2000年2月20日号《ヘッドライン》

2000年2月20日号
《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎「死海写本」初来日が決定——11月「東京大聖書展」に出展
★解説:死海写本とは
★韓日サッカー・ワールド・カップ開催都市教会代表らが懇談
★<21世紀への対話>ペンテコステと福音派(5)万代栄嗣・内田和彦
★<落穂抄>不況の中だからこそ伝道
 = 2 面 =
★第三千年期の世界宣教—京都会議からの講演抄録9:AD2000年運動のヴィジョン(1) トーマス・ウォン
★最近の宗教報道に感じる「信教の自由」の危機 記・桜井 圀郎
★第35回ペンテコステ教役者大会:「真実に受け入れ合う文化築け」とヘイフォード氏
★朝祷会全国連合:カトリック曲含む賛美集製作へ
★インドネシア:ジョクジャカルタでも教会襲撃
◎<論説>今日の政治状況と信教の自由 記・油井 義昭
★<逆転の信仰経営>(37)生まれ変わったビジネスマン<20> 三谷康人回顧録
 = 3 面 デジタル伝道=
◎近畿福音放送伝道協力会:インターネット伝道を応援
★日基教団・霊南坂教会:多彩な印刷を手軽に
★検索機能を強化、「J—ばいぶる1st 2000」4月発売
★解説:これでわかる! デジタルな言葉
 = 4 面 生活のページ=
★礼拝メッセージのメモをかわいいイラストで
★信仰とロック音楽のかかわりを考察
★<投稿>福音の実を実らせる記事を
★<投稿>報道の公正さと福音宣教の使命
★<投稿>映画に学んだ信仰のあり方
★<投稿>神により頼みすべてに感謝
★<投稿>詩「生涯」
★CD:がんばるばんど「Gifts and Calling」
★<シネマ>「ファンタジア/2000」
 = 5 面 日本宣教のパイオニア(2)=
★教会で高卒の資格取得へ——通新制高校との連携制度を提案
★<北から南から>新潟:戦後受けた愛の業のお返しを
★伝道のためアウシュビッツへ——ユダヤ人女性の半生記「ローズのバイブル」出版
★<召天>ゲハルト・ハム氏(旧ソ連地下教会の巡回伝道者)
★1999年度クリスチャンアーティスト金賞に国分友里恵さん
★がん克服体験から生の喜び伝えたい
★インターネットでキリスト教書が買える
★<声なき叫びが聞こえますか=37>教会は人間形成の発信基地になろう 記・岡本富郎
 = 6面 =
★<聖書66巻>ヨブ記(3)理解をこえた神の摂理 記・山口 昇
★<新刊書紹介>山本七平著「宗教からの呼びかけ」
★<新刊書紹介>万代英嗣著「聖霊の?(はてな)がわかる本」
★<情報クリップ>催し情報ほか

「死海写本」初来日が決定−−11月「東京大聖書展」に出展

聖書考古学史上、20世紀最大の発見といわれる「死海写本」の現物が、今秋日本で初めて一般公開されることになった。
11月2日から19日まで東京・千代田区の有楽町そごうを会場に、都内の教会がプロテスタント、カトリックの違いを超えて協力開催する「キリスト降誕2000年『東京大聖書展』」への出展が正式に決まったもの。
同実行委員会は2月8日、千代田区の東京YMCAで記者会見し、死海写本のほか、バチカン所蔵の3世紀から16世紀にかけての聖書、マザー・テレサやヘレン・ケラーらが使用した聖書など、出展が内定した展示物を発表した。
本邦初公開となる死海写本は、イスラエルの博物館でも常時公開されていない貴重な部分の断片。
「閉そく状況にある現代人に光を投げかけるものとして、世界のベストセラーである聖書への知識と関心を高めてもらうことを目指す」という今回の大聖書展は、目玉となる大物展示物の決定で話題を呼ぶ催しとなりそうだ。
東京大聖書展のテーマは「聖書の歴史」「聖書に生きた人々」の二本柱。
「聖書の歴史」では、死海写本と、写本が発見された死海西岸のクムラン洞くつなどからの発掘資料、バチカン所蔵の聖書の稀覯(きこう)本、世界初の活版印刷物であるグーテンベルグ42行聖書(慶応義塾大学所蔵)などを中心に、聖書と聖書翻訳の歴史を紹介し、デジタル化など未来に向けた聖書の流れも展望する。
「聖書に生きた人々」では、20世紀を生きた人々と聖書のかかわりを示すものとして、マザー・テレサやヘレン・ケラー、近代日本の文学者数人(交渉中)が使用した聖書、クリスチャン漫画家の田河水泡や長谷川町子にまつわる資料、マルク・シャガールによる、旧約聖書の世界を描いたエッチング画42点(富山県立近代美術館所蔵)などを展示することを予定している。 イエス時代の背景知る手がかり 今回展示される死海写本は、イスラエル・ロックフェラーミュージアム所蔵の、クムラン第四洞くつと第11洞くつで発見された「創世記―出エジプト記」(展示は創世記のみ)Inv.#:169,Q#:4Q1、「イザヤ書」Inv.#:236,Q#:4Q58、「申命記」Inv.#:256,Q#:4Q28、「エレミヤ書」Inv.#:152,Q#:4Q71、「レビ記」Inv.#:1039,Q#:11Q1、「詩篇」Inv.#999,Q#:4Q84の6点の断片で、紀元前200年代から紀元100年代にかけてのもの。
顧問の一人、土岐健治・一橋大学教授は、「イエスや洗礼者ヨハネが活動した時代の背景を知るものとして、大変重要な資料」と評価している。
死海写本の一部はエルサレムのイスラエル国立博物館で観光客が閲覧できるようになっているが、今回の展示はそれとは別で、国際的な研究チームにより今日 まで研究が続けられている部分。
現物が海外で展示された前例は、昨年スイスが初めてで今年は北欧と北米で計画されているという。
バチカン所蔵の稀覯本から展示されるのは、ラテン語の小預言書の断片(5世紀後半)、ギリシャ語の「列王記」(11世紀)と「使徒の働き」および手紙類(12世紀)、キリシタン時代に来日した宣教師によって和訳(ローマ字)された、日本最古と思われる聖書「バレト写本」(1591年)などのオリジナル版5点と、4世紀のギリシャ語旧新約聖書、9世紀と13世紀のラテン語新約聖書などのファクシミリ版(レプリカ)。
聖書展の関連行事として、レーナ・マリアさんのコンサート(7月1日、中野サンプラザ)や、各種のセミナー、聖書全巻通読リレーなどを行う計画も発表された。
5万人の動員を目標に、予算規模は1億円。
協賛金や募金、オリジナルのテレホンカードの販売や入場料でまかなうとしている。
入場券は6月ごろから前売り開始予定。 【死海写本とは】 1947年、死海北西部のクムラン地域で、羊の群れを追っていた少年が、がけの中腹にある洞くつで古いヘブル語聖書の巻物を発見した。
これ以降、クムラン地域の200か所以上の洞くつが試掘され、11の洞くつから多数の写本やその断片、土器類などが出土。
クムラン以外の死海周辺地域からも文書が発見された。
これらの聖書(外典、偽典を含む)の写本、写本が作られた当時クムラン周辺で活動していたと思われるユダヤ教の教団(仮称「クムラン教団」)に関する文書などを総称して「死海写本」と呼ぶが、一般にはクムランの11の洞くつから発見された、聖書に関する写本類を指す。
発見順に第1~11洞くつとされたもののうち、第4洞くつからは最も多い、382の写本に分類される約1万5千の断片が発見されている。
それまで最古の旧約聖書の写本とされていた、中世のマソラ学者(ヘブル語旧約聖書本文の学問的伝承に従事した人々)によって筆写された「レニングラード写本」(1008年)より千年以上さかのぼる死海写本の発見は、旧約聖書の本文批評学、旧約と新約の中間時代のユダヤ教思想史、新約時代の歴史・神学的背景の研究などに大きな影響を与えている。
米国の聖書考古学関連のラジオ番組「本と鋤」ホストのゴードン・ゴヴィヤー氏など、死海写本を20世紀で最も重要な聖書考古学上の発見とする学者も多い。
死海写本からは旧約聖書のうち「エステル記」だけが見つかっておらず、今後発見の可能性がある。
クムラン教団ではエステル記は読まれていなかった、などの学説に分かれている。
(教文館『キリスト教大事典』、いのちのことば社『新聖書辞典』参照)

<論説>今日の政治状況と信教の自由 記・油井 義昭

建国記念日が制定されてから33年になった。
私たちはこの日をどのように過ごしているだろうか。
1967年にこの祝日が出来る前、大多数の教会は熱心に反対した。
戦前の紀元節復活の意図が濃厚だったからである。 紀元節の復活 紀元節は明治の天皇制官僚が作り上げた。
1872年に古事記や日本書紀という神話や古い文献によって、日本の紀元を神武天皇が即位した年(紀元前660年1月1日)とすることを決め、1873年にこれを太陽暦に換算して2月11日と定めて、紀元節を作った。
しかし古事記と日本書紀は、日本を統治する天皇家の権威の根拠づけるために作成され、大部分が神話・伝説であり、神武天皇即位も全く架空の出来事であった。
1880年ごろから天皇が単なる皇帝ではなく、人を超越した神である皇帝となり、宗教的権威と政治的権力が天皇に集中し始めた。
紀元節は1889年の明治憲法発布の日に利用され、日清、日露戦争の宣戦布告日となり、国家政策に利用された。
1891年には学校教育においても紀元節に御真影拝礼、教育勅語奉読など宗教的儀式が行われるようになり、紀元節は国家体制作りに貢献した。 国家神道による精神支配 キリスト者の生活もこの支配下にあった。
特に1930年代半ばの国家神道絶頂期・国家総動員時代に、国粋主義者と軍部が国体(絶対的国家の形態)の根本の自覚をもつ国民精神を作り上げることを主張した時、紀元節は教会の行事として急速に普及した。
そこでは日の丸を揚げ、君が代を歌い、祖国のための祈りをささげ、愛国の説教がなされた。
国歌が対外戦争を行っていく中でキリスト者も自分の宗教的情熱と献身を国家に向けることが最高と信じられた。
その時代は日本国民全体が国家神道によってマインドコントロールされ、言論の自由や信教の自由はほとんどなかったのである。
このような前歴のある紀元節は戦後廃止されたが、1952年の講和以来、復活の動きが強くなり、1967年に建国記念の日という名称で復活した。
この時以来、天皇制国家主義の復活を危惧する人々は、この日を「信教の自由を守る日」と位置づけて、反対集会を開催してきた。
その背後には信教の自由などの人権侵害への危機感と、教会の偶像礼拝・戦争協力の悔い改めと反省があった。 新しい国家宗教の始まり 1990年に戦後最大の出来事である新天皇即位礼の大嘗祭が国の行事として行われたことは、67年の建国記念日制定の延長線にあった国の大目標であった。
時を同じく90年代は米ソの冷戦が終わり、冷戦後の世界の中で国がどのように進むべきか模索の時であった。
この時二つの流れが顕著となった。
新国粋主義が第一の流れで、日本の戦争責任を自虐として退ける歴史観で、軍国主義を美化する戦争論である。
第二は、国際協調を日米関係に一元化しつつ冷戦後の米国の世界戦略に協力する新ガイドラインである。
このような背景のもとで1999年11月12日の天皇即位10周年を祝う式典を前に、この日に間に合わせるかのように、5月に日米防衛協力のための指針が、8月に日の丸・君が代の法制化がなされたのである。
新指針関連法案は憲法九条(戦争の放棄)を実質的に形骸化するものであり、日の丸・君が代の法制化は新しい国家宗教の始まりを意味し、キリスト者と教会は新たな挑戦を受けている。
1999年は戦後日本の歴史の大転換の年であった。
8月9日は長崎原爆投下の記念の日ではなく、国家宗教として法的に整備された最初の讃美歌と礼拝のシンボルの誕生の日となった。
現象徴天皇制を新たな国家宗教として位置づけて行くことがもくろまれているのである。
それは一世紀前に行われたことが装いを新たに展開されようとしていることだと言ってよい。
「イエスは主である」と告白する私たちは、この国の精神的原理と動きを見張る必要があるのではないか。
過去の失敗を繰り返さないために。
(記・油井 義昭)

近畿福音放送伝道協力会:インターネット伝道を応援

地域教会が協力してラジオ、テレビ伝道を行って30年近い近畿福音放送伝道協力会(近放伝、松沢力男実行委員長)が、インターネット伝道に乗り出した。
インターネットのホームページは、テレビなどと違って個人が金をかけずに作り、手軽に発信できる。
しかし、その内容が充実し、外部の人々の心に訴えるものを作り続けるのはたやすいことではない。
近放伝のインターネット伝道は、協力教会が、自分の教会のホームページとして、「本当のキリスト教」や「希望ある人生」という、出来上がった内容を活用することができるようにしたもの。
内容の定期的な更新も請け負う。
教会独自のページの作成、アドバイスもしてくれる。
内容は、物語やエッセーの部分を近放伝の担当者(複数の牧師が一緒に考える)が書き下ろし。
後は、機関誌「福音の光」に載ったものや、ラジオ・テレビメッセージ、証しを文章にしたもの。
加盟する福音的な協力教会(約490)でコンセンサスのある、キリスト教の入門的な内容をクリスチャンでない人々に分かりやすく提示する。
反応のEメールは、直接それぞれぞれの教会に行き、返事を出すことができる。
その教会の、インターネットに関する状況(すでに行っている、パソコンも持っていないなど)に合わせて、いろんなプランがある。
すでに独自のホームページを持つ教会も、その一部分として近放伝制作のページを採り入れられる。
「他の諸教会と同じメッセージが載っているということで、教会の共通性の証しにもなるのではないでしょうか」と、実行委員長の松沢さん。
企画の制作は近放伝。
技術面は、インターネットの会社「NOA」(ノア)が請け負い、初歩的な説明も含め、親切にアフターケアーをしてくれる。
標準的なプランで月額一万円前後。
近畿圏以外の教会も参加できる。
「近放伝のホームページ」の例はここをクリック問い合わせは、NOA=TEL06・6766・0616。
 Eメール=cs@noa.gr.jp