ヘッドライン
[CSD]2011年2月20日号《ヘッドライン》
[CSD]2011年2月20日号《ヘッドライン》= 1面 ニュース=
◎熊本バンド結盟135周年 花岡山で早天祈祷会——命がけの誓約に 思い新た
★救世軍第19代大将にリンダ・ボンド氏を選出——女性で3人目
= 2 面 ニュース=
★多様な教会一つを体現——名古屋キリスト教協議会60周年
◎住民基本台帳ネットワーク切断に東京地裁が違憲判決——関口博国立市長「市民の生命守り離脱続ける」
★エジプト:イスラム過激派が勢力を伸ばす?——大統領退陣要求騒乱で少数派キリスト教徒が危機に
★<落ち穂>歴史資料のNet公開
= 3 面 =
★<竜馬をめぐる人々>[41]今井信郎の章:6——龍馬を切った男の証言 記・守部喜雅
★ケープタウン2010報告[10]——共同体形成の基盤であるキリストの救済を物語る
★<オピニオン>エジプト混乱の余波を憂う 記・藤山 勝彦
= 4 面 ビジネスパーソン=
★川本可奈子さん[上]([株]エレガンス東京代表取締役社長)——SMIプログラムで夢の鍼灸治療院を実現
★<会計基準の黒船来る>[7]企業年金が収益を圧迫 記・篠松次郎
= 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★Movie:「心中天使」自己存在が不確かな社会の中で(ユーロスペースで公開中)
★BOOK:『日々の宝』吉持 章著(いのちのことば社、2,100円税込)
★REVIEW:『パウロの生涯と聖化の神学』岩上敬人著(日本聖化協力会出版委員会、3,990円税込)評・横田法路
= 6・7 面 開拓伝道特集 =
◎開拓5年で独立 伝道所も2か所目——バプ宣教団・知多のぞみキリスト教会
★一度も福音に触れていない方がまだおられる——今日の状況は逼迫している 記・嵐 時雄
★教会を建て上げるために——KDK 伝道者支援と交流
= 8・9 面 新学期特集 =
★随想:新しいことをするとは?——他者を助けるために神の恵みを用いなさい 記・守部喜雅
★「ほかの寮生のために泣ける」——友愛学舎
★「気にする、されるが気持ちいい」——登戸学舎
= 10 面 教会学校 =
★「大好物を好きなだけ」に歓声——JECA・浜田山キリスト教会
★<CSもうひと味>絵本『ふっかつのイエスさま』文:ヴィッキー・ホーウィー、絵:オナー・アイレス
= 11 面 クリスチャンライフ =
★日本から世界へ「福音も音楽も国境もない」——クリスチャン音楽家集団ユーオーディの広がり
★米国:オンライン宣教で1億1200万人以上に福音伝える——グローバル・メディア・アウトリーチが報告
★<また行きたい! 教会の魅力>[6]キーワード「リーダー」?——シチュエーショナル・リーダーシップ
= 12 面 教会 =
★発達に障害もつ子どもとお母さんの居場所「なかよし学級」——日本基督教団長崎銀屋町教会
◎熊本バンド結盟135周年 花岡山で早天祈祷会−−命がけの誓約に 思い新た=1102200101
明治における日本のプロテスタント教会3源流の一つ、「熊本バンド」は今年で135年を迎える。毎年、結盟の日である1月30日に、花岡山(熊本市)山頂にある「奉教の碑」前で開催されている恒例の早天祈祷会だが、今年は特に135周年を覚えた。信徒や牧師、キリスト教主義学校に通う高校生などの参加者が、135年前の青年たちの志に思いを馳せつつ、「私たちも気持ちを新たにしたい」などと話していた。◇
1871年(明治4)、熊本洋学校設立。ここで、アメリカ人の教師、L・L・ジェーンズの教えと信仰に感化され、多くの青年たちがキリスト教に入信した。1876年(明治9)1月30日、海老名弾正、徳富蘇峰、金森通倫ら洋学校の生徒35人が熊本城外花岡山で集会を開催。一致協力して信仰を守り、キリスト教によって日本を導いていこうとする「奉教趣旨書」に血判を押し、誓約した。
その多くが、後に同志社英学校(京都府)に転校。
卒業後、日本の近代市民社会形成に、大きな貢献を果たした。
◇
まだほの暗い午前6時、賛美歌260番「千歳の岩よ」で始まった早天祈祷会は、ヨハネ10・1~16朗読、祈祷、九州学院高校・ルーテル学院高校による賛美と、厳かに進行。続いて、奉教趣意書(原文)と口語訳文が朗読されると、参加者は目を閉じ、静かに耳を傾けた。
奨励では、野本真也氏(同志社理事長)がヤコブ1・2~8から「熊本バンドの志を受け継ぐために—いささかも疑わず—」と題して語った。
同氏はまず、「神を徹底的に信頼することこそ、私たちが歩む唯一の方法。現代は不満や恐れが充満しており、『安易に信じるな、疑え』と教えなければならない、悲しい状況になっている」と前置き。「しかし、ジェーンズ宣教師の信仰はあらゆる疑いを超える絶対的な神への信頼の姿だった。あまりに経済を優先しすぎる姿勢は、過労死や自殺者など、不幸な結果を数多く生んでいる。今、熊本バンドの精神に戻り、無縁社会でなく、お互いがつながり一人ひとりが変革を行っていく勇気をもつことが大切ではないか」
「ヤコブ1・5~7には、いささかも疑わず知恵を求めよとある。私たちが青年たちの信仰を受け継いでいくには、神への信頼と、相互のネットワークを構築していくこと。その働き手となること。その使命が私たちには与えられている。神の国の宣教のため働き手をお送りくださいと、祈ろうではありませんか」と締めくくった。
祈祷会後には、主催者側から豚汁が振る舞われ、参加者は冷えた体を温めつつ、笑顔で味わっていた。
◎住民基本台帳ネットワーク切断に東京地裁が違憲判決−−関口博国立市長「市民の生命守り離脱続ける」=1
東京都国立市が住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)から離脱していることで不必要な経費を支出しているとして、同市の住民5人が関口博国立市長を訴えていた住民訴訟で東京地方裁判所(杉原則彦裁判長)は2月4日、住基ネットからの離脱は違法との判断を示す判決を言い渡し、一部経費の支出差し止めと約40万円を市に返還することを市長に命じた。住基ネット切断は、関口氏が市議時代から一貫して主張してきた基本政策の一つ。「自治体は市民の財産と生命を守る責任がある」として、今後も住基ネット離脱を続け、控訴する方針だ。
関口博氏は、地域の子どもたちと夢や悩みを語り合う「学びの広場」を主宰してきた中で、所属するカンバーランド長老教会国立のぞみ教会で開かれる神学社会委員会の学びを通して、新ガイドラインが市民を戦争に巻き込む危険性を知り、自治体から反対の声を上げようと99年、市議選に立候補し初当選した。その際、政策パンフレットに記載したイザヤ書のことば「剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする」は、以来市長になるまで一貫して平和と命の尊厳を中心に据えてきた関口市政の要だ。
2期目の03年4月統一地方選挙では、同年8月に本格稼働する住基ネットで個人情報が国に一元管理されることや有事法制の危険性を訴え再選。前年12月には、同じ考えをもつ当時の上原公子市長や弁護士、専門家らと連携し、住基ネットから離脱した経緯がある。国防優先の有事法制下で、国が国民の情報を一元管理すれば市民の命を危険にさらすことになる、と訴えてきた。
07年市長選で、市民参加型の市政を実行してきた上原前市長が不出馬を表明、上原氏に代わる市民の代表をと多くの市民の熱意に押される形で、関口氏は当選した。その選挙運動でも、住基ネットの切断継続は、高層ビルの大型開発反対、国立駅舎の木造再建などとともに、関口氏が明言した市民への約束だった。
住基ネット切断は、いわば国立市民の民意を受けて関口氏が担ってきた中心的政策と言える。これに対し、国立市議会は08年9月、接続を求める決議を僅差で可決。09年2月には石原都知事が是正要求を突きつけるなど逆風にさらされてきた。今回の裁判では、鈴木裕一防衛大学教授ら、考えを異にする市民から接続を求められた。
そうした中で、02年には国立市が住基ネットを切断した6番目の自治体だったが、現在では住基ネットから離脱している自治体は国立市と福島県矢祭町だけ。現在、政府は住基ネットを利用した「共通番号制度」の導入を検討している。
◎開拓5年で独立 伝道所も2か所目−−バプ宣教団・知多のぞみキリスト教会=1102200601
開拓伝道を開始してからどのくらいの年数で教会を組織し、独り立ちできるのを目標設定するだろうか。日本バプテスト宣教団知多のぞみキリスト教会(東正明牧師、ロン&ジョーン・ストーラー宣教師)では、宣教師と日本人牧師とのペアリングで短期集中的に教会形成を目指す開拓伝道を展開し、昨年5年目にして教会組織を立てあげて独立。今年1月から2か所目の常滑集会がスタートした。同教会を訪ね、その開拓伝道と教会形成の歩みについて聞いた。名鉄常滑線朝倉駅からバスの終点「東岡田」まで20分ほど。そのままバス通りを進行方向に2分も歩けば左手に道路側がガラス張りの白い家と駐車場に「知多のぞみキリスト教会」の大き目な看板が見えてくる。借家の会堂は、以前は喫茶店だった。玄関前に30台は駐車できる広いスペースがある。
宣教師と牧師の
ペアで開拓伝道
2005年に中部国際空港セントレアが開港し、人口も増加している知多市。ストーラー宣教師は、「とにかく、車をたくさん駐車できる所を探した。バス停はすぐ近くにありますが、バスを使って教会の礼拝に来た人はあまりいない。ここは車社会の地域です」。仕切りのない広いフローリングで明るい室内、厨房も広く、テーブルやいすもそのまま活用している。
バプ宣教団の21世紀を展望しての事業計画により「二組以上の働き人で短期に教会を組織することを目標に掲げて知多のぞみキリスト教会の開拓は、05年にスタートした」と語る東牧師。
1年目はストーラー宣教師が英会話を始めトラクト配布を開始した。伊勢バプテスト教会にかかわっていた東牧師は、月1回礼拝に派遣され開拓伝道に協力した。2年目は元喫茶店だった会堂の利点を活かしてバイリンガル・ゴスペル・カフェ(BGC)など英語を接点に伝道を展開。若者たちがBGCに集い、外国経験のある人たちも集っているのが特色の一つだった。この2年目にストーラー夫妻が報告のため帰国することになり、東牧師が派遣されフルタイムで引き継ぐことになった。東牧師は教会とは何かをテーマにして、教会形成を目指した礼拝と宣教に傾注した。だが「聖書を学ばずソフトな人間関係を求めていた人は次第に遠のいていかれた」と語る。
教会は祈り合い
とミーティング
「宣教師から日本人牧師への引き次ぎ、宣教師と牧師による共同の開拓伝道は難しい」と、よくいわれる。東牧師も「宣教師と日本人牧師では、宣教のセンスも伝道のアプローチも異なるものがあり、難しく感じることがある」。
では、どうしてできたのか。東牧師は「スタッフの祈り合いとミーティングが大事。毎週2時間以上、祈り合いとミーティングで、情報交換を続けてきた。どちらかが支配するという関係はよくない」と言う。教会を形成するための伝道という明確な目標は、ミーティングで意識と理解が共有された。
開拓伝道の時期から名古屋の天白で集会を始め、今年1月から常滑に2つ目の集会を始めた。2つの集会の礼拝は第2・第4日曜日に天白は午後から東牧師が、常滑はストーラー宣教師が午前に行っている。
「教会は家族なので第1日曜を合同礼拝と決めて聖餐式を行っている」。開拓伝道の最中に集会を開設。それはなぜか。東牧師は「キュウリの苗は、つるが成長しながら花を咲かせ実を実らせる。それを見て、開拓中でも次の花を咲かせればいいのだ」と気付かされた。
常滑での開拓伝道はストーラー宣教師夫妻が責任を持って展開し、天白集会は信徒がお世話係をしている。1月に開講した東牧師のカウンセリング講座では、支配関係ではなくヨコの関係相互信頼・協働について学び、教会の愛の連帯を理解しあった。
礼拝につながれば
必ず救いに導ける
知多の会堂に集うのは89歳からテーブルの下に潜り込む幼い子どもたちまで年齢層も幅広い。青年層の人も外国でキリスト教に触れた経験をもつ人や帰国者クリスチャンが溶け込める雰囲気が教会にある。カナダのプレーリー聖書大学で教会音楽を学んだ東牧師の長男・賢作さんが、東海聖書神学塾で学びながら知多ゴスペルクワイアを地域に呼びかけてディレクターを務めている。
様々なきっかけで「教会の礼拝に来た人は逃さない。2度目に礼拝に来た人には個人伝道のお勧めをする。礼拝につながれば、イエス様を伝える伝道で、必ず魂の救いへと導かれます」と語る東牧師。1時間ほどで6回の求道者クラスを組んでいる。途中で来なくなる人もいるが、「来られなくなってからが、伝道の始まりですよ。しつこくならないように、時折挨拶のはがきなどを送っています」と語る東牧師は、導かれた人たちを覚え続けている。