ヘッドライン
[CSD]2010年10月24日号《ヘッドライン》
[CSD]2010年10月24日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎カレン族来日 教会にフォロー期待——行政の半年研修に「不十分」の声
★初期キリスト教美術に触れる——世界遺産ガッラ・プラチディア廟モザイクの保存と修復
= 2 面 ニュース=
★クリスチャン看護師らの交わり実る——国際ナースクリスチャンフォローシップ(NCF)国際会議 日本で初開催
★獄中のノーベル平和賞に中国政府反発——作家・劉暁波氏釈放求め国際世論高まる
★窃盗の現行犯で牧師逮捕
★英国ロックバンドAUDACIOUS 11月に来日公演
★<落ち穂>弟子訓練の本質は
= 3 面 =
★<竜馬をめぐる人々>[27]勝海舟の章:7——禁教抗議に驚いた欧米使節団 記・守部善雅
★イスラム文化を考慮の聖書も——聖書協会世界連盟総会で提案採択
★<オピニオン>霊的ケアを受け全人ケアをする責任 記・福嶌 知恵子
= 4 面 ビジネスパーソン=
★有薗 浩見さん[中](オリーブ動物病院院長)——最初のお客はハムスター
★<会計基準の黒船来る>[3]政治、ビジネス圧力に負けない基準へ 記・篠松次郎
= 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「この清らかな住まいよ」ベー・チェチョル(全21曲、ヴォイスファクトリイ、3,675円税込)
★BOOK:『麦の唄が聞こえる』及川尚子著(イーグレープ、1,575円税込)
★BOOK:『こころの手帳』河原昭仁著(イーグレープ、840円税込)
★REVIEW:『ルター 異端者から改革者へ』T・カウフマン著(教文館、1,680円税込)評・橋本昭夫
= 6・7 面 特集/いのちありがとうの会 =
★いのちを接点とした福音宣教へ 記・国吉 守
★「6日間の創造」に立つ韓国教会 記・高桑 照雄
★バイブル・アンド・クリエーションの働き
★キリスト教教育の原点を考え、土台を探る——韓東大学総長の金泳吉氏迎え創造論セミナー
★キリスト教教育の原点は創造主——堀越暢治氏の講演から
= 8・9 面 読書特集 =
◎著者インタビュー:「この作品で神さまは主人公のひとりです」——Eエマニュエル・シュミットさん(『100歳の少年と12通の手紙』)
★書籍紹介『100歳の少年と12通の手紙』EE・シュミット著(河出書房新社、1,260円税込)
★書籍紹介『ともだちになったフランシスコとオオカミ』ロベルタ・グラッツァー絵、パトリツィア・コンテ絵(女子パウロ会、1,450円税込)
★書籍紹介『ちいさなもののいのり』エリナー・ファージョン文、エリザベス・o・ジョーンズ絵(新教出版社、1,260円税込)
★書籍紹介『クイズdeキリスト教入門』榛名康範著(日本キリスト教団出版局、2,310円税込)
★書籍紹介『心を生かす祈り』高橋秀典著(いのちのことば社、2,200円税込)
★書籍紹介『歓びのうた、祈りのこころ』小塩トシ子著(日本キリスト教団出版局、1,680円税込)
★書籍紹介『船上のダンスパーティ』桜井ひろみ著(しののめ出版、1,029円税込)
★書籍紹介『キリスト物語』浜田廣介作、初山滋画(冨山房、2,940円税込)
= 10 面 教会学校 =
◎MEBIGで「うちの子 明るくなりました」——神の家族・アガペチャーチ土岐
★<CSもうひと味>ひと味違ったアイデア紹介——AVACO「クリスマス講習会」
= 11 面 クリスチャンライフ =
★大学紛争の傷から40年——関田寛雄牧師の「緑が岡聖書の集い」閉会
★Movie:「100歳の少年と12通の手紙」——神さまと出会ったオスカー(11月6日より公開 http://www.100-12.com/ )
= 12 面 教会 =
★天理教の巨大施設取得に神の恵み——単立・京都シオンの丘キリスト教会
◎カレン族来日 教会にフォロー期待−−行政の半年研修に「不十分」の声=1010240101
「第三国定住」の第1陣として日本への受け入れが決まっていたミャンマー(ビルマ)の少数民族・カレン族の5家族27人中、3家族18人が9月28日に、遅れていた2家族9人が10月13日に成田に到着。全員が揃った。今後半年間、東京都内の定住支援施設で社会習慣や日本語研修、職業訓練などを受け、就職先や定住先を決めるが、半年の研修では不安、不十分という声もあり、NGOなど支援団体の活動に期待が集まる。特に、今回来日したカレン族にはクリスチャンが多く、難民問題に取り組むキリスト教団体や教会による支援が注目される。ミャンマーでは、1948年以来続いている政府軍とカレン族など少数民族間の紛争と、国内での人権侵害により、84年から難民が国境を越えタイに流入し始めた。タイ国内には現在、ミャンマーとの国境近くに9つの難民キャンプがあり、支援NGOの連合体「TBBC」によると、総人口は1月末で13万6千519人に上るという。ミャンマー総選挙を11月に控え、治安の不安定化などからさらに多くの難民が流入すると予測されている。
タイでは難民条約を批准していないため、難民認定を受けることができない。ミャンマーの民主化が進まず、難民たちが帰還する目途が立たない中、05年から欧米などへの第三国定住が始められた。現在、5万人が第三国定住を果たしている。
日本が、アジアで初めてとなる同制度の試験導入を決めたのは08年。背景には、日本での難民認定者数が年に数十人にとどまる現状への、国際社会の批判があった。今後、2010年度からの3年間で約90人の難民を試験的に受け入れるといい、日本の難民政策は新たな段階を迎える。
NGO「難民・移住労働者問題キリスト教連合会」(難キ連)は今回の第三国定住の開始を受け、「日本が、難民を受け入れ始めたことはすごく大きなステップだが、制度で来日した人と、既に日本にいる人の間に格差が起きてしまうことは心配。制度適用者だけでなく、在日ミャンマー人にも目が向けられれば」と願う。
『オペレーションワールド』の統計によると、ミャンマー(ビルマ)では、仏教徒が全人口の82・9%、イスラム教徒や精霊崇拝、ヒンズー教など他宗教徒が数%を占める。キリスト教徒は8・7%で、そのうちの多くがカレン族、カチン族だ。ビルマ宣教の開始は19世紀。北米から派遣された宣教師アドニラム・ジャドソンが1813年から40年にわたり伝道し、聖書のビルマ語翻訳、複数のバプテスト教会建設など、福音宣教に尽力した。その実が、カレン族などの少数民族に多く残されている。
◎著者インタビュー:「この作品で神さまは主人公のひとりです」−−E=エマニュエル・シュミットさん(『
現代フランスを代表する人気劇作家で小説家のエリック=エマニュエル・シュミット氏の作品『100歳の少年と12通の手紙』(原題「オスカーとばら色の女の人」)が、改訳新刊で近く発行される。また、原作と同名のタイトルで自身で脚本・監督した映画も11月6日に公開される。原作の著者で映画を脚本・監督したシュミット氏に、原作発刊直後に160週間も売上げベストテンにランクインし、40か国語に翻訳されている本作の魅力とメッセージについて聞いた。
大きな瞳に優しさと人がらの温かさが、人懐っこい笑顔からこぼれる。
原作は04年に翻訳出版されたが、しばらく版が切れていた。09年にフランスで公開上映された映画の題名に合わせて、阪田由美子さんが改訳改題して新刊発行に。日本での原作と映画の同時公開について感想を聞くと。
「素直に、とてもうれしい。短い命を宣告された子どもが、ユーモアとか、愛とかをマダムローズの友情に助けられながら考え、救われていく。そういう意味では、フランス的な作品というよりも普遍的なテーマが扱われていて、どの国の人がこの作品を読み、映画を観ても理解できるでしょう。日本の方たちが、この作品にどのようなレスポンスをくれるのか、とても楽しみです」
映画と原作は別物といわれることもあるが、伝えたいことと伝え方で趣を変えたところはあるのだろうか。「原作も映画も、私としては同じメッセージを伝えようとして送り出したものです。つまり、自分の人生を愛するために、目には見えない神秘的なものに信頼して歩むことが、いかに必要になってくるかという思いを、託したつもりです」。構成とか演出的な面では、「原作はオスカーの視点で手紙が書き綴られるので、彼の存在感が際立っています。だが、映画ではマダムローズの人生の悩みや家族のことなどを加味し、オスカーと出会うことで彼女は自分の人生の時間を他者のために使い、それによって彼女自身も成長していく。映画では、オスカーとマダムローズを同じウエイトで描きました」
サンタクロースと同じように神様もいないと思っていたオスカーが、マダムローズとの対話で神様(キリスト)を信じていく。とくに、教会の中で苦痛と怖れについての2人の対話は印象的だ。「神の存在は、このストーリーの中で主人公の一人であると捉えています。オスカーが、自分の人生の長さを認識し始めたときに、ものすごく苦しみ、苦痛を感じる。それを和らげてくれたのは、彼が書く手紙であったと思います。毎日を生きる中で楽しかったこと、理解できないこと、不安なことを神様に書き送ることで、ただ単に生きるのではなく、それらの事柄を手紙として書き送ることで自分自身の心の整理につながり、彼は穏やかな気持ちになっていく。そして、ある朝ほんとうに自然なエネルギーを感じながら、自分の人生を全うしていこうという、まっすぐな気持ちになれたのでしょう」。それは、無神論の家庭で育ち、無神論者として哲学を専攻していた自身の生い立ちと神との出会いの経験にも重なるのかもしれない。
今回の来日は、原作の刊行と映画の公開とも関係するが、「近々、フランスで発行される新作『太ることが出来なかった相撲取り』を、次に映画化したいと思っています。できれば、日本でその映画を撮りたい」思いもあるとのこと。どのような作品になるのか、気になるし楽しみでもある。
◎MEBIGで「うちの子 明るくなりました」−−神の家族・アガペチャーチ土岐=1010241001
岐阜県土岐市にある神の家族・アガペチャーチ土岐チャペル(大橋建治牧師、土岐市泉池ノ上町1-11-2)。毎週日曜日になると、ゲームや賛美に熱中する子どもたちの楽しげな声が聞こえてくる。同教会では、04年から取り組みを始めたMEBIGの活動が、子どもたちの元気の源となっている。同教会がMEBIGと出合ったのは、04年5月のこと。「それまで子ども伝道の働きはしていましたが、クリスチャン家庭と地域から少し来ていた程度でした。しかし、やはり子どもには早いうちに福音に触れてほしいと願っていたのです」。04年3月、現在伝道師で、教師の一人でもある中村幾枝さんが献身。教会学校(CS)の担当になり、方向性を模索していたときMEBIGを知った。その後「日本人体験セミナー」に参加し、ぜひ教会に取り入れたいと提案。大橋牧師は、中村伝道師と数人の教師と共にMEBIGの「本家」、北海道の愛隣チャペル(内越言平監督牧師)で行われる「MEBIGセミナー」に参加し、思いはさらに強まることになった。
「MEBIGは単なるCSの働きではなく、教会全体の一つの礼拝として、教会の柱としての取り組みです。時間や働き人、場所などの犠牲も大きい。それだけに、教会みんなの理解と協力が必要でした」と、大橋牧師は振り返る。同教会では、大橋牧師を始め教師、教会員の一致した思いが得られMEBIGを導入。この6年で、多くの「おともだち」(子どもたち)が育ってきた。
現在、教師は9人。うち3人が、MEBIG育ちのメンバーだ。集まるおともだちは25人ほどで、その4分の3が地域からやってくる。それぞれ男女別に、学年ごとにクラスが分けられ、月に1度は全体のイベントがあるものの、普段はクラス別にケーキを食べたり、ゲームをしたりと活動する。「年代でクラスを分けることによって、教師がその学年に集中してプログラムを考えたり、個別にケアするなどができます。進級も、教師とおともだちはいっしょです。MEBIGの目的はおともだちの救い。たくさん教会に集めてではなく、しっかりとイエス様につなげていくことを目指しています。その過程で、教師もともに成長していくんです」
特に大切にしていることが、訪問だ。定期的に自宅を訪ね、保護者とも話をする。「例えば、愛隣チャペルでは毎日MEBIGがありますが、私たちは日曜日の1時間だけ。おともだちを取り巻く環境はめまぐるしく、おともだち自身のことや家庭環境など、分からないことも多い。彼らを本気でケアしようと思うと、どれだけ関わりをもつかは大事です」。中村さんはガソリンスタンドでのアルバイトの傍ら、訪問に足繁く通っている。保護者との信頼関係も築けるといい、「MEBIGに行って、うちの子は明るくなりました」など喜ぶ声も聞けるという。
「今のおともだちは、家や学校で厳しくされ、ストレスを抱えている子が多いと思います。MEBIGを実施する目的の一つは、彼らがのびのびと、自分の『地』を出せるようにすること。ありのままで、安心して過ごせる場であることだと思っています。はしゃいだり、騒いだりが本来の子どもの姿。『こうしなさい』ではなく、まず解放してあげて、さらに受け入れていくことが大切です」と大橋牧師。「始めて6年ですが、まだまだこれから。失敗は当然、続けることが大事だと思っています。たくさん種を蒔いて、残るのはほんの一部かもしれない。それでも、蒔かなければ絶対に実は出ないし、蒔けば実が出ると信じています。この希望があるのは大きいですね」と語った。この秋創立35周年を迎えた同教会。今後の活動が楽しみなところだ。