時代と共にアップデート必要 日本賛美歌学会第24回大会で伊藤氏

日本賛美歌学会主催による「第24回大会」が10月26日、東京・新宿区大久保の日本福音ルーテル東京教会で開かれた。主題は「どうする賛美歌集?~ルターの会衆賛美歌から500年」。基調講演では伊藤節彦氏(日本福音ルーテル栄光教会牧師)が、主題をテーマに講演した。
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伊藤氏は「宗教改革は、一般的には1517年の『95個条の提題』が始まりとされているが、民衆レベルへの浸透は『歌』によって広がった」と語る。「ルターにとってみことばを『歌い』かつ『語る(説教する)』ことは教えを推進し堅固にする二本柱だった。賛美歌は信仰共同体が福音を『歌い・説教する』ことを共有可能にし、一つにまとめる役割を担った」

伊藤氏による基調講演

「一枚刷り(ブロードシート)の賛美歌からパンフレット型の賛美歌集が誕生した」と言う。「『八歌集』はバラバラに発行されていた曲を集めて24年に刊行。46年までにルター派だけで約100種類、16世紀末までに約2千種類の賛美歌集が発行され、流通量は200~400万冊と推定。公同礼拝用よりは家庭用だった」
ルターの音楽的土壌は典礼歌(単旋律聖歌、詩編歌)、準典礼歌(信心歌〔フス派の賛美歌など〕)、宗教的民謡、俗謡、コントラファクタ(替え歌)と宮廷から労働者階級まで幅広いと指摘。「ルターは会衆歌唱を『回復・促進』し、聖俗の区別を脱構築した。ルターのコラールは、民衆と知識人・貴族、文字文化と口承文化、聖歌と民俗・俗謡といった様々な壁を破った。『主婦は家庭にあって家事を行いながら、農夫は畑にいて仕事をしながらでも、賛美歌は自分の言葉で、いつでも歌うべきものである』とルターは語っている」
「また、賛美歌は福音信仰の要解であり、『会衆の説教』だと言う。賛美は神の言葉の一形態で、教えと慰めが結びついている。人間の情緒でなく神の御業、十字架のもとにある慰め、励まし、希望に焦点が当てられている。ルターのコラールは古くて新しい旋律で、急所をわしづかみするような詞。修飾語、洗練された言葉はほとんど使っていない。親しみやすさ、荒々しさ、急所をギュッとつかむのが特徴だ」
「ルターのコラールはブロードシート(開放性)から始まった。だが賛美歌集の作成(限定性)は安心感と閉鎖性に陥らせ、、、、、、

2024年11月17日号 02面掲載記事)