ジャケットは「ギフト用カード付きCD(税込1,365円)」(左)と(右)I.Ary(税込1,575円)の二種
ジャケットは「ギフト用カード付きCD(税込1,365円)」(左)と(右)I.Ary(税込1,575円)の二種

母の日に向けてつくられたCDで、岩本正樹プロデュースでI.Ary(アイ・アリー) が歌っている。I.Aryのファーストミニアルバムとなる。

収録曲は、LYREの宮脇栄子が書き下ろしのお母さんたちへの応援ソング「お母さんの味方」、母について歌う讃美歌「まぼろしの影を追いて」を現代の言葉でおくる「ただひとり夢を追って」(現代賛美歌)の歌とインストゥルメンタル、I.Ary書き下ろした母への思いを歌う「Dear mama」、素直な気持ちを歌にした「Korekara」の全5曲。

同じCDが2ジャケット仕様で発売され、一方は「ギフト用カード付きCD」で、感謝の言葉を書き込んでプレゼントできるものとなっている。

「母の日」が「父系」社会のアメリカで始まったというのは逆説的に見えて興味深い。それには文化的な背景もあるように思う。感謝を表すというのは、一個の人格から人格へなされるもののように思う。「甘えの文化」と言われる日本のような母系社会では、母子一体感が重視され、面と向かって「感謝する」のは、結婚式披露宴の両親へのあいさつのような、一種の「縁切り」を連想させるのではないか。思慕はあっても、感謝は表すものではなく、一体感の中で伝わるものと理解されるように思われる。とすれば、感謝を表すのは自立の現れなのかもしれないし、それを受け止めるのは子離れの一環か。

若々しいI.Aryの歌は、自立し始めたけれども、自立しきれていない境界線上の若者が、もどかしくも感謝のことばを伝えようとしているような感じがする。

本作は母の日の企画CDであり、曲数からいってもI.Aryのリーダー作としては少し物足りなさを覚える。I.Aryの個性がより表されるような次回作に期待したい。【生】