[CSD]2010年6月20日号《ヘッドライン》

[CSD]2010年6月20日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
★「生きていればいいよ」——自殺したい気持ちに寄り添いたい本
★信仰の軌跡をたどる旅——ドイツでのメノナイトブレザレン創立150年

 = 2 面 ニュース =
◎JCE5後の計画を展望——日本福音同盟第25回総会
★日本福音同盟新理事長に原田憲夫氏
◎エジンバラ東京会議[4]すべての人を弟子とする聖書的根拠
★歴史に学び未来の宣教ビジョンへ——MB150年記念大会
★<落ち穂>万博とキリスト教

 = 3 面 教界ニュース =
★<竜馬をめぐる人々>[10]横井小南の章:3 「ヤソにかぶれた…」の理由で暗殺された小南 記・守部喜雅
★JOCS50年 「みんなで生きる」世界へ医療協力
★米国:南部バプテストが受洗者減に新方策——信徒に献金増額訴える
★<オピニオン>「沖縄の叫び」にどう応えるか 記・菅原 正道

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★藤岡 太一郎さん[上]([株]東京クリアセンター顧問)——御心の具現化こそビジネス
★<人生何とかなります>[8]霊が生きると変化が表れてくる

 = 5 面 牧会/神学/社会=
◎猛威をふるう韓国発異端?:異質な救い「クオンパ」と教祖を神格化「万民教会」 記・根田祥一
★韓国の徐哲源博士(前総神大学院院長)来日講演(6月29・30日)
★<精神障害と教会>[75]治りませんように(2) 苦悩の向こう側には… 記・向谷地 生良

 = 6・7 面 文書伝道特集=
★30か国で年500万冊——世界の聖書を印刷
★デザインと技術にこだわりプリンティング・コーディネータ——(株)アガペ
★世界どこでも聖書を手の中に——iPhone関連アプリに「新改訳」「リビングバイブル」登場

 = 8 面 異端・カルト特集=
★BOOK:『統一協会から愛する人を助けるために』マインド・コントロール研究所編(いのちのことば社、2,310円税込)——不可解な行動の裏のメカニズム
★BOOK:『統一教会』櫻井義秀・中西尋子著(北海道大学出版会、4,700円税込)——日本宣教の戦略と韓日祝福
★「霊感商法」刑事摘発で組織的関与が明らかに

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「新歌」風間哲也&マルセまゆみ(ニューソング・ミニストリーズ、2,100円税込)
★BOOK:『信仰とは何ですか』平野耕一著(いのちのことば社、1,200円税込)
★BOOK:『元気の出る聖書のことば』岩本遠億著(いのちのことば社、400円税込)
★REVIEW:『宗教の発見』村田充八著(晃洋書房、3,780円税込)評・櫻井圀郎

 = 10 面 関西だより =
★生ける主体験した聖地旅行——森祐理さんと歌の旅
★関西フランクリン・グラハム大会——ビジネス通して福音広げよう
★「ふつうの暮らし」応援——高齢者総合福祉施設「オリンピア神戸西」竣工式
★キリストの香り運んだ——ユーオーディア音楽院in大阪
★Without You 10周年——7月に小坂 忠ゲストに記念ライブ

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★<戦争の世紀から平和の世紀へ>[4]渡辺信夫牧師(中編) 「時代に流されない教会を」
★神様の愛伝える物語をDVDに——愛隣キリスト教会制作のミュージカル[TreeはTrue」
★Movie:「イエロー・ハンカチーフ」(6月26日より東劇ほか全国順次公開)

 = 12 面 ひと=
★永井みぎわさん(NGOサーバンツスタッフ)——虐げられている人たちと共に




◎JCE5後の計画を展望−−日本福音同盟第25回総会=1006200201

 日本福音同盟(JEA)は5月31日から6月2日、静岡県掛川市のヤマハリゾートで第25回総会を開催、昨年9月札幌市での第5回日本伝道会議(JCE5)を受けて、これからの展望・活動計画が焦点となった。また、今年10月に南アフリカのケープタウンで開催される第3回ローザンヌ世界宣教会議「ケープタウン2010」を前に、ローザンヌ運動のダグ・バーザル総裁が同会議の目指すところを概説し、これらからの世界宣教の行方について講演。JEAは2010年度活動計画で、同会議への協力を確認した。

 JCE5を受けて、同会議宣言文起草プロジェクトリーダーの岡山英雄氏(JEA神学委員長)と企画推進プログラム局長の竿代照夫氏(JEA宣教委員長)が発題。
 岡山氏はこのほど出版した『札幌宣言 21世紀における教会のチャレンジ』の概要を紹介し、「危機の時代における宣教協力」を模索した「札幌宣言」の内容を解説。特に、東京神学大学教授の芳賀力氏、聖学院大学准教授の藤原淳賀氏、虐待児などの保護活動にあたっている弁護士の坪井節子氏、自死防止に取り組む精神科医の平山正実氏らJEA外部から各分野の識者を迎え、同書の後半に収録した2つの座談会の意義を強調した。
 これら座談会では、危機の時代を超えて教会は何を目指すのかをめぐる教会論・宣教論・国家論、そして家庭・子ども・分断された人間関係・メンタルケア・自死の問題などの危機に対し、関係性を回復させる教会の使命を模索した広範な論議によって「札幌宣言」が深められている。岡山氏は、「この本を読書会などで学んで課題が理解され、深められて、次の伝道会議で用いられることを願っている」と述べた。
 竿代氏は、「宣教協力の基礎は教会の公同性にある」と理解。極端な個教会主義から公同主義へ、教派エゴから協教派主義へと脱却するために、草の根とトップレベルの両方で協力が必要との認識を示し、JCE5後のロードマップを提示した。
 昨年11月にプロジェクトリーダー会を締めくくり、今後13のプロジェクトをJEA各専門委員会と関連づけて継続することを確認。今年9月6、7日には「危機を好機に|日本宣教の突破口」をテーマに名古屋で宣教フォーラムを開催。JCE5を総括するとともに東海地域の実例を分析し、JCE5のプロジェクト各テーマの中からも分科会で話し合う。宣教委員会では、JCE5を受け次の伝道会議につなげるために毎年日本の各地で「宣教フォーラム」を開く計画で、竿代氏は地域持ち回りに協力を求めた。
 また、自身が責任を負うイムマヌエル綜合伝道団で最近2つの教会を閉鎖せざるを得なかったことにふれ、「幸い近くに(JEA加盟教派の)信仰を同じくする良き受け皿となる教会があり、信徒たちをスムースに受け入れていただいた。こういうケースが増えていくのではないか」として、「宣教協力は、今起きつつある現実を逆手にとってプラスに変えていくことにも意義がある」と述べた。
 発題を踏まえて分団に分かれ、JCE5を受けてJEAとして、各教団教派や地域教会において今後取り組んでいくべきことは何かを討議した。
 総会は10年度活動計画で、前回総会で次期JCE6を2016年に開催し、以降原則として7年間隔で伝道会議を開催すると決議したことに基づき、「JCE準備室」の設置を承認した。準備室の構成は、担当理事(室長)、総主事、宣教委員会委員長、前会議事務局経験者、前会議プログラム局経験者の5人。継続するプロジェクトのフォローアップ、宣教フォーラムのバックアップをし、JCE6開催候補地を11年6月までに決定。13年にJCE6実行委員会を立ち上げるための準備を行い、会議のテーマや基本方針に関して議論を導く。
ローザンヌ会議に協力
 また、総会2日目夜には、ローザンヌ世界宣教委員会総裁のダグ・バーザル氏が、米国の自宅からスカイプで講演。今年10月に開催する「ケープタウン2010」の意義を説明し、今後の世界宣教の行方を述べた。
 JEAは日本ローザンヌ委員会(金本悟委員長)に宣教委員の末松隆太郎氏を派遣している。今総会で09年度事業報告にJEAが加盟している世界福音同盟(WEA)、アジア福音同盟(AEA)と並んで日本ローザンヌ委員会の報告も掲載。10年度事業計画で第3回ローザンヌ世界宣教会議に協力することを確認した。

◎エジンバラ東京会議[4]すべての人を弟子とする聖書的根拠=1006200203

 すべての人を弟子とするための聖書的根拠とは、「あなたがわたしを遣わされたように、わたしも彼らを世に遣わしました」であり、宣教の対象は「すべての人に」である。
 世界宣教の中心は弟子作り。弟子とは会衆者を作ることではない。弟子は人格的な関係から作られていく。イエスのようになり、生涯イエスに従う生き様である。イエスは、まず出て行くこと、そしてほかの信徒との交わりに招き入れることをした。交わり続け、福音を示し、彼らを養うことが重要であり、それは人を変えていく。表層的にキリスト教化しても中味が弟子化されていなければ、カルトや異端になりうる。
 普遍的に「絶対こうだ」という世界宣教はない。弟子化も一つにはまとめられない。最もふさわしい弟子化は地域教会、社会にある。現代は技術も聖霊も与えられている。弟子化は壮大だが不可能ではない。聖霊の導きの中に可能性があり、私たちは再臨を信じる最後の世代となるだろう。

◎猛威をふるう韓国発異端?:異質な“救い”「クオンパ」と教祖を神格化「万民教会」 記・根田祥一=10

 韓国で勢力を伸ばす異端がキリスト教会に分裂や混乱を引き起こし、信者の流出を招くなど深刻な被害が出ていることを重く見た「在日韓国基督教総協議会」異端対策委員会は、今年2月と5月に相次いで韓国から異端問題の専門家を招き、集中研修を受けた。韓国基督教総連合会(CCK)異端対策委員会専門委員のパク・ヒョンテク氏(大韓イエス教長老会合神異端対策委員長)と、CCK異端対策委員会副委員長の陳用植氏(韓国基督教異端相談所所長)の講演から、影響が大きい異端として両氏が共通して指摘した団体について、その内容を紹介する。

 「クオンパ(救い派)」は3つのグループに分かれているが、中でも「喜びのニュース宣教会」(朴玉洙代表)が最も大きく、活動も活発だ。大韓イエス教浸礼会ともいい、IYF(国際青少年連合)という名の学内サークルでも活動している。グノーシス主義のように「救いは悟りによって得られる」と主張する。
 悔い改めを繰り返すのは救われていない証拠だと言い、悔い改める必要はない、罪人だと告白する者は地獄に堕ちると教える。天国は義人が行くところであり、罪人が行くところではないから、「私は義人だ」と告白するべきだと主張する。
 「救い」「罪」という言葉の意味内容が正統的な教会とは異なっている。正統教理では「罪」とは原罪と自分の罪の両方を指すが、クオンパでは律法は完全に撤廃されたので自分で犯す罪は成り立たない、救われた者は罪を犯すことはできないと考える。たとえ盗みや殺人、姦淫などを犯しても、律法がなくなったのでそれは罪にあたらないという。彼らは救われた後になお犯す罪を認めず、赦しを求めようとしない。悔い改める人は救われていない地獄の子だと断定する。罪を犯しても悔い改めないので霊的にゆがんでくる。救われて義人になれば二度と悔い改める必要がないと言われるので、聖化のプロセスがない。信仰は成長せず放任状態になってしまう。
 彼らは救われた日時を知らなければならないと強調し、既成教会の信者に「あなたは救われましたか」「いつ救われましたか」「きょう死んでも天国に行ける自信はありますか」などとと執拗に質問して惑わす。明確に答えられないと、「あなたは救われていない。私が導きましょう」と言って彼らの教えに引き込もうとする。相手が牧師でも「あなたは救われなければなりません」と毎日のように電話をかけるなどして伝道しようとする。
 「罪の赦し」「生まれ変わりの秘密」と題した出版物を配り、そのようなテーマを掲げてスタジアムなどで大集会を開く。彼らはクオンパのメッセージを聞かなければ救われないと信じ、他の教会のクリスチャンは救われていないと思っているので、すべてのクリスチャンが救われるようにと祈り、誘おうとする。
 律法が廃棄されたからというので、礼拝の形式や教会の諸行事を否定し十分の一献金も絶対してはならないと教える。ところが実際には巨額の献金をするようになり、その重荷に耐えきれなくて脱会した人も多い。
 聖書をアレゴリカル(寓喩的)に解釈する。例えばルカ10章の「良きサマリヤ人のたとえ」で、サマリヤ人が傷ついた旅人の治療費として宿の主人に2デナリを渡す記事では、「一日は千年」という関係ない別の聖句を引用して、「2デナリは2千年を意味し、良きサマリヤ人はイエスだから2千年後に新しいイエスが来られる」などと無理な解釈をする。
 クオンパの信者は、聖書から罪についてどう言っているかなどについて教えれば、正統信仰に戻ってくる例がある。