CD「MANNA」Olive(ライフ・クリエイション、全8曲、1,500円税込)。収録曲:ひとりじゃないこと/心配はいらないよ/私の救い主/ありのままの私を愛して/子供たちへ/幸い薄く見ゆる日に/マナ/静かな夜
CD「MANNA」Olive(ライフ・クリエイション、全8曲、1,500円税込)。収録曲:ひとりじゃないこと/心配はいらないよ/私の救い主/ありのままの私を愛して/子供たちへ/幸い薄く見ゆる日に/マナ/静かな夜

デビュー25周年を迎えるオリーブのニューアルバム。「何もない荒野で、神様が毎日その日その分だけ集めなさいと、与え、養って下さった食べ物=マナ。何も持っていなくても、神様は養って下さるのだ。今日与えて下さるマナを感謝して―」というのがテーマ。昨年5月に発売された東日本大震災復興支援CDの「大丈夫 ひとりじゃないよ」にも入っている「ありのままの私を愛して」も収録されている。特に震災支援と謳っているわけではないのだが、内容としてはやはり3.11後の心情を歌ったもののように思われる。

アコースティックギターやピアノが基本で時折バイオリンなどが入るくらいの、大胆なくらいシンプルな構成。必要充分なものだけという構成は「マナ」を表すものとして選択されたのだろうか。そのシンプルな中で歌われるのは、声高に煽ったり、励ましたりするような歌ではなく、静かに、クリスチャンとしての毎日の心情を歌った歌だ。

オリジナル曲が主だが、6曲目「幸い薄く見ゆる日に」は新聖歌330番。「ロンドンデリーの歌」「ダニーボーイ」、最近では「You Raise me up」などで有名なアイルランド民謡に、奥山正夫氏が歌詞をつけたものだ。この曲はタイトル曲ではないのだが、このアルバムのもう一つの軸なのではないだろうか。

地震があった。津波があった。家族や友人の死を経験したかもしれない。生活の根幹が失われ、今も再建できていないかもしれない。放射能の不安もある。そんな3.11後の世界に私たちは生きている。震災に直接あっていなくても、「幸い薄い」と思えることもある。そんな「幸い薄く見ゆる日に」「わが恵み汝に足れり」との御声が響く。十字架の道を歩まれる神様は、変わらず、恵みの深い方なのだ。シンプルな構成の飾り気のない歌に、なにか納得させられる。 【柳 聖生】