ヘッドライン
2000年3月5日号《ヘッドライン》
2000年3月5日号《ヘッドライン》
= 1面 =
★三浦綾子さん文筆活動の原点は伝道——夫の光世さん「妻との40年」を語る
◎インドネシア宗教抗争の真相——背景を理解し的射た祈りを
◎献金袋課税問題でシンポ——「信教の自由」重く受け止め
★<21世紀への対話>ペンテコステと福音派(7)万代栄嗣・内田和彦
★<落穂抄>教会のホームページ盛ん
= 2 面 =
◎歴史の背後にとりなしの祈り——「10/40の窓」焦点に伝道促進を証言
★EHC:宣教諸団体が戦略的協力の拠点建設を計画
★「南京大虐殺」——歴史の「事実」の生き証人640人生の声を日本人に
★三浦光世さん関東でも講演
★ナイジェリア:イスラム法反対デモで死者多数
★トルクメニスタン:バプテスト教会に集会禁止の最後通告
★<論説>これからの宣教のキーワードを 記・小助川次雄
★<逆転の信仰経営>(39)生まれ変わったビジネスマン<22> 三谷康人回顧録
= 3 面 =
★インドネシア宗教抗争の真相——安海靖郎アンテオケ宣教会総主事焼き打ち被害の神学校で実情確認
◎インドネシア宗教抗争の真相——ワヒド政権の改革努力に期待
= 4 面 関西だより=
★インタビュー:三浦光世さん——妻・三浦綾子さんを送って
★神戸市長田区にも特養「故郷の家」起工
★スーパーミッション大阪:説明会で地元から「一致への努力を」要望
★徳島脇町での岩井恭三牧師をしのぶ記念礼拝に240人
★アジア人留学生援助に古本を
★神戸・ウィナーズ・クラブ例会
= 5 面 =
★教会に高校生の居場所が必要——hi-b.a.代表役員・大竹一行さん退任
★<北から南から>北海道・北見聖ペテロ教会:「主の年2000」看板でアピール
★米国:若者理解したいならラップを聴こう
★米国:飛行機内で聴けるキリスト教音楽
★<声なき叫びが聞こえますか=39>目の前の一人に真剣にかかわる 記・岡本富郎
= 6面 =
★<聖書66巻>詩篇(2)苦難を転換する賛美の近い 記・小林 和夫
★<書評>「カルヴァンの主の晩餐による牧会」高橋毅志著
★<新刊書紹介>「神を味わう」H・T・ブッラカビー&C・V・キング著
★<情報クリップ>催し情報ほか
インドネシア“宗教抗争”の真相−−背景を理解し的射た祈りを
インドネシアで「イスラム教徒とキリスト教徒の抗争」が続いている、と報じられる。一見して「宗教紛争」のようにとらえられがちだが、問題の根底には政治的な背景があると見るインドネシア人は多い。
元インドネシア宣教師でアンテオケ宣教会総主事の安海靖郎さんは、1月29日から2月5日、神学校の講義などのため首都ジャカルタとバツーを訪れ、昨年12月暴徒によって焼き打ちに遭い神学生が殺害されたジャカルタ郊外のドゥーロス神学校を問安した。
旧知のローヤンディ・フタソエ理事長兼校長から、襲撃当夜のもようと神学校の対応を聞き、最近のインドネシア内外での報道や現地の情報などを総合して、安海さんは、軍の一部の守旧派幹部が自分たちの権益を守るために騒乱状態をあおる動きに関与していることは間違いないという。
おりからアジア福音同盟(EFA)が、アジア各国の実状を覚えて互いに祈りあおうと月ごとの「プレア・チェーン(祈りの連鎖)」を提唱。
特にインドネシア情勢については重点課題として、EFAと日本福音同盟(JEA)から祈りの要請が出されている。
そうした中で、安海さんは「ぜひインドネシアを祈りに覚えてほしいが、祈るにしても問題の本質を理解しなければ祈りの焦点が外れてしまう恐れもある」として、実情を訴えている。 ワヒド政権の改革努力に期待 なぜ軍が騒乱に加担するのか。
長期にわたるスハルト政権下で、圧倒的な力を温存させてきた国軍の幹部らは、昨年5月政変以後の民主化の流れが進めば、自分たちが享受してきた権益を失うことになる。
その権益を守ろうとする軍内部の親スハルト守旧派が、内乱を扇動して改革・民主化の流れを阻止しようとしていると見られている。
スハルト政権時代にはあまり表だった権力批判ができなかったインドネシアのマスメディアが、ここへ来て問題の本質を突く論調を打ち出すようになってきた。
最大の週刊誌「テンポ」は今年1月17~23日号で、「マルクは私たちの恥だ」と題した論説を掲載。
同諸島で続いている騒乱が宗教抗争と言われているが、問題の本質は宗教ではなく政治的な権益だ、とはっきり書いた。
昨年1月の抗争の発端は、バスの運転手と乗客間の運賃を巡るつまらない言い争いだった。
そんないざこざは国中で日常茶飯事であり、だれが2000人以上もの死者を出した騒乱の最初の原因を覚えているか、と問う。
同誌の論調は、事態の解決のためにむしろ、イスラム教にせよキリスト教にせよ宗教が本来もっている愛と寛容の精神が必要と期待を寄せる。
同地方の多数派だったカトリック住民と、政策的に後から入植させたイスラム教徒住民の双方に「相手が襲ってくる」とデマを吹き込んで恐怖感と対立感情をあおった勢力の存在が分かっている。
各地に飛び火した抗争でも似たような構図が浮かび上がっている。
「扇動者はだれか」がメディアの追及の焦点だ。
スハルト大統領時代の政策で評価されていることの一つが、「パンチャシラ」と呼ばれる諸宗教融和政策だった。
イスラム教徒が2億の人口の八割を占めるインドネシアは、一国のイスラム教徒が世界一多い国だが、宗教の自由を保持しながら多民族で諸宗教が混在する国をまとめるのに類のない成功をおさめてきた。
穏健なイスラム教徒も多く、あるイスラム指導者は「どの宗教であれ、こんな残虐なことができるのは信仰者ではない。
無神論者の仕業だ」と強く批判している。 民主化推進のカギ では、どのように祈ったらよいのか。
安海さんは、今の情勢ではワヒド新大統領が打ち出している改革路線を遂行することができるかどうかが、事態収拾のカギを握っているという。
インドネシア人クリスチャンの多くは、昨年の大統領選挙で大胆な改革を期待してメガワティ候補を支持した。
結果は最大の穏健イスラム組織を背景にしたワヒド候補の勝利となり、一時はがっかりしたクリスチャンが多かったという。
だが次第に、もしメガワティが大統領になっていたら軍守旧派の抵抗はさらに強まり、もっと深刻な内戦状態になっていたかもしれないことが分かってきた。
今ではワヒド大統領の勝利は神の配剤だったと感謝し、その改革・民主化を応援しようという空気になっている。
同大統領は今、軍守旧派の影響力を絶てるかどうかの正念場を迎えている。
親スハルト守旧派のトップと目されているウィラント前国軍司令官を、少しずつ実権のない地位に移してきたワヒド大統領は2月14日、政治・治安担当調整相の地位からも同氏を更迭し停職処分にした。
今後、東ティモールなどの騒乱の責任をどこまで訴追できるかが注目されている。 中見出し インドネシア福音同盟のクリス・マランティカ総主事は、福音同盟の国際的なネットワークを通じて、「現政府は事態収拾のためによくやっている。
今、必要なのは政府やイスラム勢力に圧力をかけることではなく、とりなしの祈りだ」と訴えている。
献金袋課税問題でシンポ−−「信教の自由」重く受け止め
教会の月定献金袋が印紙税法違反とみなされ課税された問題に関し、日本キリスト教連合会(竹田眞委員長)は3月8日午後2時から5時、東京・渋谷の日本基督教団渋谷教会でシンポジウムを開く。「なぜ献金袋に印紙税か」を主題に問題の実態を把握し、研究と根本的な解決策を探る。
同問題では、日本基督教団が国税当局と折衝し、違反とみなされない献金袋の書式で対応。
一方、日本バプテスト連盟では宗教法人に対する税務当局の過剰介入を警戒し、連盟内の諸教会に反論の根拠を配布した。
キリスト教連合会では「信教の自由」を守るため放置できない問題と受け止めている。
シンポジウムでは両教派の担当者や税理士が討論する。
同連合会加盟以外も含め広く諸教派の関係者に参加を呼びかけている。
参加費は1000円、先着250人。
参加希望者はTEL03・5228・3175、同連合会まで申し込みが必要。
歴史の背後にとりなしの祈り−−「10/40の窓」焦点に伝道促進を証言
祈りは歴史を変える——チャウセスク政権の崩壊やベルリンの壁の崩壊など、歴史の背後にはとりなしの祈りがあった。その祈り手の代表者ともいえるディック・イーストマン氏が、2月10日から12日、愛知県豊橋市で行われた全日本リバイバルミッション主催第6回リバイバル拡大聖会の主講師として来日した。
イーストマン氏はEHC(全国家庭文書伝道協会)国際本部総裁であるとともに、「世界とりなし協会」の祈りの活動推進や訓練センターの働きをしている。
EHCはすべての家庭に残らず福音を届けることを目的にした働きで、アメリカで祈られ宣教師によって日本で始められた。
現在は189か国で活動している。
伝道活動ととりなしの祈りは、互いに密接な関係がある。
イーストマン氏は、祈りの結果として伝道への道が開けた証しを中心に、祈りの重要性を訴えた。
同氏によると、福音を受け入れる人数がこの15年間で300パーセント上昇し、リバイバルが加速度をつけて始まっている。
10年前ほど前、北緯10度から40度の福音を伝えるのが困難な地域「10/40の窓」に祈りを集中した。
その結果、しるしと不思議を伴って多くの地域へ伝道の道が開かれたという。
あるインドのヒンドゥー教の氏族には言語がなかった。
そこにEHCのスタッフとして一組の夫婦が派遣され、文字を作りながら伝道した。
10年間は何の結果も得られなかったが、あるとき村全体が病気に。
「偶像を捨ててイエスについてくるなら健康が回復される」とのスタッフの言葉を村人が信じたときから、奇跡が始まった。
村全体がいやされ、一度に回心したのだ。
現在では近くの11の村々がキリストに帰っている。
聖会に参加した牧師の一人は「祈られた答えとしての世界中の神の奇跡に感動した。
私も祈るべきだと教えられた」と話していた。
イーストマン氏の話 「最近10年間でアメリカでは教派間の壁が取り除かれている。
壁がないというのは、違いがないことではない。
祈りの運動を共にしていくことによって一つとされているのだ」。
実際、イーストマン氏はアッセンブリー教団に属しているが、広く120教派から「とりなしの祈りの学校」の講師として招かれている。
インドネシア“宗教抗争”の真相−−ワヒド政権の改革努力に期待
インドネシアで「イスラム教徒とキリスト教徒の抗争」が続いている、と報じられる。一見して「宗教紛争」のようにとらえられがちだが、問題の根底には政治的な背景があると見るインドネシア人は多い。
元インドネシア宣教師でアンテオケ宣教会総主事の安海靖郎さんは、1月29日から2月5日、神学校の講義などのため首都ジャカルタとバツーを訪れ、昨年12月暴徒によって焼き打ちに遭い神学生が殺害されたジャカルタ郊外のドゥーロス神学校を問安した。
旧知のローヤンディ・フタソエ理事長兼校長から、襲撃当夜のもようと神学校の対応を聞き、最近のインドネシア内外での報道や現地の情報などを総合して、安海さんは、軍の一部の守旧派幹部が自分たちの権益を守るために騒乱状態をあおる動きに関与していることは間違いないという。
おりからアジア福音同盟(EFA)が、アジア各国の実状を覚えて互いに祈りあおうと月ごとの「プレア・チェーン(祈りの連鎖)」を提唱。
特にインドネシア情勢については重点課題として、EFAと日本福音同盟(JEA)から祈りの要請が出されている。
そうした中で、安海さんは「ぜひインドネシアを祈りに覚えてほしいが、祈るにしても問題の本質を理解しなければ祈りの焦点が外れてしまう恐れもある」として、実情を訴えている。 ワヒド政権の改革努力に期待 なぜ軍が騒乱に加担するのか。
長期にわたるスハルト政権下で、圧倒的な力を温存させてきた国軍の幹部らは、昨年5月政変以後の民主化の流れが進めば、自分たちが享受してきた権益を失うことになる。
その権益を守ろうとする軍内部の親スハルト守旧派が、内乱を扇動して改革・民主化の流れを阻止しようとしていると見られている。
スハルト政権時代にはあまり表だった権力批判ができなかったインドネシアのマスメディアが、ここへ来て問題の本質を突く論調を打ち出すようになってきた。
最大の週刊誌「テンポ」は今年1月17~23日号で、「マルクは私たちの恥だ」と題した論説を掲載。
同諸島で続いている騒乱が宗教抗争と言われているが、問題の本質は宗教ではなく政治的な権益だ、とはっきり書いた。
昨年1月の抗争の発端は、バスの運転手と乗客間の運賃を巡るつまらない言い争いだった。
そんないざこざは国中で日常茶飯事であり、だれが2000人以上もの死者を出した騒乱の最初の原因を覚えているか、と問う。
同誌の論調は、事態の解決のためにむしろ、イスラム教にせよキリスト教にせよ宗教が本来もっている愛と寛容の精神が必要と期待を寄せる。
同地方の多数派だったカトリック住民と、政策的に後から入植させたイスラム教徒住民の双方に「相手が襲ってくる」とデマを吹き込んで恐怖感と対立感情をあおった勢力の存在が分かっている。
各地に飛び火した抗争でも似たような構図が浮かび上がっている。
「扇動者はだれか」がメディアの追及の焦点だ。
スハルト大統領時代の政策で評価されていることの一つが、「パンチャシラ」と呼ばれる諸宗教融和政策だった。
イスラム教徒が2億の人口の八割を占めるインドネシアは、一国のイスラム教徒が世界一多い国だが、宗教の自由を保持しながら多民族で諸宗教が混在する国をまとめるのに類のない成功をおさめてきた。
穏健なイスラム教徒も多く、あるイスラム指導者は「どの宗教であれ、こんな残虐なことができるのは信仰者ではない。
無神論者の仕業だ」と強く批判している。 民主化推進のカギ では、どのように祈ったらよいのか。
安海さんは、今の情勢ではワヒド新大統領が打ち出している改革路線を遂行することができるかどうかが、事態収拾のカギを握っているという。
インドネシア人クリスチャンの多くは、昨年の大統領選挙で大胆な改革を期待してメガワティ候補を支持した。
結果は最大の穏健イスラム組織を背景にしたワヒド候補の勝利となり、一時はがっかりしたクリスチャンが多かったという。
だが次第に、もしメガワティが大統領になっていたら軍守旧派の抵抗はさらに強まり、もっと深刻な内戦状態になっていたかもしれないことが分かってきた。
今ではワヒド大統領の勝利は神の配剤だったと感謝し、その改革・民主化を応援しようという空気になっている。
同大統領は今、軍守旧派の影響力を絶てるかどうかの正念場を迎えている。
親スハルト守旧派のトップと目されているウィラント前国軍司令官を、少しずつ実権のない地位に移してきたワヒド大統領は2月14日、政治・治安担当調整相の地位からも同氏を更迭し停職処分にした。
今後、東ティモールなどの騒乱の責任をどこまで訴追できるかが注目されている。 中見出し インドネシア福音同盟のクリス・マランティカ総主事は、福音同盟の国際的なネットワークを通じて、「現政府は事態収拾のためによくやっている。
今、必要なのは政府やイスラム勢力に圧力をかけることではなく、とりなしの祈りだ」と訴えている。