運動に参加する「からし種エイジェント」などを募集している。
URL http://sites.google.com/site/fwfinternational/ 神田英輔氏の連絡先 090・3036・2776。Mail: acekanda@aol.com
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22年間勤めたJIFHで海外駐在経験が長く、やはり今年3月に退職した柳沢美登里氏は、海外との関わりで「声なき者の友の輪」を展開しようとしている。これまでバングラデシュをはじめ世界の最貧国といわれる地域で活動してきて、「かわいそうな人たちを助ける」のではなく、「神様が送って下さった大切な人たちが苦しんでいるのをなんとか回復したい」という思いに目が開かれた。
「世界観が変われば貧困の問題は根本のところが変わっていくと思う。『すべての国民を弟子としなさい』は教会の中で弟子づくりをするだけではなく国民が聖書の価値観に変えられていくこと。神が願っているようにホーリスティックに成長していく時、必ず貧困の問題も総合的に解決していく。それは先進国といわれてきた日本と途上国といわれてきた国々の垣根を越えて共通のテーマ。私たちはお互いから学び合うことによって、神の国を反映していなかった自分たちの文化や社会習慣のある部分を修正し、神の国を生き、説き明かして下さったイエス・キリストに真に倣う者へと変えられていくのではないでしょうか」
柳沢美登里氏の連絡先 mail: midoriyanagisawa@gmail.com
◎チャ・インピョさん(俳優)−−コルカタでイエスと出会った=1005231201
アフリカの貧しい子どもたちとふれあうチャさん
北朝鮮の現実をリアルに描いた韓国映画「クロッシング」(キム・テギュン監督)が現在、日本で上映され話題を呼んでいる。その映画の中で、故郷に家族を残し、脱北を試みる主人公を迫真の演技で表現したのが韓国人俳優のチャ・インピョさんだ。チャさんは俳優活動の傍ら、世界の貧しい子どもたち、孤児たちを支援し助けるNGO「コンパッション」(www.compassion.com/ 英語)の活動に情熱を傾けている。「私は、飢えて死んでいく子どもたち、隣人のために心と物をささげることが本当のクリスチャンの生き方だと思う。この働きを、ぜひ日本のクリスチャンの皆さんに紹介したい」と、熱く語った。
韓国では、ヨン様にも劣らぬ人気俳優だ。日本でも、映画「クロッシング」、ドラマ韓国版「白い巨塔」など、チャさんが出演する映画、ドラマが紹介され、ファンも増えてきている。
1993年、俳優になった。就職活動中、壁に貼ってあった韓国のテレビ放送局KBS、SBSの俳優募集のポスターを見て応募。両方とも試験に落ちたが、「意地になってMBCにもチャレンジしたら、受かってしまった」。今思うと、これは神様の計画だった、と振り返る。その端正なマスクから、女性の間に人気が上昇。最初は王子様的な役が多かったが、最近はチンピラ役や物乞いグループのボスを演じるなど、演技の幅を広げてきた。
「クロッシング」の出演依頼があった時、「最初は出演を拒否した」と言う。「私自身、脱北者問題に興味がなかった。ヒットする映画は他の俳優に声をかけ、私にはこんな映画の話しか持ってこないのかと、監督に不満もありました。でも監督は、3、4回断っても一緒にやろうとしつこかったのです」
「今晩会って断ろう」と決断したその日の朝、腰を痛め、一週間外出できない状態に。その間、脱北者についてインターネットで調べてみた。そうするうちに、ある晩、目から急に涙があふれてきた。
「イエスを信じていると言いながら、飢えて死んでいく北の子どもたち、自由を奪われ抑圧されている同胞のすぐそばで、40年もぬくぬくと生きていながら何もしていない自分は、最低の罪人だと悔い改めました」。祈り、導きを求めていた時、御言葉を明確に与えられた。「弱い者とみなしごのためにさばき、悩む者と乏しい者の権利を認めよ。弱い者と貧しい者とを助け出し、悪者どもの手から救い出せ」(詩篇82・3、4)。チャさんは、出演の決意をした。
「私は母の胎にいる時から信仰者だった」とチャさんは語る。だが、「信じるには信じていたが、感動のない習慣的な信仰だった」とも。02年から4年間、ミュージカルでイエス様の役を演じたが、「結局、イエス様には会えなかった」。
そんなチャさんに06年、人生を一変させる転機が訪れた。妻のシン・エラさんの代わりに、コンパッションの広報大使として、インドのコルカタに旅行に行った時のこと。牧師がチャさんに、「あなたが出会う一人ひとりは、全世界で最も貧しい子どもの一人です。この子どもたちと会ったら、抱きしめてあげてください。そして、本当にお疲れ様、私はあなたを愛しているよ、あなたは愛されるために生まれたんだよと言ってくださいね」と頼んだ。
バスが田舎の小さな教会に到着。門の前には、小さな子どもたちが立っていた。チャさんは、顔の黒い、7歳ぐらいの男の子に近づいた。あまりに痩せこけ、服装もみすぼらしいその子は、チャさんを見て微笑み、手を伸ばした。手をつないだ瞬間、「イエス様が来てくれた」。「『インピョよ、本当にお疲れ様。私は長い間、あなたを待っていた。私はあなたを愛しているよ。あなたは愛されるために生まれたんだよ…』イエス様は、私が子どもに話そうとしていた言葉を、私に語りかけてくださったのです。イエス様はこの世で一番貧しく、みすぼらしい子どもを通して、私に触れてくださいました」
チャさんは現在、アジア、アフリカ、南米など15か国30人の養子に数十万円の生活支援を続ける。共に暮らす子ども3人のうち2人は養子だ。09年には、俳優仲間に呼びかけて、コンパッション・バンドを結成。コンサートの収益金を貧しい子どもたちのためにささげている。チャさんは目を輝かせながら、こう結ぶ。「ぜひ、この働きに関心をもってほしい。私やコンパッションの仲間たちは、いつでも日本に行って、イエス・キリストの名で挨拶します」