後藤健二さん殺害受け田村牧師コメント「負の連鎖断ち切る祈りを」
2月1日聖日の朝、フリージャーナリストの後藤健二さんが、イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国」を名乗るグループに殺害されたというニュースが駆け巡った。このニュースを受け、後藤さんが無事解放されるよう祈りを要請してきた田村博牧師(日本基督教団・調布教会牧師)が、フェイスブック上でコメントを発信した。内容は以下の通り。
1月20日の小生の投稿に対してお声をかけてくださった皆様、そして祈りを合わせてくださった皆様。 このたびの悲報を前に言葉を失いそうになるような思いに繰り返し襲われるのは、小生のみではないと思います。今は、世界を駆け巡っているこの悲しみが、憎しみや恐れという負の連鎖につながらないことを切に祈ります。
70年前の戦争において、いかに多くの命が奪われたことでしょう。一人の命が失われることがこんなにも悲しく痛ましいことなのですから、その何百万倍もの数えきれないほどの悲しみ、それは想像もできないほどのものでしょう。それが戦争の真の姿であり、勝者も敗者も区別はありません。
その痛みから生まれた言葉があります。それは、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、 国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」。そしてその「目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」という言葉です。ここにこそ本当の、そして唯一の積極的平和主義が表されているのではないでしょうか。私たちは負の連鎖を断ち切るのに十分な力を持ち合わせていません。武器を放棄する十分な勇気もありません。しかし、確かにすべての武器を放棄された一人のお方を知っています。そのお方は、ご自分の命と引き換えに、その負の連鎖を断ち切ってくださいました。そして復活され、全く新しい希望の鎖があることを教え続けてくださっています。それゆえ目を上げて祈りましょう。もう一度祈りましょう。
田村牧師は、後藤さんの所属教会である日本基督教団田園調布教会を11年間、2013年3月まで伝道牧会にあたった。